佐渡島 庸平(コルク代表)
8/27更新
佐渡島 庸平(コルク代表)さんの作品:コミュニティの常識を取り外し可能にする【自分の偏見メガネを把握する(3)】

コミュニティの常識を取り外し可能にする【自分の偏見メガネを把握する(3)】

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「企画力を高めていくためにはどうしたらいいか?」

この問いに対し、編集者として多くの企画を生み出してきた佐渡島さんが導き出した一つの答えが、「自分の偏見メガネを把握すること」だ。


今月の『企画のおすそ分け』では、4回にわたりこの偏見メガネについて掘り下げます。


シリーズ3回目は、コミュニティの常識の偏見メガネについて。相手に対してイライラしている時、そのほとんどは自分の常識の範疇におさまらない行動や言動を取られているからです。

では、その“常識”はどこでつくられるのでしょう?

今回は、常識が生み出されるコミュニティに目を向け、2枚目の偏見メガネのレンズを取り外し可能なものにしていきましょう。


* * *

イライラのもととなりうるコミュニティの偏見メガネ


(以下、佐渡島さん)

偏見メガネの2枚目のレンズは、コミュニティの常識です。僕たちは、所属するコミュニティの常識に大きな影響を受けています。


人が「常識でしょ?」という時、それはほとんどコミュニティの常識を指しています。業界、会社、学校、家族、仲間内……そして大きく見れば日本や現代社会など、そのコミュニティの常識に知らぬうちに縛られているのです。


突然ですが、あなたがイライラすることを思い浮かべてみてください。「約束を守らないこと」「連絡を返さないこと」「時間にルーズなこと」など色々出てくるでしょう。

しかし、それは本当にあなた自身の価値観で怒っているのでしょうか。


会社の中では、ルールを守ることが徹底されます。学校でも同様です。そうしたコミュニティの常識がいつの間にか自分の偏見メガネになってしまっているのです。


イライラしている自分に気づいたら、「どうして私は腹が立っているのだろう?」と掘り下げてみます。例えば、「約束を守らないこと」にイライラしているのであれば、これまでコミュニティの中で「約束を守ること」を徹底されてきたのではないでしょうか。


相手に対して腹立たしく思った時は、自分の偏見メガネに気づくチャンス。その機会に、コミュニティの常識を特定しましょう。

これにより、常識に囚われない企画を生み出すことにもつながりますし、自分のイライラを分析し人間関係を良好にしていくことも可能になるのです。


超一流のクリエイターは常識人


「第一線で活躍するクリエイター」というと、みなさんはどのようなイメージを抱くでしょうか?

約束事は守らず、破天荒な格好をして、突拍子もないもの言いをする……そんな無頼な人を想像するかもしれないですね。


私は編集者という仕事柄、これまで多くの一流クリエイターと出会ってきました。そこで見えてきたのが、超一流のクリエイターは常識人で、社交的。付き合っていて魅力的な方がほとんどだということです。一方で、失礼な言い方かもしれませんが、無頼な人は準一流くらいの方が多い。


一見、他者が思いつかないようなクリエイティブな作品を生み出すには、常識に縛られないことが重要だという気がします。しかし、考えて見てください。そもそもの常識を持っていなければ、そこから精度高く外れることもできないのです。超一流のクリエイターは、超常識人。常識を重々理解した上で、それを全て取り外せるから一般の人たちに響くコンテンツを生み出せるのです。


反対に、非常識人は“ふつうの人”の感覚がわからない。だから、作品を生み出すと、常識から外れているか否かが偶然のマッチングになってしまうのです。


新人クリエイターは一流になろうとするあまり、常識知らずな振る舞いをしがちです。しかし、その姿勢は間違っている。

コミュニティからくる常識をすべて認識し、取り外しができる人こそが超一流のクリエイターとなれるのです。それはつまり、偏見メガネを取り外しができるということなのです。


コミュニティを複数持ち偏見メガネの取り外しを可能に


コルクのインターン生には、「なんでもいいからTweetしてみて」と伝えています。ある時、インターンの彼が「仲間内で飲んでいた時に、ワインのエチケット(ボトルラベル)を上向きにして注げなかった」と反省を書いていたんです。

僕は、「ソムリエではないんだし、仕事関係の飲み会でもないんだから、気にしなくていいんじゃないの? むしろ、そんなことを気にしない関係性の方が楽しい仲間なのでは」とコメントした。

でも、このインターンの子にとっては、これまで所属してきたコミュニティの常識が一般常識であると染み付いているんですよね。


コミュニティの常識の偏見メガネを取り外せるようになるには、複数のコミュニティに所属することが必要です。

会社のコミュニティから外れて、コルクラボのようなサロンに入ることで、自分の偏見メガネに気づくかもしれません。また、都心で暮らしていて、地方に移ったら東京での常識は常識でないということを知るかもしれないですし、同年代での常識が、異年齢の人と話していたらまったく常識ではないということを認識するかもしれません。


コミュニティの外に出ると、無意識のうちにかけていた自分の常識の偏見メガネに気づくことができます。それができれば、自分の小さなコミュニティのみでウケる企画にとどまることはないでしょう。

コミュニティの常識の偏見メガネを取り外した企画にもなりえますし、コミュニティとコミュニティとをぶつける企画も考えつきます。ぜひ、コミュニティの外へ一歩踏み出して、自分の常識を見つめ直してみましょう。


聞き手・構成/佐藤智 @sato1119tomo &コルクラボライターチーム

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