コミチ公式さんの作品:7月度『コミチ漫画賞』受賞者発表!

7月度『コミチ漫画賞』受賞者発表!

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 みなさま、お盆休みはどのようにお過ごしでしょうか?

 この毎日の暑さにトロケそうになっているコミチ代表のマンディ@daisakkuです。


 第2回目のコミチ賞も、135ものたくさん作品が集まりました。本当にありがとうございます!

 関係性というお題は少し難しかったかもしれませんが、今まで投稿頂いた作家さんや初投稿の作家さんなど、新旧入り乱れまして、すごく沢山の面白い作品が集まりました。


 関係性と言うと、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか?

 一般的なのでいうと、家族、恋人、友人、仕事仲間などでしょうか。

 作家さんと常日頃話していると、物語というものは、作家自身の見たり聞いたりした”原体験”からしか生まれないのだといつも感じさせられます。

 その”原体験”から、マンガならではの表現技術、例えばキャラ化・強いセリフ・コマ割りを使って、創作物として練り上げた作家の思考の結晶がマンガなんだなと改めて感じたのが今回のコミチ賞 #関係性です。


 大賞&新人賞のダブル受賞のわんこさんの作品は、物語としてのメッセージ性を強く感じた作品です。

 詳しくは各審査員にお任せしますが、心に強く残る作品であるという観点から選ばれたのだと思います。

 ぜひ更なるラリー(描き直し)を繰り返し、マンガとしての完成度を上げていくと、たくさんの人に読まれるものになりそうだと可能性を感じさせる作品です。


 そして、ラリー賞の日々ひみつさんは、10回ものセルフ・ラリー、つまり”描き直し”をされた作品です。

 自分が作った創作物を描き直すことは、一種の自己否定であり、すごく辛く大変な作業でしょう。

どうすれば、もっと作品として読者に伝わるのか?

この作品の伝えたいメッセージは、合っているか?

など、たくさんの葛藤があるでしょう。

それを10回もやりきった日々ひみつさんの努力が実った素晴らしいと感じた作品です。


それでは各受賞を発表します。


<大賞&新人賞 タブル受賞!>

架空のレズ(わんこ)


(シャープさん @SHARP_JP コメント)

 コミチ賞2回目にして、いきなり新人賞と大賞のダブル受賞作が生まれました。その評文を担当する私は、とても現代的な問題作、と書きはじめ、すぐに消した。性的(だけともかぎらないけど)マイノリティの問題は、近年めざましく注目され、そして多少なりとも社会が改善へ動こうとしている事柄には違いないと思う。しかしLGBTはじめ、性的マイノリティへの認知と理解が急速に進もうとも、そもそもその問題は現在的に発生したわけではない。ここで描かれるように、幼いころから悩みを抱え、矛盾に直面しながら、それでもマイノリティの生活は黙々と営まれてきた。人間なのだから、当たり前のことだ。


 当たり前の事実は、あらためて言うまでもないことなのだけど、あらためて言われたとたん、まざまざと実感が迫ってくる。その見えていなかった実感こそが、マイノリティに対してわれわれの社会が突きつけてきた暴力のようで、私は読後、胸が苦しくなった。私たちは放っておくと、安易で平板なイメージをおしつけてしまう。その安易で平板なイメージは、マイノリティに無自覚な時代では「偏見」として、現在のように認知が進む時代では「わかったふり」として現れるのだろう。


そんな「わかったふり」の危うさを、「架空のレズ」というタイトルと「現実のレズ」の内容が容赦なくあぶりだしてくる。今回の賞のテーマは #関係性 だ。この作品は、主人公とパートナーの関係性だけを描いているのではない。マイノリティと社会の関係性、そして人間と生活の関係性をも描いているのだ。


(たらればさん @tarareba722 コメント)

 テーマとして切実だというだけでなく、マンガとしての見せ方(演出)、メッセージ性、キャラクターの描き方、テンポ、構図、そしてなにより今回のお題とのマッチングと、応募作のなかでいずれも圧倒的クオリティと感じました。すばらしい。


 今回のお題である「関係性」とは、一般的には「自分と他人(家族や恋人や友人、同僚など)との関係を抽象化したもの」と捉えられるし、わたしも普段はそういう使い方をしています。ですが、本作ではそのテーマの「階層」を一段引き上げていると思えました。

 つまり「自分と恋人との関係性」だけでなく、「【その関係性】と社会との関係性」というテーマが見て取れる。「 」をひとつ増やしているんですね。

 多様であるべきであり、実際に多様であるはずの(人と人、人と社会の)関係性が、たとえば「レズ」、たとえば「BL」と名前を付けられることで、多くの人の心の中で定型化し、カタログ化し、結果として現実にその属性を身に宿す生身の体と心が置き去りにされてゆく。わたしたちはそういうラベルを貼られたり貼ったりして生きています(ちなみにその「ラベルを貼る」という行為を「抽象化」と呼び、マンガ表現は代表的な抽象化作業でもあります)。

 そうした実情のなかで、「世の中、そんなもんだよ」と諦観しながらも、冷笑しきれないしんどさが、よく描かれていました。

 途中にある、「自分を形作る輪郭がぐずぐずと崩れてしまうような感覚」を視覚的に描写しているシーンも見事だし、それが最後のコマの、命綱のような「関係性」につながるところもよかったです。


 さてしかし、大賞にも新人賞にも(ぶっちぎりで)推した本作品ですが、実は「次作が大変だろうな」とも思っています。それは、作者である「わんこ」さんがこの先、本作と同じくらい心情を掘り下げられるキャラとテーマに出逢えるかどうか、という心配があるからです。

 もちろん、本作品の登場人物やテーマが、もともと作者自身が持っていたものなのかどうかはわかりません。わかりませんが、おそらくこの作品で描かれているテーマは、わんこさんがずっと考え続けてきたテーマだろうし、また、ずっと見つめ続けてきたキャラクター設計なんだろうなと思います。そうしたものがまた新たに見つかるのか。もしくはこのキャラクター、このテーマを描き続けていくのか。

 個人的には、これだけ丁寧に、繊細に描写できるテーマとキャラクターに巡り合えたこと、それを作品として形作れたことは、大きな経験になったとも思います。

 ぜひともわんこさんの絵柄で、(もちろん楽しい作品でも切なくなるようなストーリーでもどちらでも楽しみにしています)同じような丁寧で繊細に掘り下げられた構成で、次回作を期待しつつ新人賞にも選ばせていただきました。


(柿内さん @kakkyoshifumiコメント)

 エッセイ漫画として、秀作。応募作の中ではダントツの出来で、大賞と新人賞のダブル受賞も納得です。特に「溶ける」という言葉の使い方(対比)が、良いですね。

 あえて一つ苦言を申し上げると、恋人の人物描写が弱く、言いたいことを表現するためにそこにいるかのように感じてしまったのが、ちょっと勿体無いかなと。僕はむしろこの2人の「関係性」や「リアリティ」をもっと見たかったし、もっともっと描くべきかと。テーマを伝えるのであれば、文章でもいいわけです。

 キャラクターは、メッセージのために奉仕してはいけない。この漫画の内容を文章で書いたものと、漫画で描いたものの間にある決定的な違いは、なんでしょうか。次回作に期待!



<ラリー賞>

コマンド入力すると夫がレアキャラになる 第一話(プロローグ)(日々 ひみつ)



(シャープさん @SHARP_JP コメント)

 今回のコミチ漫画賞のテーマは「関係性」ですが、人間の関係性が夫婦を舞台に描かれることもめずらしいことではありません。永遠のライバルや恋人といった関係性ほど、劇的な物語が紡がれることはないかもしれないけど、その分日常性であったり、あるいはささいなすれ違いであったり、穏やかながらも時間や文脈の蓄積が表現されることが多い気がします。今回のラリー賞を受賞した日々 ひみつさんの作品は、いっしょに暮らすからこそわかる夫のさまざまな顔が、ゲーマー脳な妻の視点から次々と(ほぼ萌えとして)描写される。


 日常生活は、自分がプレイヤーとして日々のタスクやクエストをこなしていくゲームだとも言えるわけで、そこに仲間(この作品では妻の夫を超えた推しといってもよい)が加わると、発生するイベントがすべて褒賞に変わるわけで、そりゃあ日常を進めるモチベーションも劇的に上がる。そんな幸福な生活が少しずつていねいにラリーされ、描き直される過程も楽しませてもらいました。ひとつだけ私ならではの要望を付け加えるとしたら、冒頭のゲーム廃人だった回想シーンで出てくるテレビのメーカー名は、堂々とSHARPとしてほしかった。その方が私はうれしかった。


(たらればさん @tarareba722 コメント)

 「我が家の配偶者が個性的で魅力的だ」というテーマは非常に激戦区であり、どうしても強力な先行作品と比べられてしまうという点で、難しいジャンルだと思っています。新しい環境と発見、特別に見える個性と関係、創作を後押しする高揚感と、プロアマ問わず参入しやすいテーマです。

 とはいえ「結婚」という、よく考えたら不思議な制度に則って生活していくうえで、(作者が)見慣れた表現手法(ゲーム)に例える描写は新鮮でした。

 絵柄や構成、にじみ出る心情はおおいに期待大で、この先どのような描写(キャラクター自身の魅力に頼って掘り下げていくとそれほど続かないので、関係性の変化(例・お互いの成長等)や新キャラの登場など)が生まれるのか楽しみな面もあり、ラリー賞に選出させていただきました。

 個人的には、元ゲーマーならではの、いろいろな描写(特定のボタン操作で喜んだり、アイテム投入で属性が変わったり、経験値を積んでレベルが上がったり)があると特徴が際立つかなと思います。


(柿内さん @kakkyoshifumi コメント)

 配偶者のことが大大大好きなのは、すっごく伝わってきました。街角でペアルックのカップルを目撃した気分です(笑)

 でもあの恋人たちって、朝どういうやりとりをして同じ服を着ているんでしょう? いったい、つきあって何日目に、どんなきっかけがあって、同じ服を着ることにしたんでしょう? 

 そこらへんが見えてくれば、僕でもペアルックに興味・共感が持てるようになりますが、ただ同じ服のまま目の前に現れては、「ラブラブでよかったねー」で終了です。夫大大大好き!の熱量は凄まじいので、登場人物たちに感情移入ができる糸口がもう少しあると、良いなあと思いました。



 最後に、現在募集中のコミチ漫画賞は今月8月18日(日)まで!

お題は「画力です。」→お題はこちら

 さらに、次回のコミチ漫画賞は、来月の9/16〜22でお題は「ストーリーテリング」です。

物語を作る型として、#起承転結 #3幕構成 に代表される「ストーリーテリング」は、マンガ力に必要な要素の一つです

起承転結のはっきりしている4コママンガはその代表例です。

(もし迷ったら相談してください)


たくさんのご応募お待ちしています!

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