昨日(5/10)の第14回コルクBooks講座にて、縦スクロール・マンガについてサディ(@sadycork)と対談しました。
その内容をブログにしたいと思います。
事前ミーティングでサディと話していて一番印象に残っているのは、
「マンガは日本のほうが進んでいるとずっと20年やってきたけど、僕が韓国や中国のマンガを研究する日が来るとは・・」というサディのリアルつぶやきでした笑。
漫画家の皆さん、韓国や中国のマンガサービスを研究されていますか?
食わず嫌いはよくありません。
ぜひぜひ一度韓国や中国のマンガサービスを覗いてみてください。
<NAVER WEBTOON>
<快看漫画>
https://www.kuaikanmanhua.com/
なぜ縦スクロール・マンガを研究すべきなのか?
まず大前提にあるのは、僕はコマ割りマンガが大好きです!!
火の鳥/まんが道/アルキメデスの大戦/ヒストリエ/阿吽/MASTERキートンなどなど、好きなマンガを挙げたらキリがありません。
手塚治虫を始め先人達が作った“マンガ“というエンタメ表現は本当に素晴らしい。
絵・コマ割り・フキダシなどによって、
時間・場所・キャラの関係性を、
紙という媒体に落とすための最適なエンタメ表現を確立しました。
しかし、いまエンタメ媒体としてはスマホを抜きにしては語れません。
マンガでいえば、2017年から紙よりも電子書籍のほうが読まれているのです。
それはスマホの普及という理由が大きいと思うのです。
そして、スマホといえばネット接続が最大の特徴。ブラウザに最適なマンガ表現は?と考えたときに、縦スクロール・マンガは一つの解だと思うのです。
<参考:2017年のコミック市場規模発表。紙+電子で2.8%減の4,330億円、紙は初の二桁減、電子は17.2%増>
縦スクロール・マンガとコマ割りマンガの違いって?
まずは縦スクロール・マンガとコマ割りマンガの違いを表にしてみました。
まず、コンテンツがどう変わるのか?という軸と、どんな読者を対象とするのか?という軸にわけました。
コンテンツの軸でいうと、縦スクロール・マンガは1話あたりのコマが少なく、コマが大きくスマホで見やすいので、読者が自分のペースで読める実感がより高いというのが特徴だと思います。
次に読者層の軸でいうと、スマホ・ネイティブ層や海外の読者をどうするのか?と考えたときに、縦スクロール・マンガのほうが読みやすいのではないかと思うのです。
SNS時代に、スマホ・ネイティブ層に向けて、何度も読者に接触し、ファンにしていく。
そういう戦略に、縦スクロール・マンガは有効だと思うのです。
つまり、
(1)マネタイズをどこにおくか?
コマ割りマンガ → 紙でマネタイズ
縦スクマンガ → ファンによる応援でコミュニティ化してマネタイズ
(2)読者層をどうするか?
だと考えました。
先日けんすうさんが、マンガの高級商材化のお話をされていました。
安くて・軽いマンガをどうやって作るのか?というのを考えたときに、縦スクロール・マンガというのは一つの解なのかもしれないと考えているのです。
<出典:マンガが「高級商材」となった時代の戦略は何がいいか?(けんすうさん)>
縦スクロール・マンガの制作ポイント
僕が縦スクロール・マンガを研究して、特徴は3つあると考えます。
まず1つ目は、「カラー必須でコマ数を少なくする」ということです。
実際に比較表を作ってみました。
かなりコマ数が少ないですが、他のコマを画面内に見せず、絵コンテ的な没入感を演出する必要があります。
2つ目がメクリとヒキの表現が違うということです。
メクリでいうと、冒頭にタイトルを置きがちですが、縦スクロール・マンガでは、冒頭にその話の状況がわかるようなコマを数コマ置いてから、タイトルに入ります。
またヒキでいうと、お話の最後にすごく縦に長いコマが入ります。ここでストーリーに没入して続きが気になるようなヒキを入れているのではないかと思うのです。
詳しくは下記のマンガを読んでみてください。
https://comic.naver.com/webtoon/detail.nhn?titleId=703836&no=70&weekday=thu
3つ目がLINE的な会話UIをマンガに取り込んでいるということです。
LINEのメッセージ画面って、右側に自分のメッセージ、左側に相手のメッセージが表示されるUIです。
これはスマホに最適なUIで、相手と会話している印象を受けます。
それと同じ表現が韓国のWEBTOONでも起こっていると思うんです。
もう一度下記のマンガを読んで見てください。
右側に男性(たぶん主人公)、左側に女性がいないでしょうか?
これって、会話シーンを演出するUIだなと思いました。
https://comic.naver.com/webtoon/detail.nhn?titleId=703836&no=70&weekday=thu
まとめ
縦スクロール・マンガの考察いかがでしょうか?
コルクBooksでは、新しいマンガ表現を研究していまして、縦スクロール・マンガ以外にもアニメ・TikTokなどいろんなエンタメの研究をしています。
もし他におすすめのエンタメ表現があったら教えて欲しいです。
最後に、僕はマンガが大好きです!
そして、そのマンガを、もっともっと世界中に広めて行きたいと考えています。
それには才能のある漫画家をたくさん発掘し、サポートし、面白いマンガをたくさん描いてもらう必要があります。
漫画家コミュニティ「コルクBooks」を、応援してもらったら嬉しいです!
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