こんにちは。本心を伝えるのが苦手な編集者なゆみんです。(※以下、略称"な")
今回私は編集者課題で「PANDA」「100日後に死ぬ誰か」などを描かれた中山ゆき先生に取材を挑みました。
自分の未熟さに気づかされるとは知らずに―――。
新連載「ひねくれものの対角線」が生まれた背景や中山先生の想いについて、熱くお伝えしていきます。
と、一般的な記事の流れなら上記のように書いていくのですが、今回はやめます。
対談のような記事で中山先生と新連載『ひねくれものの対角線』の魅力を伝えます。
●はじめに~中山先生と作品が生まれたキッカケ~
Twitterにて中山さんのスペース(※ボイス会話)でお話を伺うことに。ところがどっこい。スペース参加直後、うぉぉおおおおおおという奇声が聞こえてくるじゃありませんか。恐怖ですね。緊張しながら話をしてみると、「それは本心ですか?」「どういう意図でそれを話しているの?」などの問いを投げかけられては、私が口ごもってしまう始末に。※上記の問いは、私を知るために投げかけてくれたものでした。
愛という名のムチをくれた中山先生。本心(感情)を伝えるということは、新連載『ひねくれものの対角線』が生まれたキッカケでもありました。
中山「以前描いた『100日後に死ぬ誰か』が、企画の面白さ、Twitterでバズるという事を意識した漫画作品だったのね。予想が外れた部分はあったけど、連載終わった後には8000人以上のフォロワーがついて。個人的には2万フォロワーを目指していたので、失敗なんですけど(笑)。」
中山「それで実際に100日間描いて思ったことは、漫画を描いた気にならなかった。そこに自分の本心や感情を描く作業が足りていなかったから。深い部分(本心)を描けてないからこそ、描いた気にならなかった。ちょっと増えたフォロワーにも自分自身を見てもらえてはいないなって。そこそこのものは多少描けるようにはなったけど、本当に良いものを描いたという実感がまるでなかった。だから今回の作品では、自分の本心とより深く向き合った作品をつくりたいと思って。誰でもは描けないようなものが描きたいと思いました。それが新連載『ひねくれものの対角線』を描くに至ったキッカケです。」
中山「あとは、とにかく本心を言うことが大事って、編集者の方に言われまして。僕が読み切り作品を描いて持ち込みしたときに、ニコニコしながら見た後にね。「お前のやってること最初から最後まで全部間違ってるよ」って言われたことがありまして。」
な「なるほど。(だいぶ衝撃的なのきたな・・・。)」
中山「お前の思ってることを言わないとしょうがないよ」って、「嘘で人の心なんか絶対動かせないんだよ」っていう。そこで僕の考え方が変わりまして、とにかく「本心」を言わなきゃいけないんだなと思って。それからとにかく本心を言うようになったら、普段人間がどれだけ建前で喋っているのかを少し分かるようになって。それで今では考えが180度変わって、僕はどっちかっていうと、コミュニケーションにおいて誠実な態度を自分がとってると思うんですよ。「本心」をちゃんと言っているから。上辺の会話とか思ってもないことを言ったりして、会話を惑わせてくる人の方が不誠実だと思っているんですね。」
な「ほぉ~~~~~~。(こうゆう考え方もあるのかという衝撃)」
中山「ただ本心だけを言っていればいいというわけでは勿論なくて、やっぱり言われ方によって、相手は守りに入っちゃったりとか、責められてると思ったりするんだろうなと思って。それで、そこの加減でもめる事が増えて、そういうすれ違いも何とかして改善していきたいなっていう自分自身の化身として描いたのが、新連載『ひねくれものの対角線』主人公・釘宮蓮くんということですね。」
(※貴重なキャラクター初案※一枚目:主人公:釘宮蓮 二枚目:ヒロイン:藤原すみれ)
中山「この子(釘宮蓮)が成長するということが=僕の人間的な成長に繋がるんじゃないかと思いまして。」
「それによって自己理解が深まるのかなと思ったのもキッカケです。
やっぱり、自分の本心や感情を描いた作品をつくらないとと思ったから。」
●中編~中山先生と作品に対する想い~
続けて中山先生と話すも「根本的な部分で話がかみ合っていない」「言語化ができていないから、何を聞きたいのが分からない」など問われては、私のHPライフが0に。でも本心で中山先生が話してくれるからこそ、私も本心を言葉にのせて話すことができるーーー。
そんな中山先生に、『ひねくれものの対角線』に込めた想いやテーマを聞いてみたところ。
中山「実は読者に向けたテーマとかはまだ見つかってなくて。」
な「そうきたか~~~~」
中山「でも、描くに至った経験とかはやっぱりあります。」
「僕が人を信じられなくなったというか、人間に絶望した出来事があって。『ひねくれものの対角線』主人公の釘宮が、人に対して心を閉ざしているんですけど。これはまさに自分自身の現状を描いていて。18歳ぐらいの頃から漫画のアシスタントに入って色々夢みてたんだけど、プロの業界はすごく汚いこともいっぱいあって、すごくひどい仕打ちとかもたくさんうけて、それで、僕の中に「基本人は信じない」スタンスが生まれてしまって。それで、あの日アニメや漫画でみた「純粋で綺麗な世界」はどこにも存在しないという絶望に気づきました。だから、せめて自分の描く物語の中だけは綺麗であってほしいと思った。」
(※『ひねくれものの対角線』予告漫画一部抜粋※)
傷ついてねじ曲がってひねくれた心が、立ち直れることってあるのかなと思って。
な「では、『ひねくれものの対角線』を描くにあたって、苦労したことや大変だったことはありますか?」
中山「苦に思ったことは今のところないけど、ずっとつまずいています。僕自身が人に心を開いていないから。釘宮君がどうやったら心を開くのか分からなくて。あとは、自分の本心や感情がどれだけ読者に受け入れてもらえるか。嫌われるんじゃないかっていう不安があります。」
な「『ひねくれものの対角線』をどういう人に読んでもらいたいですか? 」
中山「自分のように傷ついて人を信じられなくなってしまった人、こじらせている人に読んでほしいですね。」
なゆみん「つまり、ひねくれている人ですか?※失礼」
中山「自分のことをひねくれていると俺は思ってないから。さっきも言ったけど、何なら俺は一番誠実でまっすぐだと思っている。ひねくれているというのは、周りから言われることであって、全体的にみたら僕がひねくれているんだなという感じです。」
なゆみん「主人公釘宮は、中山さん自身ということですか?」
中山「僕自身から抽出して描いている。細かい言葉は変えるけど。」
なゆみん「キャラの中身(ひねくれ方)は変えないんですね。」
中山「中身を変えるということは、僕自身“嘘をつく”ことだと思っているから。キャラの中身は自分と変えない」
な「中山さん自身、新連載『ひねくれものの対角線』を通してどう成長すると思いますか?」
中山「今は分からない。連載全部描き終わったあとに分かるかもしれません。」
『ひねくれものの対角線』ラストのイメージはもう決まっているのね。(※取材当時:一話目投稿後。はやっ。)主人公である釘宮が最後どうなるかのシーンはあるから、そこに至るまで様々な人と釘宮を出会わせることができたらなと。自分の価値観を更新してくれる人間との出会いが、人を変えるような気がします。」
●最後に~中山さんに取材してみてラスト~
新連載『ひねくれものの対角線』作者、中山ゆき先生にインタビューしてみて。
作品に込めた想い・創作への熱量と姿勢がとにかく凄い。真っすぐに、ひたむきに作品を描いて描きまくって、注ぎこんでは心を燃やしている。一生懸命で熱い姿に心を打たれる以外あるだろうか。性格はひねくれている(かも)しれないが、私は中山先生の作品や創作に対する姿勢が取材を通して好きになった。性格はひねくれている(かも)しれないが。
連載を終えた後に、中山先生は果たしてどんな風に成長しているのか。物語のラストはどうなるのか。
今後とも新連載『ひねくれものの対角線』に目が離せない。毎週水曜更新です!
なゆみん「ちなみに、物語のラストは教えてくれないんですか。」
中山ゆき「何で教えると思ったの?」
中山先生、自身の連載もある中、取材にご協力いただき誠にありがとうございました!
●中山先生が描いた漫画作品はコチラ!
新連載『ひねくれものの対角線』第1話
https://comici.jp/articles/o/79728/
■中山ゆき 漫画家(公式プロフィール)
■公式プロフィール■
2017年5月 新世代サンデー賞 奨励賞
2017年8月頃 アシスタント開始
2017年9月 新世代サンデー賞 努力賞
2017年12月期 新人コミック大賞 佳作
第81回 少年部門 佳作『ベンチウォーマーズ』
https://shincomi.shogakukan.co.jp/viewer/81/02/0404/
2018年12月 サンデーmini2月号『青春が終わる前に』
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496605483461
2019年9月 サンデーmini11月号『陸上部長距離周回軌道』
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496605483575
2020年3月 サンデーmini5月号『青春少年告れない』
https://www.sunday-webry.com/episode/3269754496548517644
2021年2月 サンデーmini4月号『ベストウイルス』
2021年10月 サンデーS11月号 『PANDA』
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