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つのだふむさんが自分の交際相手、りさこさんの魅力を描いた『りさこ』シリーズ。

これめちゃくちゃ価値ある活動なんではないかと思った。


何がすごいかというと、「りさこ」への共感をふむさんが自ら生み出しているところだ。


女の子の魅力に共感させる描写は、これまでの作品の中で数え切れないほど登場してきた。

当たり前だが一般的なものは被ることも多く、かわいさの表現として記号的に使い回されるようになった。


たとえば恥ずかしそうに笑う描写。

少年マンガのヒロインで恥ずかしそうに笑ったことがないキャラはいないんじゃないか、くらいよく出てくる。

それだけ多くの人が、恥ずかしそうに笑う女の子に惹かれるという証拠だ。

もっと言うと、恥ずかしそうに笑う女の子を描けばそこそこウケを期待できることを、作り手も知っている。


だからふむさんの選択肢の中に、「りさこ」が恥ずかしそうに笑うだけの描写をするというのもあったとは思う。

りさこさんもそういう仕草をするだろうし、ふむさんはそれを見て「かわいい~」と思うだろうし。


でもそれをやるには問題がある。

恥ずかしそうに笑うヒロインが多すぎて、競争倍率が高いことだ。


僕もりさこさんのことを知らないので、かわいい笑顔見るだけなら別に「りさこ」じゃなくてもいいやん、と思ってしまう。


もちろんそんなことをお見通しのふむさんは、「ありきたりな描写ではりさこの魅力は伝えられない」と感じ、りさこさんだけのよさを見つけるべく観察した。

その結果、「急いでいてもスノードームに雪を降らせる」という描写をした。


この1作目が僕には衝撃だった。(https://corkbooks.com/articles/?id=2817&smode=on)


まず純粋に、たしかにスノードームへのわくわくを忘れてない女性って愛嬌があるなと納得できた。

僕の身近にそんな人がいるわけでもないのに、魅力を共感させられるのがすごい。


でもそれだけではない。

ディティールにこだわった描き方のおかげで、「りさこ」の愛嬌はもちろん、モデルのりさこさんや、それを観察したふむさんのオリジナリティ、2人の関係性が想像できた。

「急いでいてもスノードームに雪を降らせる」りさこさんを描けるということは、ふむさんが忙しそうなりさこさんを見送っているということだ。

それだけでも、めちゃくちゃ仲睦まじいやんか!と羨んでしまう。


この魅力は「りさこ」だけが放てる個性だ。

だからこそ、今日もかわいい女の子が出てくるマンガを読んだけど「りさこ」も見るか、と思うようになる。


そしてこのシリーズを通じて養った着眼点は、全ての作品で使うことになる。

ふむさんは自分の個性を作品に織り込み、ふむさんの作品を読む必然性を生み出す修行をしていた。


以上が、僕が感じた『りさこ』シリーズのすごさだ。


あとちゃんと共感されたかどうかの判断が皆の反応から大体わかるので、コルクBooksはすごいなあと思った。

皆もコルクBooksに投稿しよう!


※制作中のふむさんの気持ち、りさこさんの人物像は僕の想像です。

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2019/3/1 #コラム
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