12968 607 607 false CqMkuCosjHmrJl1SNf5b0DUh5zvdoM5C bd8b633e116ec60c0c9a50219bea2f94 ああああああ!!!!いいんですか!!!!!ありがとうございます!!!!! 精進いたします!!!!!! 「誰かの人生」/雨宮にがり 0 0
ごとう隼平さんの作品:「誰かの人生」/雨宮にがり

こんにちは、マンガ制作研究組織「東京ネームタンク」のごとうです。


今回は、8月のコミチ漫画賞『#画力』に投稿されたネーム添削の第2回目です。


今回の作品は雨宮にがりさんの『誰かの人生』。

それでは、作品を振り返っていきましょう。


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1コマ目からとても魅力的な絵ですね!

キャプションを拝見すると初めての創作マンガとのことですが、とてもそうは思えません。


これをもっと魅力的な作品にするには、先週の繰り返しになってしまいますが、もっと「情報」を伝えることが必要かなと思います。

情報があることで、クライマックスの「他人の人生に一喜一憂することも、私が自分の人生を生きるということなんだ」という感情が鮮明になって、より読者に届きやすくなるはずです。


情報というのは例えば、主人公である彼女はどんな人なのか、ということです。

普通の高校生なのか、クラスではちょっと浮いている存在なのか、どんな日々を送っているのか……。

そういった情報を描くことによって、彼女のクライマックスの感情を読者が理解しやすくなると思います。


またこのマンガは、主人公の彼女が自分の生き方を社会に向かって主張している、という作品でもあると思います。

ですので現代社会において彼女がどんな価値観を持った人なのか、ということも知りたいと感じました。

このストレスの多い現代社会で彼女はどうやって生きているのか、というところが見えてくると、読者が彼女の気持ちに共感しやすくなるはずです。


次にお伝えしたいのはマンガの構造についてです。

マンガを作るときに必要な要素は5つあります。


まず1つ目は「キャラクター」です。

こういうキャラクターがいて、この子はこんな性格で、こんな悩みを持っていて……といったところですね。これは上でお伝えしたことです。


2つ目は「どうなっちゃうの?」というエンターテイメント性です。

この作品は「推しが死んだ」というところから始まっていて読者の興味を引きつける作りにすることができていますね。


3つ目は「クライマックス」です。

これも、最後のメッセージも伝わってきますし「クソッタレ人生ー!!」というセリフ、絵にもインパクトがあってとても良いと思います。


4つ目は「テーマ性」です。

この作品は、「アニメのキャラクターである推しの人生に一喜一憂することが、彼女にとって自分の人生を生きることである」というテーマのおもしろさを持っていますね。


5つ目は「主人公のしたいこと」です。

この作品に足りていないのはこの要素です。

「今日推しが死んだ」と始まってそのあと主人公はどうしたいのか?ということをもう少し描くと物語がより深まると思います。


推しが死んで、彼女はどうにか立ち直りたいのか、それとも推しの死を受け止めたいのか、というところをほんの少しだけでも描くと、クライマックスの「クソッタレ人生ー!!」がもっと映えると思います。


なぜかと言うとこの「クソッタレ人生ー!!」は、これまで抑圧されていた感情が解放される、カタルシス的な感動を得られるシーンのはずだからです。

「こうしたい」と思っていることが叶わないからこそ抑圧が生まれて、抑圧された感情を解放したときにカタルシスを得ることができます。


ですので「立ち直りたい」でも「受け止めたい」でもなんでもいいのですが、はじめにほんの少し「主人公のしたいこと」を描くことでクライマックスのシーンをより読者に響かせることができると思います。


また「私達は他人の人生に一喜一憂している」というモノローグのシーンで、主人公は何を得たのか、ということをもう少し知りたいなと思いました。

新しいものを発見したり何かに気づいたりすることも、ひとつのカタルシスであり感動ですよね。


彼女が「他人の人生に一喜一憂している」ことで何を得たのか、何に気づいたのか、ということをもう少し考えてみてもいいかもしれません。


あとはモノローグやセリフで語っている部分を絵で表現することを意識してみると良いですね。


例えば「私達は他人の人生に一喜一憂している」というところに「他人の人生」を表した絵がありますね。

この部分はもっとページをとって「他人の人生と自分の人生を重ねて生きている様」を分解して表現してもいいかもしれません。


このテーマを設定する着眼点はすばらしいと思うので、そこを意識すると主人公の彼女が持つ価値観をより強く打ち出すことができるのではないでしょうか。




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