いよいよ5月12日、共感系マンガ雑誌『マンガQ』の第2号が刊行されます。それを記念し、今回掲載されているSNS時代の新進気鋭のマンガ家13名にインタビューを実施しました!
今回のインタビュー相手は、マンガ『猫様の言う通りっ!』の作者・ちえむさんです。
今回のマンガでは、「孤独」をテーマに描きたかったと言うちえむさん。
その裏にあった、創作意欲につながる強い思いとはなんなのか?
SNS時代において、世に熱狂を起こそうとしているマンガ家たちの声をお聞きください!
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「孤独」を描くための試行錯誤
ーー本日はよろしくお願いします!「猫様の言う通りっ!」読ませていただきました。
ちえむさん:ありがとうございます!
ーー「猫様の言う通りっ!」は、主人公の拓という青年と、喋る猫・クロのお話ですが、この作品に込めた思いを教えていただけますか?
ちえむさん:主人公の拓は自分の気持ちをすごく抑えてしまう性格なんです。そして、人間には誰しもそういうところがあると思います。人に嫌われないために自分の感情を抑えるってある意味「孤独」ですよね。それに対して、猫は「好き勝手しても愛される」気ままな存在じゃないですか。そういう2人のキャラクター(正確には1人と1匹)を対比して描くことで、人間の「好き勝手しても愛されたい」という感情が表に出るところを描きたいと思いました。
ーー確かに、「いっそ猫になりたい」と思うことって多々ありますよね(笑)。
ちえむさん:そうそう。それってどうしてだろうって考えたら、普段感情を抑えて生活しているから、気ままな猫が羨ましいからだって気づいたんです。
ーーコルクBooksに投稿されている「猫様の言う通りっ!」の一番初めを見ると、今回の作品とは設定も雰囲気もだいぶ違いますよね。
ちえむさん:そうですね。初めはおじいさんも猫もいませんでした(笑)。タイトルも「孤独の才能」で、孤独について悟ったようなことを言う喫茶店のマスターが主人公でした。このキャラクターは拓の原型にはなっていますが、今とは性格も全く違いますね。
ーー大きく設定を変えたのはなぜだったんですか?
ちえむさん:「孤独」というテーマを扱うときに、主人公のキャラクターがピンとこなくて。話のポイントを絞って伝えるために主人公をもっと未成熟な感じにして、対比としての猫を出して、という風に変わっていきました。
ーーなるほど。「孤独」というテーマを描きたいという強い思いがあったんですね。
ちえむさん:そうですね。「孤独」を描くためにキャラクターを作りました。
ーーでは、今回の漫画を描くにあたってちえむさんが一番苦労したことはなんですか?
ちえむさん:主人公のキャラクターや心情を深掘りしていくことですかね。例えば、拓がクロに対して激昂するシーンがあるんですが、どうして拓はこんなに苛立っているんだろう、どういう感情が隠れているんだろう、と考えていました。拓の心情を掘り下げていく中で自分自身と向き合うこともあって、しんどいと感じることもありました。
ーー例えば今回のテーマの「孤独」のような、自分の中の向き合いたくない感情が創作意欲になることもあるんですか?
ちえむさん:そうですね。しんどいと同時に、キャラクターを通して自分のことがわかっていく楽しさもあります。
仲間との切磋琢磨が毎日投稿の原動力!
ーーちえむさんはコルクBooksにほぼ毎日投稿してくださっていますが、ちえむさんの創作意欲を支えるものはなんなんでしょう?
ちえむさん:漫画家仲間の存在ですね。特に小山コータローさんの存在が大きいです。彼が毎日投稿しているのを見て、「時間がないとか言ってられない、描かなきゃ」と触発されてます(笑)。
ーー小山さんのことは尊敬しつつ、対抗心も抱きつつって感じなんですね(笑)。そもそも、コルクBooksに投稿し始めたきっかけはなんだったんですか?
ちえむさん:去年の夏頃、マネラボ×コルクBooksの連動で「#初めての給料」という企画があったんですけど、その宣伝をたまたま普段聴いているラジオでしていたんです。それでコルクBooksという存在を知って。
ーー結構珍しい出会い方ですね(笑)。
ちえむさん:そうなんですよ(笑)。それで、ちょうど書き溜めたものをどこかウェブ上に出したいとも思っていたので、思い切って投稿しました。
ーーなるほど。実際に投稿してみてどうでしたか?
ちえむさん:やっぱりコメントをもらえるのがいいなと思います。しかも、褒めてくれる人が多いのはもちろんなんですけど、「ここをこうしたらもっと良くなるよ」っていうすごく建設的なコメントばかりで、ありがたいです。
ーーコルクBooksに投稿を始めて、何か変化はありましたか?
ちえむさん:毎日絵を描く習慣がつきましたね。リアルでは漫画制作に関する具体的な話ができる人は周りにいないので、コルクBooksを通して知り合った漫画家仲間の存在が毎日投稿の原動力になってます。
ーーやっぱり切磋琢磨できる仲間の存在は大きいんですね。
ちえむさん:あとは、漫画を描くときに、「自分はどうしてそれを描きたいのか」ということを意識するようになりました。ただおもしろければいいとか、技術的に上手ければいいとかじゃなくて、もっと自分の創作意欲の元を突き詰めて漫画を描くようになりましたね。この意識は今回の「猫様の言う通りっ!」にも生かされていると思います。
「描きたい」気持ちは枯れない
ーーちえむさんの漫画家としての今後の展望を聞かせていただけますか?
ちえむさん:1つの設定を深掘りして、長編を描きたいなとは思っています。あとは、去年の9月からコルクBooksに「おとうふ侍」というキャラクターの漫画やイラストを投稿しているんですけど、これをなんとかバズらせたい……!
ーー「おとうふ侍」のグッズとか欲しいですね……!
ちえむさん:うんうん、グッズ作りたいです。あとは、とにかく漫画を描き続けていたいですね。
ーーちえむさんは、ご自身の漫画をどんな人に読んでもらいたいですか?
ちえむさん:特に明確なターゲットはないんですけど、毎日がんばって、疲れちゃった人が、私の漫画を読んでふっと肩の力を抜いてくれればいいなと思います。
ーー最後に、これからコルクBooksやマンガQで漫画を描いてみたい方に向けてメッセージをお願いします。
ちえむさん:私の作品を見て、「こんなのでも載るんだ」って安心して、自信を持って描きたいものを描いてみて欲しいです。私も一時期、ネタ切れとか描きたい気持ちが枯れてしまうことが怖かったんですけど、そんな心配いらないです。漫画を描くことは確かにエネルギーを使いますが、本当に「描きたい」と言う気持ちを持っている人の気持ちが枯れてしまうことはないと思います。ひとりで漫画家になりたいとがんばっている人は、とにかく一度投稿してみてください!
ーーありがとうございました!
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以上、『マンガQ 第2号』に掲載されているマンガ『猫様の言う通りっ!』の作者・ちえむさんへのインタビューをお届けしました。
キャラクターとを作ることで自身と深く向き合い、創作の原動力としているちえむさん。今後の作品も楽しみです!
ちえむさんのコルクBooksアカウントはこちら。そしてTwitterアカウントはこちらです。
ぜひ、マンガQを手に取り、マンガ『猫様の言う通りっ!』を読んでいただきたいです!そして、ちえむさんのこれからのご活躍に注目ください!