いよいよ5月12日、共感系マンガ雑誌『マンガQ』の第2号が刊行されます。それを記念し、今回掲載されているSNS時代の新進気鋭のマンガ家13名にインタビューを実施しました!
今回のインタビュー相手は、マンガ『デトックス!!!』の作者・かしわまめふさんです。
メイクアシスタント、会社員を経て、漫画家に転身したかしわさん。
豊富な社会人経験が今のマンガ制作に繋がっていると言います。
SNS時代において、世に熱狂を起こそうとしているマンガ家たちの声をお聞きください!
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働く女性の「我慢」を描きたい
ーー本日はよろしくお願いします!「デトックス!!!」読ませていただきました。
かしわさん:ありがとうございます!
ーーかしわさんは会社員経験があるとのことでしたが、今回の漫画は実体験なのでしょうか?
かしわさん:実体験というわけではないんですが、それに近いものはあります。自分が会社員をしていたときに、世の中の会社員の女性って「我慢」を強いられることがすごく多いと感じたんです。かつての自分も含めて、多くの働く女性の我慢を、今回こういう形で漫画にしました。
ーーそうだったんですね。主人公のかなことかしわさんにリンクする部分はあるんでしょうか?
かしわさん:うーんどうだろう。でも確かに、会社に勤めているときは前半のかなこのようにビクビクしていた部分があったかもしれないです。何か仕事を任されたときに、わからないところを質問したいけど、「仕事ができない」と思われるんじゃないかっていう不安とか……。
ーー私もネガティブ思考なので、すごくわかります(笑)。
かしわさん:そう言ってもらえると嬉しいです(笑)。結構、取り越し苦労だったりするんですけどね。
ーー今回この漫画を描くにあたって、一番苦労したことはなんですか?
かしわさん:おじさんを描くことです(笑)。普段は女性ばかり描いてるので、骨格から何から描き慣れなくて苦労しました。
ーー確かに、おじさん特有のしわの感じとか輪郭とか難しそうですよね(笑)。反対に、描いていて楽しかったことはなんですか?
かしわさん:かなこが上司に対してキレるシーンです!描いててスカッとしました。
ーーなるほど。今回の漫画の中で一番注目してほしいポイントもそこでしょうか?
かしわさん:そうですね。かなこは言ってやった!とスカッとしたかと思ったら、すぐに後悔するんですが、同僚の女の子に「スッキリしました!」と励まされるんです。そこのところの、かなこのリアルな感情の動きも見どころです。
投稿してすぐに具体的なアドバイスがもらえる
ーー今回、描いた漫画をコルクBooksに投稿したきっかけはなんだったんでしょうか?
かしわさん:去年の年末に、ネーム大交流会というイベントに参加したんです。その時のゲストとしてコルクBooks代表の萬田さんがいらしていて、コルクBooksへの投稿を勧められたことがきっかけです。
ーー実際にコルクBooksに投稿してみてよかったことはありますか?
かしわさん:やっぱりフィードバックをもらえることですかね。それまでも自分のHPやSNSに漫画やイラストを投稿していたんですけど、なかなか反応をもらうことができなくて。投稿してすぐに具体的なアドバイスがもらえて、すごくタメになりました。
メイクアシスタントから会社員、そして漫画家への転身
ーーそもそもかしわさんが漫画を描き始めたきっかけはなんだったんでしょうか?
かしわさん:もともと絵を描くことが好きで、幼稚園の頃はひたすら自由帳にセーラームーンの絵を描いていました。高校生になって、将来のことを真剣に考え始めたときもぼんやりと「漫画家になりたい」とは思っていたんですけど、絵で食べていくのは無理だろうなという気持ちが勝って。「メイクは顔に描く絵」「現実的に頑張ればなれる職業」だと考えて、メイクアップアーティストを目指して美容の専門学校に入学しました。
ーーそうだったんですね。そこからまた漫画家を目指すのには、どのような経緯があったんですか?
かしわさん:メイクアップアーティストって、初めはみんなアシスタントなんですね。チーフから指示を受けて仕事をするんですけど、あまり向上心が持てなくて、言われた仕事をただこなすって感じだったんです。それで、このままなんとなくチーフになったとしても、ペラペラなメイクアップアーティストになってしまう、と思って。自分が本当にやりたいことはなんだろうって改めて考えたときに、「やっぱり漫画家になりたい」と思ったんです。
ーー葛藤の末、大きな決断をされたわけですね。その後は漫画家を目指して創作活動を続けてきたんですか?
かしわさん:そうですね。メイクアシスタントを辞めた後はアルバイトをしながら漫画を描いていたんですけど、そのバイト先が潰れてしまって。次は漫画に役立つ仕事をしたい!と思っていたんですが、当時通っていた20代限定の職業斡旋所の職員の方に漫画家を目指していることを話すと、「20〜30代の多くの女性は会社で働いているのに、その人たちに向けて漫画を描いているあなたが会社で勤めた経験がないのはどうなの?」と言われたんです。
ーー結構ガツンとくる一言ですね。
かしわさん:そうですね(笑)。でもその通りだなと思って、勧められた印刷会社の営業事務として働き始めました。そこで、今回の漫画に描いたような「働く女性のリアル」を知ったんです。
ーーその職業斡旋所の方の言葉がなかったら今のかしわさんの創作活動はなかったかもしれないんですね。ヘアメイクと会社員、両方経験しておいてよかったと思うことはありますか?
かしわさん:双方のリアルな業務はもちろんですが、そこで働く人たちの「感覚」を知ることができたことがすごくよかったと思っています。例えば、ヘアメイクの世界には結構年が上の新人の方も珍しくなくて、新しいことを始めるのに年齢は関係ないという雰囲気だったんです。でも、26歳のときに会社に入って、「女性の価値=若さ」という価値観に飲み込まれました。働く女性が日々受けている結婚や出産に対する抑圧を身をもって体験したことは、決して無駄ではなかったと思います。
ーーなるほど。そういった一見ネガティブに感じる体験も、創作活動の源となっているんですね。では最後に、かしわさんの今後の展望を聞かせていただけますか?
かしわさん:SNSで漫画の連載を続けて、いずれは電子書籍化したいです。あとは、今は自分が考えたネタで漫画を描いていますが、今後読者の方から体験談を募集し、漫画化したいと思っています。多くの人の体験談を漫画にすることで、読者の方がより幅広い気づきを得ることができるサイクルを作りたいです。
ーーかしわさんのこれからの作品を楽しみにしています。ありがとうございました!
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以上、『マンガQ 第2号』に掲載されているマンガ『デトックス!!!』の作者・かしわさんへのインタビューをお届けしました。
働く女性の「我慢」をマンガにしたいと語ってくれたかしわさん。今後の作品も楽しみです!
かしわさんのコルクBooksアカウントはこちら、Twitterアカウントはこちらです。
ぜひ、マンガQを手に取り、マンガ『デトックス!!!』を読んでいただきたいです!そして、かしわさんのこれからのご活躍に注目ください!