「Alsjeblieft(どうぞ)」と私の足よりがっちりした腕、もじゃもじゃ金髪の腕毛がしっかり生えた、私の足より太くてがっちりした腕から、薄い薄いチーズをはさんだ茶色くて薄いパンを無造作に、渡してくれました。そのオランダ人の看護師さんは、身長が180センチ以上もあり、ラグビーか柔道選手のように、がっちりとした体格の方でした。(男性かな?)オランダには男性の看護師さんも多いので、男の人かなと思いましたが、恐らく30歳台くらいの女性の看護師さんです。私は、流産の後、ひどい貧血とつわりで病院にいました。薄くて茶色いパンにチーズは、オランダの典型的なサンドイッチです。そして、その看護師さん「pickwick」というオランダブランドの薄い茶色の紅茶を一杯入れてくれました。(ああ、また流産してしまったんだな・・・)。どんなに健康で丈夫な女性でも、妊娠・出産は、命がけ。妊娠、そして流産とオランダの病院に入院するとは想定外でした。急に心細くなって、「わたし・・赤ちゃんに恵まれますでしょうか・・」とポツリときくと、そのオランダ人の看護師さんは、二カッと大きな口と顎を揺らしました。「Geen zorgen. Het komt goed (心配しないで。大丈夫ですよ)」。私の頭をがっしりつかんで、まるで小さな子供のように、頭をゴツゴツとなでてくれました。彼女のおかげで、なにかほっとして、心が落ち着きました。いつもはおいしいと思わないオランダの茶色のパンとチーズ、生ぬるい茶色紅茶も、おいしくいただきました。彼女の名前は忘れましたが、うちの子供達の赤ちゃん時代の写真を見るたびに、そのオランダ人看護師さんのことを思い出します。オランダ人の看護師さん達は、日本人看護師さんと違って、男性のようにかなり大柄で年配の人も多く、白衣を着ていない人も多く(白い服は、子供や患者を不安にする効果あり、ブルーや白以外の色の看護師服が多いです)、「白衣の天使」という可憐な看護師さんは皆無(!)なのですが(少年・少女漫画にはなりにくいかも)、今でも本当に、感謝しています。
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