このコラムでは、毎月さまざまな雑誌やサイトで始まる何十作もの新連載を読んでいる漫画ソムリエ・東西サキ(@tozai69)が、特に漫画家の皆さんに注目していただきたい作品をご紹介します。
今回ご紹介するのは、「ビッグコミック BROS.NET」で連載がスタートした『ひらやすみ』(作:真造圭伍)です。
本作は、29歳、フリーター、定職なし、恋人なし、だけど将来の不安も一切なし!という主人公と、山形から上京してきた18歳の従姉妹・なつみちゃんを中心に、緩やかな日常を綴っていく物語です。
第一話がマジでエモかったので、今回ピックアップさせていただきました!
物語を象徴する"エモい画"
どこがエモいかというと、主人公とちょっと偏屈な独居老人のおばあさんがハグをするシーン。ハグ中に一瞬みせるおばあさんの表情がとても穏やかで、そのギャップにキュンとしました。
この物語を象徴している画ではないかなと思います。
主人公のキャラクターを印象づける演出
ほかにも、おばあさんの遺影を見た主人公が「ピンボケすぎだろ…ばーちゃん…」と言うシーン(実際は写真がポンボケしているのではなく、主人公の目に涙が浮かんでいる)や、従姉妹のなつみちゃんに反抗的なことを言われて、怒るのかと思いきやおばあさんへの想いで泣いてしまうシーンなど、とても良かったです。
それらは総じて、優しくおおらかな主人公を印象づけるシーンであり、その見せ方が上手いなと思いました。
この作品の魅力は、イコール主人公の魅力といっても良いかもしれません。
読み終えたあとに爽やかな気持ちになれました。
鬱屈とした今だからこそ、こういった心を救ってくれる物語を求めている方がたくさんいると思います。
もしまだ未読の方がいましたら、本作をぜひチェックしてみてください。
☆『ひらやすみ』の注目ポイント☆
・「主人公とはどんな人物であるか」を印象づける演出
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2021/6/3
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