皆さんこんにちは、漫画ソムリエの東西サキ(@tozai69)です。
普段は、東京ネームタンクでマンガの【持ち込み先・進路相談】をしたり、マンガの技術や情報を交換し合うマンガ技術研究会というところで活動したりしています。
そのマンガ技術研究会の活動のひとつとして、時代感に追いつくために「常に最新の新連載をチェックする」というものがあります。
このコラムでは、毎月さまざまな雑誌やサイトで始まる何十作もの新連載の中から、特に皆さんに注目していただきたい作品をご紹介します。
「この作品がなぜ今始まったのか?」「どういったところがその作品の魅力なのか?」という視点から新連載を解説していきたいと思いますので、ぜひそれぞれの作品をチェックしてみてくださいね。
テスラノート / 原作:西田征史・久保忠佳 漫画:三宮宏太
連載開始:週刊少年マガジン2021年6号
本作は、落ち目のベテランヒーロー×生意気なスーパールーキーのバディ作品として人気を博したアニメ 『TIGER & BUNNY』の脚本家・西田征史先生が原作を務めるスパイアクション作品です。
通常、スパイものでは主人公のスペシャリスト感を強調すると思うのですが、本作はバディ要素を推しているのかキャラクター同士の関係性に重点をおいた描き方をしていて、少年マンガでは珍しいなと思いピックアップしました。
ヒロインのつかみどころのない感じも青年マンガっぽい演出でユニークです。 作画の書き込みもスゴイ!!
さよならキャンドル / 清野とおる
連載:コミックDAYS
日常の中の不思議を見つけ、読者にそれを読ませていくのは技術を要すると思うのですが、清野先生はミステリーの演出の仕方が上手いですね。
また、実在の人物を描きつつ作中でいじるのも、描き方によっては誹謗中傷になりかねず手腕を問われると思うのですが、清野先生の取材対象への"愛"が読後感を良くしているのですごいなと思います!
来迎國/らいごうのくに / 原作:鈴木智 漫画:玉野裕也
連載:マンガワン
「宇宙→日中の市街→路地裏→家の中→地下→夜の市街」と、深い場所へ潜っていくような場面転換の演出によって、物語のスケール感や没入感が高められているなと思いました!
クライマックスでは、狭い場所から市街に出るシーンの見開きで爽快感を作り出していて、これは上手い演出だなと感じました。
異世界ナンパ / 原作:滝本竜彦 構成:みやけりく 漫画:久水あるた
連載:マンガワン
いわゆる「異世界転生系」と呼ばれるジャンルの作品です。異世界転生系とは、現実世界で不遇な境遇の主人公が異世界で自己実現をしていくというジャンルです。
本作で上手いなと思ったのは、主人公が異世界に転生する前に能力を授かる場面で、心の底から欲する「女性にモテたい」という願望を言えずに、自分が特に欲していない能力を口にし続ける場面です。このキャラの描き方から主人公の奥手な性格が伝わってきますし、本作における企画性、「異世界ナンパ」への期待感が高まりました!
原作は、小説家で『NHKにようこそ!』の著者・滝本竜彦先生。さすが喪男を描かせると右に並ぶものはいませんね!
その淑女は偶像となる / 松本陽介
連載:ジャンプ+
少年マンガならでは熱血演出を、少女を主人公とした「アイドルもの」で描くという企画性をもった作品。 三白眼のヒロインというデザインもユニークですね。
物語はある意味王道で、少年マンガを好む青年読者が多い「ジャンプ+」というレーベルの読者需要とマッチしているのではないかと思います!
気になる新連載はあったでしょうか?どれも今後の展開が楽しみな連載ばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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