皆さんこんにちは、漫画ソムリエの東西サキ(@tozai69)です。
普段は、東京ネームタンクでマンガの【持ち込み先・進路相談】をしたり、マンガの技術や情報を交換し合うマンガ技術研究会というところで活動したりしています。
そのマンガ技術研究会の活動のひとつとして、時代感に追いつくために「常に最新の新連載をチェックする」というものがあります。
このコラムでは、毎月さまざまな雑誌やサイトで始まる何十作もの新連載の中から、特に漫画家の皆さんに注目していただきたい作品をご紹介します。
今回ご紹介するのは、週刊少年ジャンプ2021年10号からスタートした『ウィッチウォッチ』(作:篠原健太先生)です!
本作は『SKET DANCE』『彼方のアストラ』で有名な少年マンガのヒットメーカー・篠原健太先生の最新作。 鬼の力を持つ青年である主人公と、ドジっ娘属性のあるキュートな魔法少女ヒロインが同棲をするというコメディ作品です。
少年マンガでは異色のキャラクター設定
主人公はクールな外見で正義感のあるイケメンで、少年誌の主人公としてはあまりいないタイプです。また、ヒロインも少年マンガではめずらしく、物語の冒頭から主人公に恋をしていることを明確に描かれてるキャラクターです。
つまり、主人公は片想いの相手としてヒロインから見てカッコいい男の子に描かれています。この描き方は、恋するヒロインの可愛らしさを楽しむ新婚ラブコメディのような作品の魅力を後押ししています。
さらに、篠原先生はコントのような掛け合いが得意な作家さんなので、「ヒロインのボケに対するクールなツッコミ相手」という主人公の立ち位置も考えられているのだと思います。
このあたりの、一見少年読者から反感を買いそうな設定にも関わらず共感を呼ぶキャラ描写は見事だと感じます。
違和感を与えない転調の妙
第1話において主人公のルーツをがっつり描くのは定番の演出だと思うのですが、そういった説明は数コマで済ませて、後半の主人公の活躍で能力やキャラを立てていく見せ方も上手いなと思いました。
また、物語中盤のヒロイン登場をきっかけにドラマの展開がテンポアップします。この転調が読んでいて気にならないのは、転調の起点をヒロインの登場シーン、しかも「窓ガラスを突き破り部屋に突入させる」という非日常的なシーンに置いているからです。あえて大げさな描写を入れることで、読者がその転調を受け入れやすくしています。
『SKET DANCE』でもこういった演出をやられていた印象があります。
篠原先生は、しっかりと王道を踏襲している部分もありつつセオリーにとらわれない演出も計算して漫画を描ける作家さんだと思うので、これからの展開が楽しみです!
☆『ウィッチウォッチ』の注目ポイント☆
・読者の共感を得るキャラクター描写
・あえて大げさな画を入れることで転調を意識させる演出
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