人魚とヒト、異なる種での「恋」は難しい?
マンガ家を育成する講座「コルクラボマンガ専科」では半年間かけて、マンガづくりを学んでいく。その5期生である楠あやとさんが、卒業制作のモチーフに選ぶのは「人魚と人間の恋、友情」という。 異なる種の交流を描くに至った経緯ほか、制作裏話などを楠さんへ取材した。
舞台は2×22年、ヒトと人魚が共存する世界線
ーーどのようなお話でしょうか?
楠さん(以下、楠) 主人公は、人間に憧れる人魚です。作品の舞台背景としては、人間と人魚が共存しているものの、人間が多数派で人魚はマイナーな存在なんです。
ーーそれで人間になりたい、普通になりたい、と人魚は願っているんですね。
楠 ある日、人魚は人間の友人と合コンに参加します。そこで、人間の男の子に恋をします。でも「魚臭い」と言われ、フラれてしまうんです。
ーー自分ではどうしようもないことで拒絶されるのは、切ないですね。
楠 傷心の人魚ですが、こともあろうか心配してくれる友人に対して感情的になり「人魚じゃないから私の気持ちなんてわからないくせに」と。
ーー友人関係にもヒビが入ってしまうんですか(泣)。
楠 はい。そこから先、主人公と友人が関係をいかに修復していくのかは、連載で読んでほしいのですが、私がこの作品で描きたいのは<無意識の差別と多様性の享受>です。
差別や悪意は存在する。そこからの<共存>を描きたい
楠 種が異なる、それだけの理由でフラれた人魚ですが、友人とは友情で結ばれています。描きたいのはここで、大事なのは相手が<何に属しているのか>ではなく、何を思う人間(人魚)なのか、ではないかと。これは私の経験から感じたテーマでもあります。
ーーどのようなご経験なのでしょうか?
楠 身の回りであったことなのですが、国籍だけで人を差別する方をお見かけしたことがあって。それは無意識から来るもので、悪意はないことはわかっています。でも、人は国籍ではなく、その人がどんな人なのかが大事なのでは?と。
ーーおっしゃる通りですね。
楠 その辺りも説教臭くならないような形で描いていきたいです。初めての連載がんばります!
ーー楽しみにしてます!
楠さんの描く『人魚は今日も泡を飲む』はTwitter、コミチで配信されます!
作者プロフィール
楠あやと
Twitter ID @Kusunoki_Ayato
毎日マンガを描いています。ねこ、日常系、百合、BLなど色々。表現スキルを上げるため、コルクラボマンガ専科を受講中(5期生)