漫画家・ 山本真也の 唐崎松下拝別山陽先生
江戸時代の詩人であり画家、江馬細香の漢詩 小津夜景さんの訳に感化されて漫画にしてみました。
(短ページすぎて漫画と言って良いのか…)
「唐崎の松下で山陽先生とお別れする」
作:江馬細香 訳:小津夜景
わたしは岸にたち あなたは船に乗り
船と岸で見つめあって 別れを惜しんでいる
人影がしだいに 湖煙にかき消されつつ小さくなり
風を孕んだ帆がついに走り出したそのとき
わたしはあなたを罵るかのように慟哭した
松の下をどうしても立ち去ることができない
碧く広がるさざなみがぼんやりと涙にかすむ
この二十年で七度お別れしたけれど
今日ほど言葉にならないさよならはなかった
江馬細香 1787〜1861 山陽先生 1782〜1832
細香27歳、先生33歳くらいで出会う。
先生が求婚するも江馬父に反対される。 山陽は別の人と結婚するが細香は愛人のまま生涯独身。 美濃に住む細香が京都の先生に会えたのは18年中7回のみ。
結構変わり者の二人だったでしょうか。
恋愛ものなど自分に描けるはずもないけれど、ぽかんと消えていく儚さと、妙に清々しいさっぱりさを表現してみました。