テーマ 乳がん
乳がん全摘で入院した時のこと。
病棟看護士のSさん(仮)は新人さん。点滴の針はなかなか入らない、
駆血帯を絞めたまま考え込んでしまう、なかなか色々とうまくいかない様子。
でも彼女はいつも一所懸命。
ある日洗髪介助をしていただくことになった。
そうしたらこれが頗る上手い。丁寧でムラがない。
思わずほめちぎったら目に涙。つらかったんだろうな、と思って励ました。
退院のとき、「なつめさんはいつも明るいし針をうまく刺せなくて繰り返してしまったのに嫌な顔しないし・・・・・・
本当にありがとうございました」
でも違うのよね。
誰でも最初は初心者で、わたしなんかがん患者の初心者。つまり初心者はお互い様。
ベッドで思うように動くのが難しい術後を支えてくださる人は、みんなプロ。
怒鳴る患者さんや、ゴネる患者さんがいるのも知ってる。ストレスからかも知れない。
有り難いのはむしろこっち。機嫌良く過ごさせて貰った。
一所懸命な姿や笑顔があったからこそ、ハプニングも面白く過ごせたのだと思う。
いつか彼女も「新人の頃いっぱい刺しちゃったことがあったのよね」なんて言うのかな。