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コミチさんの作品:「#コミチ国際協力まんが大賞」受賞作品発表!

毎年12月3日には国際障害者デー、3月8日には国際女性デーという記念日が設けられています。


JICA(国際協力機構)さんの協賛で実施した「コミチ国際協力まんが大賞では、マンガを読んだ方に、途上国における障害者や女性が置かれている状況を少しでも知ってもらい、日本を含む世界で行われている国際協力に興味を持ってもらうことを目的にマンガ作品を募集し、多くの作品が集まりました。


そして国際障害者デーである本日12月3日、受賞作品を発表いたします!



投稿作品に対するJICA総評コメント

 「漫画」は国や人種を越え、人々に元気や笑顔、希望を与えてくれるチカラがあると思います。

 当初は、途上国を舞台にした漫画を描いてもらうのは難しいのでは、と心配していましたが、皆さん、とても丁寧に描写して下さっていて、それぞれの作品に良さがあり、大賞・入賞作品を選ぶのが難しかったです。 

また、「描いていて楽しかった」、「少しでも多くの人に伝われば」といった感想を述べている漫画家さんが多いことも印象的でした。

 今回の「コミチ国際協力まんが大賞」に集まった作品を読んだ方が少しでも途上国や国際協力に興味を持ってくれたら嬉しいです。



大賞作品

国際障害者デー部門

「エブリシング イズ グッド!」作:いぬパパ

【審査員からの寸評コメント】


・佐渡島 庸平

悲しい顔と喜んだ顔の描き方が非常に良いので、この少年の悲しみや喜びがしっかりと伝わってくる。テンポよく読みやすい物語になっていた。


・井上きみどり

単純な感動話に収めることなく、「障がい者がいる社会が『普通』」というメッセージを分かりやすく伝えた点に好感が持てた。文字情報に頼らず、人物の思いを伝えた点も良い。展開がぎこちない部分が散見されるので、その点を改善すると更に説得力のある作品になると思います。


・松崎 英吾

終盤の展開では、健常者であるアザースマが力強く社会の変化への意思を語りがちなところ、本作品では主人公であるダニエルが「きっとできる」と力強く伝えているのが印象的でもあり、また障がいを考える上で大切なことだと感じました。作品を通じて、本人の変化が画だけでなく、セリフとしても描かれているのは特徴的でした。画力もあり、惹き込む力をもった作品でした。


国際女性デー部門

「ペマの後に、続く者」作:伊吹 天花

【審査員からの寸評コメント】


・佐渡島 庸平

表情がすごく豊かでキャラクターの感情がしっかりと伝わるように絵が描けている。彼女が感じた悲しみも喜びも伝わってくる作品になっている。さらにコマ割りもわかりやすく、テンポよく読めた。


・井上きみどり

絵柄が可愛く、表情が豊かで好感が持てる。 ノンフィクションの漫画を描く場合、大切なのは状況変化や主人公の感情描写なので、その部分をもっと細やかに描写し、読者に理解してもらう必要があるかと思います。魅力的なキャラクターを生み出す技量がある方なので、今後の作品に期待しています。


・治部れんげ

電話のシーンから始まるストーリー構成の工夫、ペマが家族や職場できつい言葉をかけられる困難の描写が的確で、それを乗り越えたことが伝わってくる。最後にジェンダーギャップ指数に言及し、日本の順位が低いことに触れていることで日本の読者に考えさせられる構成も見事である。





入賞作品

国際障害者デー部門

「ぼくたちはナイスワン」作:ちえむ(Chiem)

【審査員からの寸評コメント】


・佐渡島 庸平

非常にきれいな線で丁寧に描かれていた。仕上げまで出来ていたらさらに作品の印象は良くなって、もっと高評価を獲得できたと思う。


・井上きみどり 

主人公の感情変化が丁寧に綴られている。「なぜブラインドサッカーに取り組んだのか?」という根本的な点を非言語表現を用いて上手く説明している点も良い。人物の描きわけが課題。背景ももっと描き込めば、さらに説得力が増す作品になると思いました。


・松崎 英吾

シンプルなタッチの描き方は読みやすく、表情も引き立っていました。一方で、描き込みが薄い分、物足りなさを感じました。



「僕達が変えられるもの~ガーナブラインドサッカー~」作:南野三ッ若

【審査員からの寸評コメント】


・佐渡島 庸平

しっかりと漫画の王道的な絵柄でわかりやすく作品を表現できていた。男の子の優しさが表情からも伝わってきた。


・井上きみどり

技術的に申し分なく、安心して読めた。ストーリー展開もスムーズで過不足がない。画力が高く、全体的に説得力がある。それだけに、視力障害者の描き分けに工夫が欲しかった(実際の視力障害者は目をつぶっていない)。今後、社会的テーマの漫画作品を制作する際は、イメージに頼らず、細やかにリサーチをすることで、更に説得力のある作品を生み出すことができると思います。


・松崎 英吾

コマ割りが練られていて、魅せるコマが明瞭で読者に伝わるものがありました。与えられたスクリプトの中でもストーリー性があり、工夫が見られました。画力もあり全体として読みやすかったです。


「障がいのない世界へ」作:ひとり

【審査員からの寸評コメント】


・佐渡島 庸平

イラストのような絵柄が非常に特徴的だが、それに味があって良い。構図も凝っているものがあり、物語の中に動きを感じる魅力的な作品だった。


・井上きみどり 

荒削りながら将来性が期待できる作品。自信をつけていく過程が、細やかなコマ割りと大胆なカットによって上手に表現できています。コマの大小にかかわらず、印象に残る表現が多く、一般読者の心に残るであろう漫画。ただ、タイトルは少々説明不足では?という懸念が。作者が表現したいことは私には十分に理解できますが、一方で、理解できない読者にはタイトルを見ただけで論議を生んでしまいそう。タイトルを含め、読者の視点に立って細部に目を向けることで、漫画自体の質が更に向上すると思います。


・松崎 英吾

身体の動きや涙の表情など、個性的で特徴があり、惹き込むものがあります。はじめてブラインドサッカーをやっている人の棒立ち感は、よく調べているなと感心しました。






国際女性デー部門

「女性職人、未来を切り開くーネパールの石工ペマ 」作:あっしゅ

【審査員からの寸評コメント】

・佐渡島 庸平

偉大なことを成し遂げた女性の伝記、漫画として非常にわかりやすく描けていて、子どもも読みやすい感じになっている。カラーもその国の文化を意識した色遣いがされていて丁寧に作品を仕上げているのが素晴らしい。


・井上きみどり 

描き慣れていらっしゃって、安心して読むことができる。展開も状況説明も良い。課題としては、人物がネパール人に見えない点と、女性の立場を解説するにあたり、若干ステレオタイプな点。主人公の感情をもっと深堀りする必要を感じました。


・治部れんげ 

オーソドックスで分かりやすい。絵が可愛らしく、読み手を惹きつける。意地悪を言われるシーンと希望を抱くシーンの表現も明快に伝わってくる。



「願い」作:たむら蓮々

【審査員からの寸評コメント】

・佐渡島 庸平

絵本のような、やわらかい雰囲気がある。ちょっとした表情の差で繊細な感情も描き分けていて、この女性の魅力も伝わってくる。服装の絵柄までこだわっているのも良い。


・井上きみどり 

対話式の展開にした点が良い。読者を日本の若年層に限定したのでしょうか、対象読者にどうすれば理解してもらえるか?ということをよく考えて描かれている印象があります。絵柄も個性的で良い。今後の課題としては、吹き出しの中の文字数を減らすこと。特に一行あたりの文字数が多く、読みにくい。文字が削減できれば、絵柄がもっと引き立ち、作品全体のリアリティが増すと思います。


・治部れんげ 

ペマが日本の中高生に自らの体験を語り聞かせる、という設定の工夫で読者に伝わりやすくなっている。モノクロの絵が上品で好感を持った。個人的には最も好きな作品である。



「未来への一歩」作:二色 晴臣

【審査員からの寸評コメント】

・佐渡島 庸平

少年漫画のような元気な絵柄が非常に良い。主人公の女性のエネルギーが絵柄からも物語からも伝わってきて、読んでいてこちらも元気になる作品だった。


・井上きみどり

描き慣れている方で、技術的に安定した作品。コマ割り、画面構成、セリフもバランスが良く、安心して読める。もう少し「ネパールらしさ」が表現できたらよかった。作者自身の個性を盛り込むことができたら、深みのある作品になると思います。


・治部れんげ 

漫画の伝統的な表現手法を活かしており、読者に伝わりやすい。女性が働くことに反対する舅や職場の人々の言動がよく伝わってくる。絵柄と構図が巧みであり、複雑な話をストーリーの中で自然に理解できる。



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受賞されたみなさま、おめでとうございます。

たくさんのご応募ありがとうございました!

面白かったら応援!

2020/12/3