いよいよ5月12日に共感系漫画雑誌『マンガQ』第2号が刊行されます。それを記念し、今回掲載されているSNS時代の新進気鋭の漫画家13名にインタビューを実施しました!
今回のインタビュー相手は、マンガ『移り香』の作者・michiさんです。
「全ての出来事には人間が居て、善人も悪人もいるのだなと思い知らされてきたので人を描きたいと思うようになりました。」
多くの漫画家とは一味違う人間ドラマを描くmichiさん。彼女の漫画で描かれる希望や絶望には境界がないように感じる。それでも最後は明るい光を感じる爽やかさもある。
そんな独特な空気感はいかにして生まれるのか?彼女にとってコルクBooksとはどんな存在なのか?
SNS時代において、世に熱狂を起こそうとしている漫画家たちの声をお聞きください!
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一口で言えない人間模様、家族や血のつながりなどのテーマを描きたい
ーー今日はよろしくお願いします。「移り香」読ませていただきました!今回の漫画のテーマを教えてください。
michiさん:テーマは簡単に言うと「女から見た家族」です。他人に説明できない秘めたる関係というものは世に多々あると思っていて、ではその説明できない大切な人を失った時にそのやり場のない気持ちや喪失と人はどう向き合うのかを考えました。一応恋愛もののような体をとっていますが家族について書いたつもりです。当たり前のように家族を家族と思っているけれどそれを形作っているのは果たして血のつながりなのか、それとも時間の積み重ねなのか、そこに何があるのかという疑問に何かしらの答えを出したくて主人公である由起子に託して物語を作りました。
ーー「家族」を扱う漫画は多いですが、michiさんがテーマにしているものは王道ではないと言うか、みんなが目に留めないことを拾おうとしている感じがします。
michiさん:そうですね。いわゆる王道の漫画を描こうと思ったことはあります。と言いますか、ピュアな恋愛漫画は小学生~高校生くらいまでは描いておりました。しかし成長するにつれ現実の経験とのかけ離れ具合に全ては人間同士のものだものなぁ…と自分の中で何だかどうにもしっくり来ないものを感じるようになりました。それに学校の課題や友だち付き合いに割く時の方が増え、次第に漫画自体(読む描く)から離れてゆくようになりました。それから環境も変わり自分の時間が出来たことで、また漫画を描くようになり、恋愛漫画に挑戦してみました。でもどうにもピュアにならず人間のドロドロした嫌な面や人に言えないような関係の物語ばかりが浮かんできまして、そこから徐々に人が起こす日常のドラマを描きたいと思うようになりました。それと多分、小学生くらいの頃から過去に起きた事件・事故などにまつわるものを調べて読んだりをしていることも大きいと思います。そこから生や性にまつわる物語、そういったものに振り回される人間模様、家族や血のつながりなどのテーマを描くようになり今に至ります。
誰かが本当に自分に語りかけるようにコルクBooksが背中を押してくれた気がした
ーーコルクBooksのことはどのような経緯で参加するようになったのですか?
michiさん:地方在住で働きながら描いてきたので、描いた漫画を本にしてイベントなどに参加したいと考えていたのですが色々調べているうちに漫画投稿サイトに漫画を投稿する方が早く、またこれだったら地方からでも自分の生活ペースで創作ができると思うようになり投稿サイトをメインに活動するようになりました。そして今年の1月頃でしょうか、ツイッターでマンガQ創刊のことを偶然目にしてそこからコルクBooksさんのサイトへ…自然に誘われてました。
ーー投稿サイトですでに活動されていたんですね!ではなぜコルクBooksにも漫画を投稿しようと思ったんですか?
michiさん:すぐに投稿!…とはならず、最初はただただ皆様の作品をワクワクしながら読んでおりました。次第に「この中に入りたい!参加したい!」と、ふつふつと熱いものが込み上げ投稿するに至りました。
ーーコルクBooksコミュニティは熱いですよね!コルクBooksに投稿してよかったことはありますか?
michiさん:1.欲望の全肯定 2.人間賛歌 3.表現10倍増し、この三つを教えていただいたことです。背中を押された感じがしました。これは「創作のヒント」に書いてあったものなんですが、今まで抑えていた感情や思いを漫画の中では出してもいいのだと気付かされガツーンと響きました。投稿していくうちに漫画の中で今まで格好つけていた部分を剥がしたいと、もっと感情を出したいと思えるようになりました。それは投稿しようと思わなければ知り得なかったことなので漫画を投稿して本当に良かったと思える出来事です。
ーーお題のページにある「創作のヒント」良いですよね。ちなみに、どういう人にコルクbooksが向いていると思いますか?
michiさん:現状打破したい!という強い気持ちがある人です。ただ投稿して終わりではなく、そこから先に進みたいという気持ちのある人には最高の場所だと思います。コルクBooksさんのすごさは、やはり描き手の方々の作品のラリー(やり取り)を直に目にできることです。作品が出来上がってゆく瞬間に立ち会えるという、とても貴重な体験ができることだと思います。そしてそこから生まれた「マンガQ」は熱い雑誌です!創刊号を読んで、漫画家の皆様と編集の皆様の創ることへのリアルな息遣いを感じました。自分の中に溢れんばかりの熱いものがあるならば、それを思い切り描いて投稿するしかないと思います!
忘れ上手じゃない人へ届けたい物語がある
ーー最後に、今後の展望ついて何か考えていることはありますか?
michiさん:とにかく描ける限りたくさんの漫画を描きたいです。もっと人を描けるようになりたいです。そしてそこから生まれるドラマを描いてゆきたいです。いいことも悪いことも、生きてきた日々のぎゅっと胸締めつけられるような心の瞬間をいつまでも忘れられない人に届けていきたいです。私自身どうにも上手く記憶の整理整頓ができない人間なので忘れ上手でない人へ届けることができたなら幸せです。
ーーmichiさんの独特な雰囲気の人間ドラマ、楽しみです!本日はありがとうございました。
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以上、『マンガQ第2号』に掲載されている漫画『移り香』の作者・michiさんのインタビューをお届けしました。
michiさんの今回の作品からは本当に香りを感じます。潮の香りも、焦げた香りも、雑誌の紙面から伝わってきました。
ぜひ、マンガQを手に取り、漫画『移り香』を読んでいただきたいです!
michiさんのコルクBooksアカウントはこちら。そしてTwitterアカウントはこちら。
michiさんのこれからのご活躍に注目ください!