皆さんこんにちは、漫画ソムリエの東西サキ(@tozai69)です。
普段は、東京ネームタンクでマンガの【持ち込み先・進路相談】をしたり、マンガの技術や情報を交換し合うマンガ技術研究会というところで活動したりしています。
そのマンガ技術研究会の活動のひとつとして、時代感に追いつくために「常に最新の新連載をチェックする」というものがあります。
このコラムでは、毎月さまざまな雑誌やサイトで始まる何十作もの新連載の中から、特に皆さんに注目していただきたい作品をご紹介します。
「この作品がなぜ今始まったのか?」「どういったところがその作品の魅力なのか?」という視点から新連載を解説していきたいと思いますので、ぜひそれぞれの作品をチェックしてみてくださいね。
ハイパーインフレーション / 住吉九
連載:ジャンプ+
「超速!連載グランプリ2019」ゴールドグランプリ獲得作、堂々開幕!!
次々とドラマを展開させているのでテンポが速く感じますが、『カイジ』シリーズの福本伸行先生や『ジョジョ』シリーズの荒木飛呂彦先生など、作者の住吉先生が影響を受けたであろう作家さんの演出をものすごいスピードで切り替えながら繰り出してきている印象です。そしてそれが独特のグルーブ感を生みだしていて、とてもユニークな作品です。
あと、"ショタ萌え"の要素が入っていると感じました。
トリリオンゲーム / 原作:稲垣理一郎 作画:池上遼一
連載開始:ビッグコミックスペリオール 2021年 1/1 号
稲垣理一郎×池上遼一のタッグ新連載!
『アイシールド21』などの原作を手がけた稲垣理一郎先生が、『男組』『サンクチュアリ』などの作画を担当した池上遼一先生とタッグを組んだ本作。
冒頭で大きなゴールを見せてから、コミュ力とハッタリが武器の主人公「ハル」と、PCスキルが高い「ガク」、人の素質を見抜く眼力を持つヒロインなど、各キャラクターの個性を見せていく演出は見事。クライマックスで主人公たちが大きな目標をビルの窓ガラスに描く画作りも上手い作品です!
憂鬱リサイタル / てにおかひろし
連載開始:ヤングマガジン 2020年52号
簡単に言うと”陰キャ”の男子高校生が漫才をする作品なのですが、あくまで漫才として描かれているのではなく、マンガの中でキャラクターが漫才的な会話をするという作りなので、『セトウツミ』と近しいものを感じます。
『セトウツミが』ボケの前置きにフリを長く取る関西スタイルであるのに対して、本作は関東系でフリが極端に短い傾向にあるのも特徴です。
ブロマンス要素も共通してますが、『セトウツミ』が男同士であることを強調しているのに対して、本作は主人公の「曽根さん」が女の子っぽいデザインにしているなど、この2作は近い要素がありつつかなり方向性が異なっていると思います。
ゲモノが通す/ 堀北カモメ
連載:トーチ
第1回トーチ漫画賞「山田参助賞」受賞・堀北カモメが全身全霊で放つ職人バトルポリティカルアクション!!
なにごとか分からない冒頭のプロローグから場面転換して、雨の中傘を差しておにぎりを食べる主人公が、どういう仕事をしているのか詳細に描かれていきます。不穏な日常描写で物語に引き込まれました。
状況や設定が一切わからない第1話ですが、後半のバイオレンスな演出のものすごい爽快感が読者に続きを読ませる吸引力となっています。尖った演出の作品は、冒頭で日常描写に力を入れることで共感性を生むという学びを得ました!
気になる新連載はあったでしょうか?どれも今後の展開が楽しみな連載ばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね!
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