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コミチ代表マンディさんの作品:第11回コミチ漫画賞結果発表!

第11回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


新型コロナウィルスによって世の中が大きく変わっており、漫画家の皆さんも新しい働き方・稼ぎ方を模索されていることでしょう。僕たちコミチも、漫画家コミュニティとして、どうやったらたくさんの漫画家さんが稼げる場を作れるだろうと考え続けています。


このコミチ漫画賞は、その中で最も重要視している場です。

SNS時代の漫画家デビューの登竜門になりたい。そういう思いで、これまでにコミチ漫画賞を11回開催してきました。

コミチから羽ばたいた漫画家さんが、ジャンプやマガジンなどのマンガ雑誌、LINEマンガやピッコマなどのマンガアプリ、広告マンガ、同人誌など、それぞれの強みを発揮できる場で活躍する手助けをもっともっとしていきたい。


そう考えた結果、次回第12回からコミチ漫画賞は大きくリニューアルをします!

変更点は3点です。


1. コミチ漫画賞の大賞受賞者は、コミチでの【公式連載権】を獲得し、編集部が全力でプロデュースします


2. ガチコメ編集部一同で、公式連載作品のガチ編集をします。


3. コミチ以外の販売の場として、電子書籍や同人誌出版を支援します。


漫画家の皆さん、たくさんのご参加お待ちしております!


それでは、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんによる第11回コミチ漫画賞の寸評です!



大賞
7月7日にダルマさんが【3/3】(みーきち)


シャープさん(@SHARP_JP

今回のコミチ漫画賞のテーマは「主人公のキャラ」です。そしてこの大賞作には、主人公とキャラがあふれている。それも多様に。便宜上、受賞作のリンク先は65話から102話の最終話が掲載されたページだが、ぜひ1話目から読んでほしい。


驚くべきことにツイッターで毎日1話ずつ公開されたというこの作品。主人公の女性の側にはしゃべるダルマがいるという特異点はあるものの、それ以外にとりたてて主人公らしく描かれることはない。なぜなら主人公の周囲にいる女性がそれぞれに事情を抱え、そのだれかの事情が毎話少しずつ、ゆっくりと語られるからだ。


周囲の友人は聞き手に回りながら、各人の事情は悩みの解消に向かったり、なんとなくの行き詰まりを見せたりしながら、生活は続いていく。この作品で語られる「事情」はけっこうな数なのだが、そのひとつひとつが、いまわれわれの抱える現代的な悩みばかりで、読む側は登場するだれひとりのキャラに、共感することなく読み終えることは難しいだろう。


だれもが、それぞれの事情を抱えながら生活を送っている。この作品の「日常」を通して読めば、そんな当たり前の感慨が湧いてくるはずだ。日常において、私たちはそれぞれ、主人公なのだ。そんな日常の積層が、やがてキャラとして、主人公を強固にしていく。テーマ「主人公のキャラ」にふさわしい大賞作品だと思う。



たらればさん(@tarareba722

 まず本作は3回に分けて投稿されており、全102話あります。4コママンガではありますが、かなりしっかりしたストーリーがあり各キャラクターに個性と成長があるので、第1話から読んだほうが「物語」をじっくり味わえるでしょう。

 柔らかい絵柄と「家にあった小さいダルマがある日突然喋り出す」というふんわりエピソードから始まるため、「日常系ゆるふわエッセイマンガかな」と思わせておいて、中身は「コミュニケーションとは」という骨太な主題に真正面から取り組んだ作品でした。

 読みとおすとそれぞれ読んだ者が抱える心の闇の一部を照らす内容で、わたしは本作に、


・平気なように見えるあの人もこの人も、それぞれ「地獄」を抱えている

・それを踏まえたうえで、「話を聞いてくれる人」がいると、この世界はすこしだけマシに感じられるようになるかもしれない

・「大丈夫」という言葉がもたらす寂しさと優しさ

・心がしんどいときに大事なのはやっぱり「おいしいもの」と「触感がやさしくて抱けるもの」が大事


 というようなことが感じられました。秀逸。

 一点だけ、レイくんの「目」が最後まで描かれなかったのが切なかったです。最後、どんな表情していたんだろう、と。


 また、これは読者諸兄には関係ないことかもしれませんが、今回からコミチ賞の規定に「大賞該当作なし」もあり得ます、というルールが追加されました。選考直前にそのことを聞かされたので、「あれ、今回は集まった作品がいまいちだったのかな」と油断していたのですが、過去最高に近い激戦だったことをお知らせしておきます。

 個人的には、『つまらないって罪なんです』みさみ著や、『君と、来年もこの先もずっと…』青村明著 も、どちらも味わい深くてとてもよかったです。次回作をお待ちしております。



しーげるさん(@henshu_shigel

1つ4コマではあるけど、全部で102話もある超力作! この量を描き切ったことをまず全力で褒めたいです。凄い!!! そして102話もあるのにとても読みやすくて、全部一気に読んでしまいました。


ダルマのだるちゃんを通して、少しずつ色んな人たちが繋がりを持ち、それぞれが抱えていた事情が明かされ、誰かの長所で誰かの悩みが癒されていく。そんな素敵な輪が広がっていく優しいストーリー。色んな立場、年齢、性別の登場人物の人生をしっかり描けていて、作者の観察眼や人生観の豊かさを感じます。だるちゃんというトリックスターを配したアイディアも秀逸。


今回のお題は「主人公のキャラ」でしたが、この作品では誰もが物語の主人公であること、それに加えて、誰もが誰かの物語のヒーローやヒロインにもなれることも描いてる気がする。ほんの少しのきっかけで、誰もが今より少し素敵な人生や社会を手にすることができるのかもしれない。そんな希望を信じることができる、今悩みを抱えている人たちの心を軽くすることができる素晴らしい作品だと思いました。


出来るだけ沢山の人に読まれてほしいです!



縦スク賞
小さな世界(たむら蓮々)


シャープさん

主人公はどちらなのだろう。母なのか娘なのか。出かけたい母と伝染らないよう家にいてほしい娘。コロナ禍のまさに今を描いた作品で、おそらく認知症であろう母に対する態度と判断が、下へ下へとスクロールしながら逡巡される。その小さな世界の逡巡は、なにが正解かわからない現在、私たちは他人事として片付けることはできないはずだ。これはあなたにもわたしにも起こり得る、大きな世界の話だと思う。



たらればさん

 ほとんどのコマがアップの絵柄と強い感情で構成される、非常に現代的で「縦スクロール」的な作品だなと感じました。テーマももちろん高齢化社会向け。

 これは不思議な偶然ですが、(大賞作品と並んで)こちらも「大丈夫」という言葉がキーワードとなる作品でした。「大丈夫」がもたらす断絶。

 内容はものすごくハードで、すくなくともわたしは本作を「救済の物語」とは受け取れませんでした。主人公はきっとこの先、何度も絶望し、何度も譲歩を強いられ、何度も「それでもやらなきゃ」と立ち上がることになるでしょう。世の中はこういう小さな「支え」で成り立っているんですよね。だからこそ、「人間の物語」だと受け取りました。



しーげるさん

温かい線で描かれている優しい世界。なのに時々ハッとする言葉や表情が入ってきて、短いのに色々なことを考えさせられました。大切な時間、大切な場所というものは、安全地帯から一歩踏み出した時に手に入るものだったりする。他人を危険に晒すのはダメかもしれないけど、自分の人生は一度しかない。今しかない。人はみんな大きなジレンマを抱えながら生きてるんだよなあ。漫画だから描ける作品だと思い何度も読み返しました。





新人賞
OLのコメダさん(たこちゃん)


シャープさん

マイペースなコメダさん。となりでほんのり好意をいだく同僚へも「休憩行かないですか?」「におうかもです」と、少しぶっきらぼうな、かすかに特徴あるしゃべり方が魅力だ。事の顛末はマンガを読んでもらえればわかると思うけど、うっかりでもなく、ガサツでもなく、かといってズボラというわけでもない、マイルールが確立された世界に住むコメダさんの、ほかのエピソードも読んでみたい。



たらればさん

「コメダさん」の続きが読めるかなと思って、作者であるたこちゃんさんのTwitterアカウントに飛んでみたのですが、いくつかイラストがあるだけで、続きがありませんでした…。続き読みたいです。ぜひお願いしたい。

『からかい上手の高木さん』山本崇一朗著や『となりの関くん』森繁拓真著のような作風で、可能性を感じます。

なお「隣の席で食事」って、品目や匂いも気になりますが、音も気になりますよね。



しーげるさん

職場でカレー弁当はなかなか勇気がいると思うのだけど(僕はあったかくて匂いの漂うものは全て気が引けてしまうタイプです)、食べるどころか「カレー食べたいんですか?」と返せる肝の太さにふふっと笑ってしまった。いや、もしかしたら肝が太いのではなく、先輩を共犯にしたかったのかな。それとも何か話すきっかけが欲しくてインパクト狙ったのかな? 色々と彼女の様子が気になってしまう先輩とともに、普段はどんな感じなのか、もっと他のエピソードも読んでみたいと思わされました。「この人がどんな人か気になる!」って思えるの、いいキャラですよね。



***



冒頭に述べた通り、次回からコミチ漫画賞はリニューアルします。

大賞受賞者にはコミチでの【公式連載】を行なっていただき、コミチで全力プロデュースします!


そして、次回第12回コミチ漫画賞から強化ジャンルを設けます!

いま、最もGoogle検索されているマンガのジャンルは、「恋愛」です。恋愛は、人間の普遍的なテーマ。SNS時代のマンガの登竜門になりたいコミチ漫画賞にとって、最もふさわしいテーマではないでしょうか?


第12回コミチ漫画賞強化ジャンルは、「恋愛」です。


くわしくは、第12回コミチ漫画賞募集ページをご確認ください。応募しめきりは、2020年9月20日 日曜日です。


奮ってのご参加お待ちしています!

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