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コミチさんの作品:【国際障害者デーエピソード】ガーナブラインドサッカー(R)

僕(ダニエル)はガーナの盲学校の中等部に通っています。

日本から先生としてきた羽立さん(アザースマ [Azaasuma(*1)]と呼んでいます)のおかげでブラインドサッカーを始め、毎日楽しく過ごせています。

今ではブラインドサッカークラブは中学校の生徒だけでなく、幼小学部の生徒も参加して毎日、日が暮れるまでボールを蹴っています。





ガーナではサッカーは盛んですが、学校、特に盲学校にボールやゴールもなく、 ペットボトルに石や砂を入れて音が出るようにして蹴るくらいしか、遊ぶことができませんでした。


ある日、ブラインドサッカークラブができると聞きました。 

日本からきたアザースマがクラブ活動を始めると言っています。

 僕は全盲ですが、以前弱視の子達と、ペットボトルのボールでサッカーをした時に、 蹴ることすらできないという嫌な思い出がありました。 

うまく蹴ることもできないし、アザースマの授業が好きなので、とりあえず行ってみよう。つまらなかったら辞めようと思っていきました。 

集合場所に行ってみて驚きました。 

立派なゴールがありました。ちゃんとしたボールもいくつか置いてあります。 

ちゃんと自分で触って確かめましたが、鉄製のゴールと蹴ると音の出るボールです。


それからアイマスクも配られました。

 ブラインドサッカーはゴールキーパー以外の全員がアイマスクをしてやるそうです。 

これなら弱視も全盲も差がありません。




後で聞いたところ、アイマスクは裁縫屋さんに作ってもらい、 

ゴールはアザースマが自分で設計して、近所の溶接工さんに頼んで作ったそうです。 

それとボールは、日本人の知り合いから集めたそうです。


最初の頃はうまくボールを蹴ることできず、シュートをしようとしても、ボールに触れることで一精一杯で、目の前にボールが転がるだけでした。

 毎日練習して、次第にドリブルもできるようになり、今ではきれいなシュートをゴールに打つこともできます。 

みんな最初はうまくいかないのですが、練習してうまくなっていきます。

 最初は遅刻していた友達も、いまではアザースマを自宅まで呼びにいくようになっています。 

練習中は「ナイスワン!」の言葉が飛び交います。






毎日欠かさずに練習をしているので、近所の人たちも気になったのか、何をしているのか聞いてきました。 

「ブラインドサッカーだよ。一緒にやってみる?」 

最初は学校のクラブ活動として数人でやっていたのが、今では学校の生徒以外も参加して延べ数百人を越す人が、楽しくボールを蹴っています。


 




日本では全国にたくさん盲学校があるみたいですが、ガーナには国で5校しかありません。 

日本からの支援として教員として来たアザースマがなぜサッカークラブを作ったの?と聞いたことがありますが、その時の言葉が印象的でした。 

(アザースマ)「障害は変えられないけれど、制度や人の意識は変えられる」 

(ダニエル)「?」

 (アザースマ)「ブラインドサッカーなら、全盲も弱視も晴眼も関係なく、皆同じ立場で競うことができるんだ。」 

(ダニエル)「確かにそうだね!」

 (アザースマ)「ブラインドサッカーを通じて達成感を得て、それらが皆の進路や将来の仕事や収入に直接役立つことは無くても、今後困難に立ち向かうエネルギーになってくれればと、信じてやっている」 

今日も練習です。

毎日、日が暮れるまでみんなでボールを蹴っています。 

今日も「ナイスワン!」の言葉が飛び交います。


(*1) 羽立さんが現地で呼ばれていたローカルネームで意味はeverything is goodやall is wellになります。



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2020/10/7