妖怪幼稚園漫画構想
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以下本文
妖怪幼稚園
それは妖怪たちが集う
人間が通う様な幼稚園
時代は変わった
怖がらせる、
人間を恐怖させる時代は終わったのだ
これからは人の役に立つ妖怪
人から求められる
社会に順応する
妖怪が求められるのだ
あるものは目を移植したり
あるものは薬を飲んで能力を抑制
昔は力の弱い半妖の方が
役立たずと言われていたのに
現代では社会に溶け込めて
もてはやされるぐらいなのだ。
ここにメデューサちゃんがいる。
彼女は今日は薬を飲み忘れたことが
園内で発覚。
薬を飲まなければ
メデューサの能力によって
見る者みな石にされてしまう
取り急ぎ紙袋を被らされて
皆んなの楽しそうな様子を遠くから見ている。
あ!メデューサちゃん!
周りが気づいたときには
メデューサちゃんは紙袋を脱いでいた
皆んなの楽しそうな
輪に入りたかったのだ
周りの妖怪の子供たちは
首なしであろうと
猫娘であろうと
透明人間であろうと
カッパ、ろくろっ首、九尾、
みんなもれなく石になってしまった
メデューサちゃんは仕方なく
先生たちのいる教室に助けを求める
が
不意をつかれた先生たちも
一反木綿も一つ目も石になってしまう
今にも泣き出しそうなメデューサ
何故か
園長先生だけが
1人自由に動き
メデューサちゃんに声をかける
「あらあら〜みんな石になっちゃたのね〜」
先生は石化解除が出来るライトを引き出しから
持ち出し先生たちを救出。
やがてみんな石化は解除される。
泣き出すメデューサに
先生は話しかける
「メデューサちゃん、
大切なのはこれからどうするかよ」
先生も目はないのだという
皆んな我慢して助け合って生きているのだという
メデューサは考える
お家に帰ってきてももやもやしている
パパがいう
「どうして今日薬のまなかったんだ?」
メデューサ
「だってお薬苦いし!眠くなるんだもん!」
やけ食いをしながら答える姿を
パパは優しく見守る
今日の園長先生の言葉を思い出したのか
パパの姿に看過されたのか
メデューサは
「…今度から、ちゃんと飲む」
少し涙ぐんでいるようでいるようである。
明日は、
明日こそちゃんとして
ママに褒めてもらうんだ
ママに会いたいな…
メデューサちゃんはママと
100年くらい前に別れたっきり
パパからは当分帰ってこない
いい子にして待っていようねと
言われているのだ
朝、これじゃ時間に間に合わないぞ!
とパパがいう
メデューサも寝坊して
慌てて支度しているのだ。
仕方がない!今日は人間街道を横切って
幼稚園に送っていくから
メデューサ、自転車の後ろに乗りなさい!
慌てて家から飛び出すメデューサたち
すれ違う妖怪たち
みんなどこか忙しそうだ
メデューサ、しっかり捕まっていなさい!
頭の帽子をしっかり掴み
取ってにしがみつくメデューサ
その時
(あっ…薬飲んでいない…
また、怒られちゃう…)
パッと周りが明るく眩く眩しい
恐る恐る目を開ける
音も光も戻ってくる
カンカンカン
電車の遮断機が降りる
沢山の学生、スーツ姿の人間
ここは朝の通学路、人間界
ここは人間街道、妖怪からはそう言われる
時間が短くなる場所だ
妖怪界より人間世界は2倍の早さで
進んでいる。
みんな誰も彼も急いでいて
メデューサたちに気づかない
メデューサも何回かここに来たことがある
帽子を深くかぶる
(どうして、薬忘れちゃったんだろう
忘れないって約束したのに…)
そんなことを思っていた瞬間
視界の四隅に光る何かがみえる
気になり、恐る恐る目を向ける
横には遮断機が上がるのをまつ男の人間
顔は俯きがちな正面で見えない
ただ、体に黒い糸がキラッキラッとしている
これ、なんだろう…?
何故か妙に惹きつけられる、
目を離せない
手を伸ばせば届きそうな距離だ
自転車の後ろかごにいながら
そっと手を伸ばす
黒い糸が手に触れた瞬間!
「メデューサ!!」
パパが気づいて叫ぶ
メデューサは目の前が真っ黒になり
まるでその人間の背中に吸い込まれるように
真っ暗な中へ落ちていく
「きゃああああああああ!!!!」
落ちていく、ここはー
「パパァー!!」
フフフッまた人間がかかったカナァ?
低くてエコーする声
だが、メデューサに確認する余裕はない
遠くでパパが呼んでる声がする
うっ!!
何かに引っかかる。
バウンドして、
まるで何かのトランポリンみたいな
そして目を開ける
そこはまるで蜘蛛の巣みたいに
沢山の人のようなもの
メデューサがさっきみた男の人間も
絡まっている
意識はないようだ
それよりも
「んー?なんだァ妖怪かァ!
妖怪は美味くない、罰せられてしまうしなァ」
そういうと大きな蜘蛛の妖怪が目の前にいた
怖くて声が出ないメデューサ
「でもォ、バレなきゃいいのよォ」
近づいてくる蜘蛛の妖怪。
その時、
「メデューサ!」
パパが助けにきてくれた!
パパは鬼の妖怪で人々の眠りを
管理する仕事をしている、眠鬼だ
「私の娘に何をするッ!」
恐ろしい形相だ、口から火もでている
「あァ、やだネェ!
そっちが勝手にやってきたんじャない?」
「人間を狩るのは法律で禁じられている
これは違法行為だ!」
パパが答える
メデューサもパパの腕の中で
少し安心してきた。
「違法行為ィ?
知らないネ!わっしらは昔っから
こうやって生きてきたのさァ!
邪魔するなァ!!」
糸の束が襲いかかってくる
パパは炎を吐いて蹴散らかす。
「ヒィィィィィィ!!」
蜘蛛の妖怪へたまらず逃げ出すが
糸に絡まる人間とメデューサは蜘蛛の方へ
引っ張られる
「メデューサ!目を覚ますんだ!」
パパの腕の中から滑り落ちる。
目を覚ます?
「無駄ダァ!そいつら目を覚ましたくないんダァ!
はははァ!!」
蜘蛛の糸に引っ張られ
どんどん下へ沈んでいくメデューサたち
パパと距離が離れていく
「メデューサしっかりするんだ!!」
沈んでいく中でメデューサは
後悔していた
(私が薬を飲んでー
早く支度してー
あの時あの糸に触れなければー)
ふっと園長先生の言葉がリフレインする
「大事なのはこれからどうするかよ」
メデューサは復唱する
「大事なのはこれからどうするかー!」
現実世界
目を覚ましてしまったパパ
メデューサ!いない!
はっ!
男が遮断機をくぐり
電車がやってくる!
一歩踏み出している
またメデューサたちの場面
「これからどうするか!」
メデューサの目が光りだす
メデューサから糸が離れる
「石になれぇ!」
光の光線
だけれど、蜘蛛には効かない
「フフフ!わっしら暗いとこしか
住めないんだァ!目なんて効かないよ!」
どんどん深く沈んでいく。
!
その時蜘蛛の糸からメデューサに
声が聞こえてくる。
(もう終わりにしよう…)
はっ!この声は、糸から?
目線の先に、あの人…
(もう動けないんだ、何も変わらない
何もできなかったんだ、
俺は充分やったじゃないか、
もう…)
メデューサは糸を握る
「はははァ!目なんて覚さない!
そいつは要らない人間なんだァ!
誰もだ!だーれも‼︎
アーはははァ!」
メデューサの心の中に言霊が反芻する
これからどうするかよ
みんな我慢して、誰かの役にー
メデューサは落ちていく中で叫ぶ
「そんなことない!私だってその人だって!!」
「アーハハァ!どーすることもできないさァ!!さあもうおしまいだよォ!!」
蜘蛛の糸がおそいかかる
メデューサは叫ぶ
「目を覚ましてぇー!!」
だが反応はない。
!
声が聞こえるパパだ!
「メデューサ!手を離すんだ!
お前はもう目が覚めている!!
早く!その手を離すんだ!!」
メデューサは苦しい顔で正面を見据える
だって人の役に!私だって!
「はははァ!嫌なことだらけで
人間ってなんて弱い生き物なんだァ!!
アーはっはっはァ!!」
!
嫌なこと…
メデューサは力をこめる
「好きなこと以外石になれぇ!!」
カキンカキンカキン
男の周りに渦巻く言葉が石になる
もう楽になりたいもうー
蜘蛛妖怪
「そんな力じゃァ!!」
押し返される!
ママ!
私、ママみたいな妖怪に…!
でも、力足りない…!
『もう目を覚ましたくない』
『もう目覚めたくないんだ
君がいない世界なんかー』
その時メデューサの体が光に包まれた気がした
力が溢れる!
蜘蛛妖怪「ウソ!ウソ!なんで!そいつは希望なんかないんだよォ!どうして目覚めさして!!」
「もう目を開けたくない」
言葉が石になる
最後の言葉が石になったとき
男は目をうっすらと開けた
蜘蛛の妖怪
「何ィ!?」
糸から男の感情が伝わる
そうだー、俺は彼女が大好きだったー
彼女だって
男の目が見開れる
ここで終わるよりー
彼女がくれた思いと共に
生きていたい!!
パァァァァと暗闇が明ける。
蜘蛛妖怪
「ぎィギャアアアアアアアア!!!!!」
メデューサのあたり一面光が溢れる
意識が浮上する…!
「メデューサ!メデューサ!」
はっ
「無事か!メデューサ!」
パパだ!ここはさっきの!
人間界
カンカンカン踏切があがる
周りの人は何事もなかったかのように歩きだす。
「本当によかった!もう勝手なことはするな!」
「心配した…本当によかった…」
とパパ
目の前が涙に溢れる
「くくく、無駄なことしたなァ」
!
影から声が
「あいつはまたここへ戻ってくる
同じ失敗してまた戻ってくる
お前が記憶を石にしたせいだァ
はははァ!」
パパが厳しく睨み返す
「お前は法務省にて裁かれる
私の目を通して通報されている」
パパがいるとさっきより怖くない
でも何だか不安な気持ち
どうしてなんだろう
「くくく、私は裁かれない裁かれない
あいつは戻ってくる、フフフ」
そう言って影から気配は消えた
「さあメデューサ色々あったけど
お前は幼稚園に行くんだ!
心配いらない。あとはパパがなんとかする。
お前は何も心配いらない」
「うん」
でも不安になってメデューサは
進む自転車から振り返る
そこには遮断機の線路手前で
立ち尽くした男が
顔をあげて一歩晴れやかに
踏み出す瞬間
少し目があった気がした
笑ってー
その瞬間メデューサたちは妖怪街道へ
もどっていったのだった
おわり
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