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シャープさんさんの作品:コスパと勧善懲悪

薄汚れた大人です、@SHARP_JP です。私は汚い人間なので、平気でウソをつく。ただしちっぽけな人間なので、取るに足らないようなウソしかつけない。寝坊したのに電車が遅れたことにしようとか、そういうセコいウソだ。しかも他人に大それたウソをつく度胸もないので、私のウソは大部分が自分を騙すウソである。おやつを食べたのに食べていないことにしようとか、つまりは自分への言い訳だ。だから結果的に私はあまりウソをつかない。だがそれは清廉潔白だからではなく、器の小さい人間ゆえ、私はウソが怖いだけなのだ。


ところで私は公式アカウントのツイートをするのが仕事だが、その運営でぜったいにやってはいけないことがいくつかある。ひとつはウソをつかないことだ。もちろんツイートに限らず、企業活動そのものにウソは許されないのだけど、ネットにおける企業のウソはいささか様相が異なる。必ずバレるからだ。誠実とかコンプラという名の下に企業のウソはもちろんダメなのだが、それ以前にそもそも、企業のウソは集合知を前にして成立しえない。だから私は、企業がウソをつくことはあまりにコスパの悪い行為だとさえ思うようになった。


ウソはいけない。だれでもわかっていることだ。私たちはそれを倫理面から自戒をこめて諭すことが多いけれど、ウソなんてわりに合わないものだとわり切るのもいいのではないか。そう思いつつも世に大掛かりなウソや隠蔽が絶えないのは、私の知らないどこかに、ウソが高コスパで成立する場所があるのだろうか。



ぽんすけ成長日記 ウソについて(ひとり 著)



時に子どもは大人より真理に近いことがある。このマンガでぽんすけちゃんがお父さんに語るウソの姿は、目が覚めるほどに真理だ。ウソはつみかさなる。その指摘は、倫理であり本質だと思う。私ならぽんすけちゃんにひれ伏してしまうかもしれない。


ウソを成立させ続けるためには、ウソをつき続けなければいけない。よくいわれることだ。ウソの辻褄をあわせるためにさらなるウソをつくことを「ウソを塗り重ねる」と言うように、その状況を私たちはつい平面的にイメージしてしまう。ウソの厚塗りだ。


けれどこの作品で子どもが教えてくれたように、ウソにウソを重ねれば、私たちのウソは立体的に積み上がっていくのだ。ウソが2階建、3階建となり、建て増しがやめられなくなる。しかし所詮は素人の建築だ。基礎がない建物はほころびが生まれ、いずれ容易に崩れてしまう。


とはいえ実際のところ、プロのウソつきは存在するのだろう。プロだからウソの建て増しなんてへっちゃらで、ウソのタワーマンションすら建ててしまうのかもしれない。だからいつかぽんすけちゃんには、そんな悪い奴らにもばっさり言ってやってほしいのだ。そびえ立つウソに向かって「それはバベルの塔だぞ、いくらうまくやろうたって、いつか崩れるぞ」と言ってやってほしいのだ。


あらゆるウソはコスパが悪い。そういう合理的に勧善懲悪な世であってほしいと、私は思うのです。

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