コミチ漫画賞結果発表 https://comici.jp/daisakku/series/2475a45e12cc7 コミチ漫画賞結果発表 https://cdn-public.comici.jp/series/2/202006011932531486079F67E06C8285E038158813116EA17.png https://cdn-public.comici.jp/series/2/202006011932531486079F67E06C8285E038158813116EA17.png D80C24 ja Fri, 29 Mar 2024 20:37:42 +0900 Fri, 29 Mar 2024 20:37:42 +0900 <![CDATA[『なかよし×コミチ漫画大賞』結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/20220131152615086495E95420676FF9FBB086A5E9A51E615-sm.png

なかよし×コミチショート漫画大賞(第17回コミチ漫画賞)の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


今回のコミチ漫画賞は、日本で最も歴史のある少女漫画誌『なかよし』さんとの共同開催第2回目。「関係性」をテーマに、ジャンルは問わず作品を募集しました。たくさんのご応募ありがとうございました!


今回は、惜しくも大賞は該当作品なし、入選1作品という結果になりました。

詳細は、なかよし編集部さん、しーげるさん、シャープさん、たらればさんによる寸評をお楽しみください!



入選

少女と蜘蛛 micomalu

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なかよし編集部(@nakayosi_manga

今回は10ページという短いページ数で、美醜や友情というテーマ、思春期の少女と蜘蛛の切なくも温かな交流を描き切った本作が入選となりました。テーマを多くの人の心に刺さる話に昇華させる力はもちろんのこと、読者を蜘蛛からの視点に引き込む画面構成力、人間に恐怖感を抱かせる外見を細部まで描き切る画力、そしてその恐怖感を払拭するような可愛らしい蜘蛛のキャラクターを魅せる力が見事でした(蜘蛛の泣いているシーンがとっても愛らしかったです)。

なかよし読者にもぜひ読んで、共感したり考えたり、味わってもらいたい作品です。

表現力の高いmicomaluさんが次にどんな作品にチャレンジされるのか、楽しみにしております。


シャープさん(@SHARP_JP

入選するとあの『なかよし』に掲載されるという、なかなかに夢のある今回の漫画賞。残念ながら大賞の作品はなかったようですが、こちらの『少女と蜘蛛』という作品が入選しました。

おめでとうございます。

ちょっと童話のような寓話性と、どことなく楳図かずおを思い出すような絵で、学校の図書館でこっそり読んでいるような、不思議な気持ちになりました。

比較的古い家で育ったせいか、私は「家の中にいる蜘蛛は守り神」だとおまじないのように刷り込まれてきました。おかげで少女の友人のように、アシダカグモを忌み嫌うことはないけど、マンガは美醜で判断する馬鹿らしさだけでなく、そこへ至った彼女の孤独を哀れむところまで描かれていて奥行きを感じました。


たらればさん(@tarareba722

 みんな大好き「アシダカ軍曹」を主人公に据えた異色の作品が入選しました。 

 作者のmicomaluさんはコミチ投稿作家のなかでも指折りの「絵がうまい作家さん」なのですが、そういう作家がわりと全力めで(見た目が不気味な)「アシダカグモ」と(見た目がキュートな)「眼帯美少女」を描くという、まず設計コンセプトの時点で成功だなという印象を持ちました。近年、作品発表の場が拡がることで、さまざまな絵柄の作家さんが登場してそれぞれ支持を得ていますが、絵がうまいとそれだけで一定以上の吸引力があるんだなと、今作であらためて実感します。練習大事だなあ。

 内容については(第一話なので)まだまだこれからというところですが、個人的には蜘蛛が自分の姿にコンプレックスを持っているのが面白かったです。あ、蜘蛛的にもゴキブリはゴキブリで、美少女は美少女で、そこ(美意識)は人間寄りなんだと。  それから人間にとってアシダカグモは「益虫」に分類されるようですが、アシダカグモにとって人間は「益畜」なのか「害畜」なのかも気になりました。美意識が人間寄りなのは、その判定がしんどそうだなあ…などと。

 読んでいてhideさんの『ピンクスパイダー』が脳内に鳴り響くので、あとで聴いてきます。続きが楽しみ。


しーげるさん(@henshu_shigel

 どうせ誰も自分の本当のことなど分かりはしない。「友達」かどうかは、どちらかが一方的に決めるものではない。まして誰かの勝手な基準で可か不可か判断されるものではない。私が私の人生をどうするか決める権利はいつだって私の手の中にあるのだ…。そんな思春期ならではの思いがひしひしと伝わってくる作品で、何度も読み返してしまいました。

 少女漫画読者には苦手な人も多い描写があるから大賞は逃したのかもしれませんが、この子が「友達」だと決める対象が一般的に美しいとされるものや良いものとされるものだったら成立しないですからね。内容は十分大賞に相当したと思います。

 誰かの胸に刺さる作品、誰かの心をすくい上げられるような作品を描ける方だと思うので、今後も楽しみにしています。



***



『少女と蜘蛛』は、「なかよし」4月号の電子版に掲載される予定です。

前回に引き続き、偉大な少女漫画誌「なかよし」デビューを果たす漫画家さんをコミチから輩出できたことを誇りに思っています!


みなさま、たくさんのご応募本当にありがとうございました!


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Thu, 03 Feb 2022 10:00:00 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/9b8d44c2ba7f0/?utm_source=rss&utm_medium=referral 80929 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[『ミキサー×コミチ漫画賞』結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/20210922210542369C211ADCA8B73AF99F3547FCE217AEAFD-sm.png

ミキサー×コミチ漫画賞(第16回コミチ漫画賞)の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


今回のコミチ漫画賞は、数々の人気作の編集を手がける編集プロダクション『ミキサー』さんとの共同開催という形でやらせていただきました。


ご応募いただいた作品を読んで、縦スクロールフルカラーというフォーマットに加え、「彼氏もの彼女もの」というテーマ設定はやや漫画家さんを悩ませてしまったかなと思います。

今回は、大賞・入賞は選出なしという形で、特別賞を選出させていただきました。


詳細は、ミキサー・北室さん、しーげるさん、シャープさん、たらればさんによる寸評をお楽しみください!



特別賞

専属の花嫁 みつき溯



ミキサー・北室美由紀さん(@ktmrmiyuki

Webtoon読者さんに刺さりそうなストーリーで1話から興味深く拝読しました。 縦カラー向きの絵柄と着彩方法なので、これからももっと上手になっていきそうです!


縦カラーを描こうという意思をとても感じましたが、横漫画の表現技法を使ってしまっているため、テンポが悪くなっていました。

コマ間が詰まりすぎてしまっているために起こっているテンポの悪さなので「コマ間をもっと大胆にあける」「モノローグをコマとコマの間に配置する」ことを意識するだけでも、この作品の読みやすさが格段にアップすると思います。

鎖や髪が枠線の役割を担う表現パターンはとてもセンスがありますので、そういった表現パターンをもっと増やして自由に描いてください。


キャラクターの魅力を際立たせるために、特に1話での善悪はわかりやすく表現することがとても大切です。

前編でリリアが主人公を叱る場面では、ややリリアの正当性が薄いエピソードになってしまったのがもったいなかったです。 個人的にはリリアが報われなさすぎてしょんぼりしてしまったので、主人公はしっかり成敗され、リリアが幸せになる未来が見たかったです。


この度はご応募ありがとうございます。



シャープさん(@SHARP_JP

『サレタガワのブルー』など、人気作数々の編集を手がけるミキサーというプロダクションと連動した今回のコミチ漫画賞。残念ながら応募作すべてが、ミキサーから担当編集がついて連載という選出条件に満たなかったため、大賞/入賞なしという結果になりました。ガチで審査されていることがよくわかります。ただし1作だけ、惜しかったという意味で特別賞に選ばれたのが上記の作品。


広い意味で恋愛ものといえるのでしょうか。そもそも今回の応募規定が「彼氏もの、彼女もの」である。応募ページにはご丁寧にも、彼氏、彼女、同性、異種間、動物など、自由な相手との「関係性」を描いてください、との補足も付け加えられているので、この作品もたしかにその条件にはまっている。自由な相手との恋愛だ。


ただしその関係性は自由ではない。捻れまくっているとも言える。特にマンガにおけるメイドと使用人という関係性は、たいてい「ご主人さま〜」といった牧歌的な支配関係を前提に描かれるが、この作品はそうではない。主従も入れ替われば、主人公である使用人は恋愛観を根底からこじらせたまま、バッドエンディングに突き進む。その勢いに気圧されてしまった。力作だと思います。 



たらればさん(@tarareba722

「おお、これ噂のメリーバッドエンド来るか!!??」と思っておりましたら期待どおり。作者ご本人もその旨を語られており、個人的にとても腑に落ちました。地位も名誉も金銭もある独善的な主人公が、なんの環境的な変化もないまま改心するはずがないですよね。もともと愛情というものは独りよがりで残酷なものです。特に自分自身をうまく愛せない人間が、なんの訓練もなくいきなり誰かをうまく愛せるようになるわけがない。

 そうした世間知とも合致しつつ、一読者としては、お相手であるリリアについてはもう少し掘り下げてほしかったなと思いました。美しくて生意気で勝気で、そのうえ無謀である彼女は、なぜ挑戦的な態度を取り続けたのか。たとえば主人公の元を離れた元恋人と関係があったとか、リリアが監禁されている部屋の奥に元恋人の干からびた亡骸があるとか。そういう背景や関係のつながりがあればもっと物語に深みが出たかなとも思います。あと主人公は絶対に反省せずこのまま社会的に破滅してほしい。



しーげるさん(@henshu_shigel

 「彼氏もの彼女もの」というお題から想起される甘い雰囲気とはかなり距離感のある作品。主人公もヒロインも、最初から最後までほぼ相手を睨んでいるような表情ばかりが描かれている。それでも最初のつかみが効いているのもあり、2人の緊張関係がどんな結末を招くのか気になってぐいぐい読まされてしまった。無駄のない描写と集中力を切らさない展開は縦にも合っていて良かったと思います。

 ただ、主人公が一方的にヒロインを従属させるだけの内容にとどまってしまったのは惜しい。なぜ、わざわざ「専属」にさせられる危険のある仕事に応募したのだろうか。彼女側の事情も深掘りすることで、双方向の「愛憎」関係にまでできていたらもっと読み応えのある作品になった気がします。



***



特別賞を受賞されたみつき溯さん、おめでとうございます!

また、難しいテーマだったにも関わらず、たくさんのご応募ありがとうございました。

また次回のコミチ漫画賞を楽しみにお待ちください!


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Fri, 24 Sep 2021 10:00:00 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/54fdda20e2529/?utm_source=rss&utm_medium=referral 66769 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[『なかよし×コミチショート漫画大賞』結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/20210720180450060BA27E4956867549AD9B63C9F8045FC01-sm.png

なかよし×コミチショート漫画大賞(第15回コミチ漫画賞)の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


今回のコミチ漫画賞は、日本で最も歴史のある少女漫画誌『なかよし』さんとの共同開催という形でやらせていただきました。


ページ数以外にはほとんど規定を設けなかった結果、いつにも増してバラエティ豊かな作品が集まりました。本当にありがとうございます!!


今回も本当に激戦で悩みましたが、大賞3作品・入賞3作品の合計6作品を選ばせていただきました。

詳細は、しーげるさん、シャープさん、たらればさんによる寸評をお楽しみください!



大賞

エッグベネディクト 都会

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シャープさん(@SHARP_JP

大好きです。大好きすぎてコラムも書いたくらいです。

子どもならではの世界の狭さとそれに反比例する空想の広さ。平和なお話なのだけど、よくよく読めば子どもなりの切実さが編み込まれていて、決してのほほんと生きているわけではないことがわかる。きっと引きこもる彼女にも彼女なりの理由があって、彼女を家から出そうと試みる男子にもそうする理由がある。子どもに愛される、子どもの日常が描かれた名作には、大人から見えない切実さを受け止めるようなやさしさがあると思うのですが、都会さんの作品はそれに通じるものがある。なかよしの読者がこの作品に出会うのが楽しみです。


たらればさん(@tarareba722

絵もテーマもテンポも、さくらももこ先生を思わせる作品で、すごい勢いで読み終えました。何度も読みたい。ぜひこのテーマで描き続けてほしいです。この作品、何がいいかって、絶妙な言葉の使い方だと思います。全体的な(コマの構成を中心とした)雰囲気やキャラクターのとぼけているのに柔らかい感じもすばらしいのですが、「エッグベネディクト」という料理のセレクトなど、いやあ、絶妙です。ギリギリ名前だけ聞いたことがある、なんとなく高級っぽい、絵に描くとよっぽど上手くないと美味しそうに見えない、というポイントを見事に抑えていてパーフェクト! と感激しました。たぶん30年前だったらビーフストロガノフだった気が。男の子のほうがすこしクールなのも、物語を感じさせて好きです。


しーげるさん(@henshu_shigel

絵もキャラもすっとぼけた脱力感が魅力的。「エッグベネディクト」という食べ物一つへの想像だけでしっかり話を作れている構成力もいいですね。学校に行かない(行けない)理由には全く触れていないのだけれども、「エッグベネディクト」という精一杯の餌を用意してみた男の子と、娘のささやかな喜びのためさりげなくスーパーへ向かったお母さん、それぞれの相手に負荷をかけない優しさがとても素敵です。他のエピソードも読んでみたい。



四十五番街花屋のマリー いくたはな

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シャープさん

強い自分に憧れるのは男子の専売特許ではない。もうとっくに女子も強い私に憧れる時代だから、腕利きの殺し屋であるマリーさんが花屋に恋するお話も、なかよしの王道と言えるのではないかと思うのです。血と薔薇と武器とハートだけが赤に彩色されているのがかっこいい。


たらればさん

キャラクターの表情がよくて、「あー、キャラの顔から好きになると、読者はその人物の背景を勝手に想像するようになるんだなー」という気づきのある作品でした。お花屋さんの店長さん、元凄腕の殺し屋だったり、実は公安警察官だったりしてほしい。ちなみに花は一輪で買うケースと花束で買うケースで、選ぶ種類がくっきり分かれていて、「毎日一輪」だとそんなに種類がなくて続かないので、「1000円ぶん」とかにしたほうがいいのではないかなと勝手に思いました。お花、いいですよね。「お花屋さんで花を買って部屋に生ける」というのは、「時間の経過を意識するようになる装置(時計とは違う種類の時間装置)を見える場所に置く」ということなんだと、買うようになって気づきました。


しーげるさん

キャラクターへの愛と萌えが詰まった作品。デレてる時とキレてる時の表情の落差が素晴らしく、ギャップのある強い女子って魅力的だなあと感じさせられます。殺し屋と花屋というギャップもいい。花屋のビリーのキャラクターも、もう少し表面と違う魅力や人間性が垣間見えると、この先の想像が膨らんでなお良かったと思います。



もふもふ男子 アル川パカ之助くん izuu

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シャープさん

多感な時期の少女が気にかけるのはいつだって恋の話だし、恋に落ちるのはたいてい意中の人のまつげの長さに気づいた時だろう。座高が大部分を占めるとはいえ、高身長なアル川くんはおまけにふわふわしてやさしいとくれば、少女は恋に落ちないわけがないのだ。ただアルパカなので、もし連載があれば、ぜったいに唾をぺッと吐く回があると思う。


たらればさん

「大賞」3作品のなかで一番論評が難しい作品でした。な…なぜこれを大賞に選んだんですか『なかよし』編集部……。いや「ふさわしくないのでは」と言いたいのではなく、どう評価すればいいのか、とても難しい作品でした。だって、「転校してきた男子生徒が3/4くらいアルパカだった」という話ですよね…。たしかに「続きを読まなければ評価できない」というのは連載漫画の王道なのかも…とも思いました。ぜひ続きが読みたいです。贅沢をいえば5話くらいでリャマも出てきてほしい。


しーげるさん

どうコメントしていいのか分からなくて何度も読み返しているうちに、アル川くんの造形がじわじわツボるように。#04の2コマ目の焦点が顔ではなく首らしきものにあたってるのだけど、そう、そこが気になるんだ。触りたい。触ってくれ主人公!



入賞

冬季限定!こたつ猫カフェ 水島みき

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シャープさん

これを読んだ猫カフェの人たちはもれなく、この冬はこたつを設置するのではないか。疲れた人が猫に誘われて入る店はなかなか素敵なシチュエーションだし、連載になるとよさが加速しそうに思います。


たらればさん

こんなカフェ、近所にほしい! そしてぜひ本作はシリーズ化していただきたい! 『BARレモン・ハート』(古谷三敏著)とか『深夜食堂』(安倍夜郎著)のように、人間模様が浮き出すような作品になる予感がしております。あとこれたぶん、今回のコンテストが冬開催だったらもっと評価が高かった気が。


しーげるさん

とてもいい! これは間違いなく一つの理想の場所だと思う! キャラクターやメニューやシチュエーションをうまいことブラッシュアップできたら、なかなか素敵な連載になると思うので頑張ってください!



わしの所に来たイケニエがなんだかおかしい 砂原 可奈

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シャープさん

ありがちな童話を読む気分で読み始めたら、2ページ目からまさかの展開で驚きました。主人公の彼女がなぜそういう人間になったのかを、詳しく知りたい。


たらればさん

絵柄もキャラクターもキュートです。すごく可能性のある世界観なので、設定をもうすこし掘り下げるとさらに面白くなりそう。たとえば「森の主」はこれまでも生贄を食べてきたのか? なぜ森の主になったのか? 生贄はどのように選出されるのか? 生贄はなぜ寝ているときに涙を流したのか? 生贄はなぜ「自分は森の主に食べられるべき」と考えているのに服は絶対に脱ぎたくないのか?(「好き嫌いはよくない」という理由以上のもの)などなどを(作品内で直接描くかどうかは別として)考えておくと、作品世界に深さが出ると思いました!


しーげるさん

生贄も主様もどっちもとても可愛い。キス待ち顔と勘違いの所の表情もすごくキュンとする。読んでてほっこりさせられましたが、他のキャラが絡んできた時にどんな感じになるのかも見てみたかった。



I don’t like youの意味 眠井アヒル

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シャープさん

だれもが身に覚えのある、ネイティブな発音をする人に抱く嫌悪感から、見事に人間の本質を突く展開にハッとさせられました。大人ならほんとうは薄々気づいている、他者に抱く嫌悪感は自分へのブーメランという事実が、2者の対話からあぶり出されるのが、若者の成熟をあらわすようで素晴らしいと思いました。


たらればさん

わーー、これはすばらしい着眼点! ネイティブ発音者に感じる複雑な心境、それを反映してわざとクセの強い読み方をしてしまうこと、誰かが嫌いなのではなくその人を嫌う自分が嫌いであること、そしてそして「気持ちを言葉にする」ということへの本質的な不可能性(それを「翻訳」という作業で感じること)が、この短い作品に詰まっていました。たぶん主人公は、このさき何度も「いまの自分の気持ちを表す言葉がわかった!」と閃き、そして言葉にした瞬間「なんか違う気がする…」と感じることでしょう。そうした出力と入力を繰り返して、じんわりと「気持ち」が形作られてゆく。そんなロマンを感じました。


しーげるさん

言葉も感情も色んな解釈ができ、色んな伝え方ができる。主人公がもっと強く複雑で、でもどうにかして届けたい感情を抱いた時、どんな言葉を選ぶのだろうか。そんなことが軸になっていながら、実は表情が一番雄弁なのがいい。いつか訪れるだろう、最高の表情を浮かべる瞬間が見てみたい。



***



今回受賞された6作品は、『なかよし』本誌もしくはデジタル版に掲載される予定です。

歴史ある『なかよし』でデビューを果たす漫画家さんをコミチから数多く輩出できたことを本当に誇りに思います!


そして、次回の第16回コミチ漫画賞も、おもしろい企画を考えております。

現在、企画の詳細を詰めているところですので、近日中にお知らせいたします。


お楽しみに!!


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Fri, 23 Jul 2021 10:00:00 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/5cf2ff236a196/?utm_source=rss&utm_medium=referral 56391 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[『1P万画賞』結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/20210513172529643C33C311B471A5964CB58774F4B99998A-sm.png

1P万画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


今回、「1P万画賞」という新しい取り組みを始め、1ページマンガという気軽さを魅力に感じていただけたのか、300を超える投稿が集まりました。投稿してくださった漫画家のみなさま、本当にありがとうございます。


そこから何日もかけて悩み、1P週刊連載を行っていただく入賞の7作品を選ばせていただきました。どの作品も魅力にあふれ、おもしろい連載になるに違いないと確信しています。


それでは、コミチスタッフのコメント付きで入賞7作品を発表いたします。



戦国JK いくたはな

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=42330"></iframe></div>

戦国武将たちが女子高生に転生する百合マンガ……要素が盛りだくさんですが、1ページで5人それぞれのキャラがしっかり伝わってきます。「戦国武将の生まれ変わり」という設定が、今後どう効いてくるのか楽しみです。



アマランスラウンジへようこそ! 戸井理恵

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=42103"></iframe></div>

シンプルに続きが気になる!「個性豊かな大人たちが集う夜の遊び場」、私も含めそもそも足を踏み入れたことがない人も多いだろうし、コロナ禍で足が遠のいている人もいるかもしれません。どんな大人がどんな経験をしてきたのか、覗き見してみたいです。



ぬいぐるみ会社員 あおいし

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=42048"></iframe></div>

ほっこりシンプルな絵柄やファンタジックな世界観とは対照的に、扱っているテーマは現実に根ざし、一筋縄ではいかないものがあります。今の社会にこの物語は必要なのではないか。そう期待を込めて選びました。



デスクの中の友達 山閖

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=43432"></iframe></div>

世界観やキャラクターの説明に終わらず、きちんと作品のおもしろさが伝わってきて、「1ページマンガ」としての完成度がとても高いと感じました。今後の連載で”友達”との出会いや正体などが見られると思うと楽しみです。



みえるもの シャンプー  

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=43195"></iframe></div>

縦スクロールのならではの演出法がとても上手に生かされていると感じました。かわいらしい絵柄と幽霊の造形のギャップがあり、最後のコマでは思わず声を上げそうになってしまったほど。今後の展開が楽しみです。



祝日朝のあるある かくた

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=43499"></iframe></div>

「あるある!」と声に出して言いたくなる作品。日常のちょっとしたところを切り取って、たくさんの人にそのおもしろみを伝えられるってすごいことだと思います。どのような連載になるのか楽しみです。



今日も大忙し shell

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=42834"></iframe></div>

こんなのずるい!白黒なのにここまでインパクトのある絵柄、終始ピザ生地をこねているのか腹を揉んでいるのかわからない構図、お父さんのルックス、ちゃんとおいしそうなピザ……。すべてにあふれ出る才能を感じました。



***



入賞されたみなさまには、まず12週連続の「1P週刊連載」を行っていただき、月間で1000人以上の読者獲得と12週連続更新を達成した場合は公式連載デビューとなります。


みなさま、7作品の連載開始を楽しみにお待ちください!


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Fri, 14 May 2021 10:00:00 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/b3871cdfe1b6a/?utm_source=rss&utm_medium=referral 45032 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[「#技術の力でマンガ家を支えたい!」 結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/202104081954477653CCA7BDA4B32113E7E55FEA689CCCDF2-sm.png

「#技術の力でマンガ家を支えたい!」の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


コミチもゆっくりではありますがサービスが成長しており、1000人以上のマンガ家さんに利用されているサービスになりました。また、メディア運営のお手伝いや広告マンガ制作などの案件が増えてきています。


しかし、それを実装できるエンジニアが足りません!


「スタートアップは採用に困る」というのは事前に本や人に聞いて知ってはいましたが、まさにいま直面している状況です。


そんな中、コミチらしくエンジニアの採用をしたいと思っていたところ、マンガ家さんに採用マンガを描いてもらったら良いのでは?というアイデアが出て今回の企画につながりました。


下読みからコミチメンバー内の票が割れて大激戦になりましたが、最終的には大ヒットマンガ家・末次由紀先生に決めていただきました。

大ヒットの波に乗って、コミチが成長出来たらと思います!


では、審査員の末次由紀先生による寸評をお楽しみください。



入賞


『誰かのために、頑張るあなたが主人公』 にいろはるをみ

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=40340"></iframe></div>

末次由紀先生(@yuyu2000_0908)からの寸評

やり甲斐のある仕事を模索しているエンジニアの心に届きそう。自分が応援したいものを技術でサポートしたいと考えているエンジニアは多いはずで、そういう人たちが何のためにどういうところで働きたいと感じているかの気持ちを代弁している点が好ましいです。



『エンジニア限定!転職パーティー!』シャンプー

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=40163"></iframe></div>

末次由紀先生からの寸評

私がエンジニアなら転職してみたくなるかも。マンガ好きで転職を悩んでるエンジニアがふと目にした時に心が動きそう。婚活パーティーっぽい不自然な設定で目を引きつつ、うまく話をエンジニアが疑問に思うことへと誘導し、会社がトップダウンじゃないことまでが自然に勧められていて、思わずこの女性から壺を買ってしまいそう(壺じゃないですけど)。



***



今回入賞された、にいろはるをみさんとシャンプーさんの作品は、コミチの採用サイト・公式Twitterなどで活用させていただきたいと考えております。


また、今回は選考に漏れた皆さま、申し訳ありません。

皆さまにこの御恩を返せるように、コミチはもっともっと成長していきたいと考えております。

これに懲りず、引き続きご利用いただけたら幸いです。



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Mon, 12 Apr 2021 11:24:07 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/b46fffe9994aa/?utm_source=rss&utm_medium=referral 41055 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[コミチ×comico縦スクカラーエッセイ漫画コンテスト 結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/default/20210301231111897B1243838AAE86D619E2401B9BA953465-sm.png

コミチ×comico縦スクカラーエッセイ漫画コンテスト(第14回コミチ漫画賞)の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。

今回は、コミチ漫画賞を、初めてのコラボ企画・comicoさんとの共同開催という形でやらせて頂きました。

「縦スクロールカラーエッセイ」というかなり難しい制約がある中、150を超えるエピソードが集まりました。本当にありがとうございます!!

今回も本当に激戦で、コミチで配信するならどういう作品が一番合うだろうかと本当に悩み、何度も読み返しました。

そして、ぜひ連載をさせていただきたい大賞1作品・入賞1作品の2作品と、惜しくも今回は選考に漏れてしまったのですが、ぜひご紹介したい激励賞4作品の合計6作品を選ばせていただきました。

詳細は、審査員のcomico編集長・武者正昭さん、しーげるさん、シャープさん、たらればさんによる寸評をお楽しみにください!



大賞

死のうとしていた私の話  みれ

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=36069"></iframe></div>


武者正昭さん(@mushachanman

出だしの愛猫の死が切ないです。

押さえたシンプルな色遣いが、かえって痛々しさを増す。

回想形式で語られているから、今はきっと幸せになっているんだろうなという

予想で読むしかありません。ドキドキします。

いったん読み始めたら、目が離せない力作です。


シャープさん(@SHARP_JP

SNSを使うようになった私たちは、他人の人生を垣間見る瞬間が劇的に増えたと思う。SNSあるいはスマホがなかった頃は、偉人や有名人でもない人の生きる様子は、家族や友人知人を除けば、通りがかるとか居合わせるくらいしか、目撃できなかった。だがいまはSNSを通じて、それができる。意図的にしろ偶然にしろ、私たちはスマホを手に、他人の人生を垣間見ながら、自分の人生を生きている。

だから他人の人生を垣間見られるSNSで、自分の人生で起こった出来事を語る、いわゆるエッセイ漫画を描く人も読む人も増えたことは容易に想像できる。私もエッセイ漫画が好きだ。

当たり前だが、人生の出来事にはうれしいことも悲しいこともある。笑えることも泣けることも、楽しいことも辛いことも。だから泣き笑いとか、笑いながら怒るようなエッセイ漫画もあるだろう。

ここで大賞に選ばれた作品は、つらい話だ。家族(正確には婚約者だが、ほかに逃げ場がないという意味では、作者にとってまぎれもなく、その時点での家族だろう)から、暴力的な言動を受ける日々が描かれている。読み進めると、だんだん息が詰まる。読後に、他人の人生を垣間見たとサラリと言えない重い気持ちを残すのは、もちろん描かれるエピソードのしんどさに加えて、語り方、描き方の切実さもあるのだろう。そういう意味で、この作品は大賞にふさわしいと思う。

ところで、どんなにつらい話でも、それがエッセイ漫画として描かれているということは、作者がいまはその状況にないと暗に示しているはずで、読む側はそれが希望の拠り所になるはずだ。つらいことを語るには時間が必要なのだ。どうか作者さんが平穏な現在を送られていますように。 


たらればさん(@tarareba722

かわいい系のキャラクター造形ではありますが、なかなかハードな体験記です。お読みになる場合はメンタルのご準備を。また、2話で更新が止まっており、やや心配しつつ、大賞に推しました。すみません。

今回の応募作のなかで一番「続きが読みたい」と思った作品がこれでした。どんなにつらい経験があったとしても、いまはこうして作品にしていて、作者のなかではとりあえず一定の昇華はされているものだと信じています。なのでぜひ、3話以降の更新をお待ちしております。

さて作品の話です。自分はDVについて詳しいわけではありませんが、「家族」(今回は婚約者ですが)というものの恐ろしい面をこの2話でしっかり描いているなと感じました。

「結婚すると言って実家を出たのだから、もう帰れない」、この「逃げ場のなさ」こそが、暴力と被害の螺旋を加速させるのですよね。このままそばに居続けると、自分が死ぬか相手を殺すか、そういう隘路にまで突き進んでいくだろうと感じます。

生きているかぎり、「どこにも行き場がない」なんていう状況はあり得ないのですよね。しんどくてもそれだけは信じていることが、命綱になるんだと、そう思い出させてくれる作品でした。

大事なことなのでもう一度書いておきます。続き、読みたいです。


しーげるさん(@henshu_shigel

エッセイ漫画は実人生、実生活に基づいたものが多く、どの作品もが、その人にとって、辛いもの大変なものであれ、楽しいもの素敵なものであれ、人生の貴重な瞬間を切り取ったものだと思います。それを読むことで、他人の視点や経験を共有できるというのがエッセイの醍醐味なのかもしれません。だからこそエッセイは優劣ではなく、好きかどうか、必要かどうかでも読まれてほしい。そういう点で、今回の作品たちが賞をきっかけとして必要としている人たちに届くといいなと思います。

大賞作品。簡単に言葉にしては大変申し訳ないですが、この内容を漫画に描くのは、とてもしんどく、勇気や覚悟が必要だったことでしょう。それくらいDVの描写は生々しく、振るわれる暴力の数々は読んでいるだけでも辛いし、どの言葉もエピソードも実際に味わった人間にしか描けない過酷さを伴って描かれていると感じました。相手の顔を塗り潰していること、それでも時々目は描かれているのを見ると、まだまだ恐怖を感じられているのだろうと思います。

応募された作品の続きがブログに描かれているし、そのブログには他の作品も数多く載っているので、今現在はある程度の安全、安心を確保されていらっしゃるのだと思います。そのうえで、勝手な推測ではありますが、まだ救われていない誰か、救いに行ける誰かに届くことを願って描かれたのではないでしょうか。その作者の願いが伝わっていってほしいです。

人によっては、この内容は読むのがしんどい時もあるかもしれません。それでも、少しずつ小出しに、ライトで可愛い絵柄で描かれるエッセイ漫画のフォーマットを取っていることで、読み進めていくしんどさが和らげられているし、それもまた作者の力、漫画の力だと思いました。 




入賞

ワーママは朝がツライ 福々ちえ(ふくふくちえ)

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武者正昭さん

子育てあるあるを克明に描いています。読んでいるうちに母親になった気分。

さらっとした絵柄も、意外にネタとマッチしています。

今日もお母さんは大変だ。冷静にエンタメとして読ませる技術に〇。


シャープさん

エッセイ漫画の主戦場のひとつに、子育て(の悲喜こもごも)というテーマがあると思います。入賞作もまさにそれ。子育てのエッセイ漫画は、子育て経験者が読めば共感に、未経験者が読めば勉強になることが強みだろう。朝のワーママにとって、園に子どもを預ける瞬間がエピソードのピークだと思いますが、その後の仕事に取り掛かる「逆に心が落ち着く」場面までが描かれ、その落差にはっとさせられました。 


たらればさん

わたしの母も、(当時そういう言葉はまだありませんでしたが)ワーママでした。自宅の鍵を首からぶら下げて、学童保育からの帰り道に、なぜ自分の家には(専業主婦家庭である友人たちの家のように)いつも母親がいないんだろうと考えていました。

どうすれば母の気を惹けるかと考えて、わざと幼く振る舞ったり、罪悪感に訴えかけるために昼間学校であったことなどを喋ってテープレコーダーに録音して母宛に玄関に置いておいたりしました。我ながら陰湿だなあ。

これは本作の作者である福々ちえさんだけでなく、全国の働く母の皆さんに、当時「寂しい思いをした子供」を代表してわたしから一言お伝えしておくと、「子育て」と同じくらい「(仕事や趣味といった)自分のこと」を大切にしていた母を、わたしはいま、すごく尊敬しています。そういう母だったからこそ、いま子供であった自分は、自分の趣味や仕事を大切にできているのだと感じています。

がんばれ。大人になったとき、幼い頃に見た親の働く後ろ姿が、子の「底力」にきっとなるでしょう。

入賞おめでとうございます。


しーげるさん

子供は常に想定外のことをやらかしてくれるし、大人の事情なんてものにには一切お構いなし。だから離れてほっとしたい時もある。「先生に押しつける!」や「仕事が癒しの時間になる」という描写に共感してしまう人は多いんじゃないでしょうか。

子供は一人一人みんなそれぞれ違うはずなのに、つい「あるある」と思ってしまうのは、それだけ子育てが大変だとみんなが思っていて、その気持ちを分かち合いたいということなんですよね、きっと。エッセイは経験と気持ちのシェアという側面もあるし、それゆえに子育てエッセイは人気なのだと思います。

ところで。スケッチブックを盛大に破り始めたり袋に詰めたりしている時のお子さんの描写。作者の方はその場ではうんざりしていたはずなのに、とても生き生きとした表情を描かれていて、ほっこりさせられました。 



奨励賞

「ニーチェ先輩の話」縦スク版(完結) 胡麻

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武者正昭さん

とっても心温まる良い話。ニーチェ先輩の人柄に癒されます。

絵柄もホッとさせてくれます。静かな回想の中に一滴の悲哀も。

青春って、振り返ると切ない。

ニーチェ先輩はその中心で静かにたたずむ象徴なんですね。


シャープさん

私がエッセイ漫画を好きな理由に「余韻が感じられること」があるのですが、この作品を読まれた方はその意見に頷いてもらえるのでは。犬のヤマネさんが、先輩の人生と作品に余韻をもたらすことに、大きな役割を果たしている。 


たらればさん

これはどちらかというと「ヤマネ先輩の話」では?? という読後感を持ちつつ、ニーチェ先輩のこのほかのエピソードがあるんだと感じて、本作を推しました。ニーチェらしさをぜひ感じさせてください。次回作をお待ちしております。


しーげるさん

結婚式での大宮のおばちゃん、ラストのヤマネさん。年老いてからの両者の絵がとても美しい。「煮られ続けてカチカチになったこんにゃくを探した」エピソードといい、時間を経ることにポジティブな印象を感じて、ただの郷愁じゃないところが素敵だなと思いました。 



「料理」を楽しむにはどうすればいいの? にいろはるをみ

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武者正昭さん

ある日、ひょんなことから料理に目覚めた私。

しゃにむに突き進む姿がほほえましい。

友人を巻き込みながら、料理名人になるのか?

それとも妥協するのか?他人事ながら目が離せない。

そんな魅力があります。


シャープさん

プロセスを描くのは漫画の得意分野だし、プロセスが興味深いのが料理の奥行きだと思います。この作品は料理へ挑戦をはじめるプロセスが描かれていて、月並みな言い方ですが、続きが楽しみになる。 


たらればさん

世にこれだけグルメマンガが溢れているというのに、その分野ど真ん中に突っ込んでいった作者の勇気を評価しました。続ければとりあえずレシピは貯まります。あまり凝らないタイプの料理マンガ、需要あります。ここに。


しーげるさん

経費にするため、漫画を面白くするため、料理を楽しむというきっかけが面白い。動機は不純なくらいでいいんですよね。また、全体にテンポがよく、カラーとモノクロのメリハリも効いていて、ヒキも良く、どんどん読みたくなりました。続きが楽しみです。 



ほんなら辞めたるわ!!第1話 上原 美聰(うぇだこ。)

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武者正昭さん

職場あるある。問題のある同僚に振り回され、

理解のない上司になだめられ、きりきり舞いの美聡が不憫です。

でも、見守っていたくなるような明るい絵柄でもあります。

頑張れ美聡。


シャープさん

反射的にあの「うっせぇわ」の歌を思い出しました。私たちが日頃心の中で抱く「怒り」を代弁してくれるような、スカッと系エッセイ漫画でした。 


たらればさん

色使いが独特です。もう少しコマ割りを圧縮したほうがいいかも。構図とセリフを工夫すると、このシナリオを説明するのに半分くらいのコマ数でいけるはずです。そうすると、もっと盛り込める内容が増えるかと。


しーげるさん

かなりの怒りを感じる激しい描写。それに対して、1話目で描かれているネタは、まだ辞めるに至るほどのことではないように感じます。これからどんな事情が明らかにされるのか。作者さんにとっては大変なことだったはずですが、「何があったのか知りたい」と思ってしまうのが人間の性ですね。すみません。続きが読みたいです。 



赤ちゃんの言葉 ヤマモト喜怒  

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武者正昭さん

赤ちゃんは無敵。話題の中心。一家の光。一喜一憂。

小ネタが畳みかけるように読み手に突き刺さります。

独特な絵柄も我が家の一大事「赤ちゃんの言動」にマッチしている。


シャープさん

こちらも子育てエッセイ。絵の圧がすごいし、ご家族の顔がみんないかつくて、それだけで笑いそうになった。 


たらればさん

ご自身も息子さんも、まったく可愛く描くつもりがないところに痺れました。ネタの面白さのみで勝負する気なんだろうなと。面白かったです。


しーげるさん

すごいテンションに、すごいビジュアル。ネタの1つ1つもそうですが、全力で家族の時間を楽しんでる雰囲気が伝わってきて幸せな気持ちになります。 



***



今回大賞のみれ先生、及び、入賞の福々ちえ先生にはぜひ公式連載をして頂き、コミチで全力プロデュースさせていただきたいと考えております。

両作品とも素晴らしい縦スクロールカラーエッセイで、どう編集&プロデュースすべきか本当に楽しみです。


そして、次回の第15回コミチ漫画賞も、おもしろい企画を考えております。

現在、企画の詳細を詰めているところですので、近日中にお知らせいたします。

お楽しみに!!


募集ページは近日公開予定なので、詳しくはぜひそちらでご確認ください。

奮ってのご参加お待ちしています!


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Fri, 05 Mar 2021 06:00:00 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/02fa1896e9d77/?utm_source=rss&utm_medium=referral 38055 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[第13回コミチ漫画賞結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/78/202012151805018337AFEB9E7EF30A5B20779E0923362DB86-sm.png

第13回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


前回(第12回コミチ漫画賞)より、大賞作品は公式連載権を獲得することになりました!

前回大賞を受賞したうえはらけいた先生とは何度も連載会議を重ねておりまして、来春には配信開始出来るのではないかと思います。


今回もどのような漫画家さんのプロデュースが出来るのがすごくワクワクしながら審査させて頂きました。

そして、審査員の皆様も口を揃えて仰っていますが、今回良作があまりにも多く選考が本当に難航してしまいました。


「漫画家さんの創造力って本当に素晴らしい!!ワクワクする!!」


何度もそう思いながら、読ませて頂きました。

そんな中、ぜひコミチで連載をして頂きたいと思う大賞&準大賞の2作品、及び、ぜひ沢山の読者に読んでもらいたい2作品を入賞として、計4作品を選ばせて頂きました。


詳細は、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんによる寸評をお楽しみにください!



大賞

HOFAH平成(元ヤン×未亡人の百合) 青9HP

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=28381"></iframe></div>


シャープさん(@SHARP_JP

最初に断った方がいいと思うので言いますが、今回の大賞選考は良作がありすぎて、結果票が割れ、2度の決戦投票をしなければいけませんでした。そして私は実のところ、こちらの大賞作に票を入れていません。私以外のお二人が最終選考で1位に選ばれています。で、なんで私はピンと来なかったのだろうと思いながら再読したのですが、理由がわかりました。私の読み込みが浅かったのです。 


3度目に読み通すころには物語に夢中。読めば読むほど、その構成に驚きます。そして読めば読むほど、ハードな(人生を生き抜く人の)ストーリー。そこにマイノリティや裏社会といった視点が、重い棒で私の脳をゴンゴン殴るように繰り広げられます。 


たぶん他にも、私が受け止めきれていない仕掛けがあるはず。タイトルの意味も気になるし。みなさんも読み込んで、その奥行きをご堪能することをおすすめします。そして私は読後、なぜか映画「シド・アンド・ナンシー」を思い出すようになりました。それを確かめるには、シド・アンド・ナンシーも見返さなければいけない。



たらればさん(@tarareba722

「コミチ賞」は毎回3名の合計点数で「大賞」が決まるんですが、わたくしが推す作品が選ばれるケースが少なくて、いつも「ぐぬぬ…」と空を仰いでいたのですが、今回は!! 今回は最初からわたくしの一押し作品が選出されました!!! おめでとうございます!!! なぜかわたくしも嬉しいです!!

 かなり独特のタッチ(アメコミ風?)と各コマの構図、人物描写、ストーリー、そしてコマ間の使い方など、秀作ぞろいの今回の中でも白眉でありました。

 特に、縦スクロールマンガって構図が単調になりがちなんですが、本作ではしっかりと計算されていてスピード感があったのと、なにより最後のカット、最高!! めっちゃくちゃカッコよかったです!!

(一点だけ、タイトルの「HOFAH平成」がどういう意味なのかわからず、一読者としてはそこが残念でした)



しーげるさん(@henshu_shigel

次々に訪れる想定外の出来事。何が起きても淡々と受け入れてるように見えるユウママさんと、そんな彼女に惹かれたために、とことん彼女の大変な道行きに付き添い続ける主人公。エピソードは暗く重いのに、どこか飄々として明るいキャラクター描写に、独特な色彩で描かれた世界観からはポップな感じすら受け、次々にページをめくってしまった。 


それにしても、なんだろうこのテンポ感は。驚くほどテンポが早くて、それでいて破綻しないところに、抜きん出た個性を感じる。従来の漫画のテンポではなく、音楽、それもリズムミュージックのようなテンポで作ってる感覚。作者の方はどのようなものを摂取して育ってきたのだろうか。 


今回の大賞候補作はどれも素晴らしいものばかりで本当に悩んだけれど、この作品が最も、「なんでこれを描けたのか」想像がつかなかった。この作品の他に、一体どんなものを描くのだろうか。その興味を最も惹かれたので大賞に推しました。 



準大賞

文子と早春の煙 第4話 旅への誘ひ 石河カド

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シャープさん

純文学というパブリックイメージをマンガで表現する、あるいは私小説の持つ世界観をマンガ化する、それに成功したマンガなのだと思います。小説のマンガ化とかマンガのノベライズとは別のかたちで、個々の作品としての小説ではない、ある小説ジャンルが持つ「感じ」をマンガにできるということは、すなわち漫画表現の懐の広さを表しているのではないか、と思った次第です。 



たらればさん

一気に最新16話まで拝読しました。衒学趣味全開のストーリーとキュートな絵柄にものすごい期待を抱いております。ぜひ完結まで読みたいので、そのぶん今回は評価を抑えました。文芸サークルのダメなところが全部入っていて、悶絶しながら続きをお待ちしております。



しーげるさん

文学に励む学生を題材に、まるで私小説のように切々と心情を描いていく作品。主要人物三人の三角関係がはらむ危うい関係性と繊細な言葉のやりとりに、読んでいてひりひりさせられた。この三人の関係の結末がどう描かれるか、最後まで見守りたい。 


ところで原稿は何でどうやって描いてるのでしょうか? デジタルで投稿されていながらも、アナログの風合いを多分に感じる原稿。それが作品の、少しノスタルジーを感じる世界観とも絶妙にマッチしていた。



縦スク賞

01はじめての登園 ineedyou31219

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シャープさん

何度も言っているような気がするのですが、スマホで下へ下へと一コマずつ読んでいく縦スクは、時間を辿ったり遡ったりという、時系列表現と親和性が高いと思っていて、この作品は幼稚園へあがる前の親子ふたりっきりの幸せで濃い時間の回想が、スクロールごとに積み重なっていくように感じられ、泣きそうになる。というか泣いてる。 



たらればさん

「03」まで含めて、ずっとニコニコしながら拝読いたしました。温かいタッチと色づかいが内容とよく合っています。さすが本職のイラストレーター。縦スクロールにも合っている構成で、まさに縦スク賞にふさわしい作品でした。おめでとうございます!

 一点気になったのは、ineedyou31219さんの作品は(「感動」を描こうとしているのはよくわかるのですが、そのわりには)感情の描写がストレートすぎるところです。「感動」という言葉は「【感】情が【動】く」ということです。不安に覆われていた気分が晴れたり、苦しく悲しい気持ちが達成感や喜びに転じたりしたとき、人の感情は動きます。その動いた幅が大きければ大きいほど、「感動」という心境を強く感じます。「起承転結」でいうと、「起転結」でまとめているように感じます。もう一歩丁寧に「承」を描くと、作品にもっと奥行きが生まれるかと思います。



しーげるさん

クレヨンで描いたような描き文字が、作品にマッチしていてとても可愛い。また、全体の絵のタッチも柔らかく、お子さんの絵もぷくぷくしていて、幸せそうな感じにあふれている。作品全体が愛情表現になっているかのようで、とても温かい気持ちになりました。 



強化ジャンル賞

先生を漫画に描いたらバズったので謝りに行った話 さく兵衛

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シャープさん

私はエッセイというものが大好きで、おそらく昨今のSNSで爆発的に数が増えたエッセイマンガの恩恵に与る人間です。ですから、この作品が私はこよなく好きです。どう好きかをうまく言えない感覚とパーソナルな出来事を覗き見する感覚が両立するのがエッセイマンガのいいところだと私は思うのですが、それはつまり「この人いい人だなあ」と他者を好きになる感覚と似ている。だから私はいま、この作者と友だちになりたい。とはいえ、手土産を選ぶシーンからマンガがはじまる点など、ただ自分の出来事をつらつら語るのではなく、ちゃんと読ませる構成がなされているので、それもまたいいと思うのです。 



たらればさん

 さまざまな感想が入り乱れておりますが、「この教授、研究室を訪ねてきてくれて嬉しかっただろうなあ…」というのが一番大きいです。もう少し批評っぽく書くなら、教授の描写、特に数コマだけ「眼」を描き込んだ描写がすばらしい。

 大学教授には「研究者」という側面と「教育者」という側面があって、その(かなり隔たりがあり、時に相反する)職務のバランスをとっているわけですが、今回はその「教育者」としての面が強く出ていて、なんだかほっこりしました。

 ぜひこれを機会に、哲学にまつわる本を読んで、またこのテーマで描いてほしいなと思います。



しーげるさん

今回は強化ジャンルであるエッセイ作品が多く、しかも素晴らしい作品ばかりだった。個人的な感想ではあるけれど、エッセイというものに賞をつけるのは難しい。他のジャンルよりもフィクション度が低く、実生活と近いものが多いため、漫画そのものよりも、作者の人生に優劣を決める気分になってしまうからだ。そして、もちろんだが人生の優劣など決めようがない。 


そんな中で、この作品は、「先生に謝りに行く」という非日常的な出来事を扱っていて、かつ、「先生に謝りに行くと一体どうなるのか」最後まで惹かれるものがあった。そこでの先生との会話や先生の状況から、お互いが会うべくしてこのタイミングで会ったのではという運命のようなものを感じて、淡々とした描写ながら大きな物語性をも感じさせられた。また、なぜか青一色の原稿なのだけれども、それを生かした後半の見事な場面にも心を動かされた。 


賞には選ばれなかったけれど、「会社の電話恐怖症だった私が、電話で感謝されるまでの話」、「30代から始めるこの世のあらゆるすべて」、もぜひ読んでみてほしいし、読まれてほしい。 



***



今回大賞の青9HP先生、及び、準大賞の石河カド先生にはぜひ公式連載をして頂き、コミチで全力プロデュースさせて頂きたいと考えております。

両作品とも素晴らしいストーリーと画力で、本当に楽しみです!


そして、次回の第14回コミチ漫画賞は、超・スーパー・スペシャル企画となります!

現在、企画の詳細を詰めているところですので、近日中にお知らせ致します。

お楽しみに!!


事前にテーマと締切だけお伝えしておきます。

テーマ:縦スクカラーエッセイ漫画(15コマ以上)

応募締め切り:2021年2月7日(日曜日)

です。


募集ページは近日公開予定なので、詳しくはぜひそちらでご確認ください。

奮ってのご参加お待ちしています!



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Fri, 18 Dec 2020 01:14:54 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/989d162913de8/?utm_source=rss&utm_medium=referral 31016 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
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第12回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


コミチ漫画賞は今回から大きくリニューアルし、大賞作品は公式連載権を獲得します。

漫画家さんとしては、公式連載という「チャンス」、

コミチにとっては、大賞作品を本気でプロデュースする「強い意思」、

だと思っています。

コミチ社員やガチコメ編集部など、メンバー一丸となって作品を売っていきたいと思ってますので、漫画家のみなさん今後ともよろしくお願いします!


そして、今回大賞&強化ジャンル賞を獲得したのは、SNSでも話題になった『コロナ収束したら付き合うふたり(うえはらけいた作)』です。

この作品はまさにwithコロナ時代にあった物語で、いま見るべき作品です。

たらればさんの寸評にもあるのですが、以前コミチで主催した『SNSアカウントNight』というイベントのレポマンガをご覧になればわかる通り、うえはらさんは本当に、「あるシーンを切り取る」能力が高い漫画家さんです。

みなさま、ぜひ一緒にうえはらさんを応援してください。


それでは、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんによるコミチ漫画賞の寸評です!



大賞&強化ジャンル賞

コロナ収束したら付き合うふたり(うえはらけいた)

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=26482"></iframe></div>


シャープさん(@SHARP_JP

流行りといって差し支えないと思いますが、タイトルからもわかるとおり、何日後の未来に結末が決定している系の作品です。が、そう思いながら読みはじめても、幼馴染のふたりの歳月を最後まで追うのを止めることができませんでした。


物語は幼稚園の入園式から30年ほどの時間が描かれます。それを連続してぐんぐん読む私は神のような俯瞰する視点とともにあり、その一方で毎話提示されるパーソナルなエピソードをていねいに読もうとする私には、いつしか親戚のような親密な視点が備わっていた。そんな相反する視点を行ったり来たりしながら、マンガは圧巻の結びを迎えます。時に叙事詩と呼ばれるような長い小説の読後感を、こんなにかわいらしい漫画から得られるとは思いもしませんでした。


またこの作品は、ふたりが持つ携帯電話やスマホの細かい描写に顕著ですが、90年代から現在にいたるまでの日本の文化史のような側面もあります。たまごっち、ケータイ、コンビニ、ふたりの職業にいたるまで、出てくる小物や背景が、特にいま30代後半の人(それは主人公たちと同じ年齢だ)には、まるで自分史のように読めるはず。そしてもれなく泣くと思う。ほんとうに素敵な話、いや素敵な人生でした。



たらればさん(@tarareba722

SNSマッチョ達による夜会』で見事なレポートマンガを投稿してくれた、うえはらけいたさんの力作が大賞受賞でした。

 約120話というWeb連載の四コママンガとしては長編ですが、非常に魅力的な作品でした。今回のコミチ賞のテーマは「恋愛」だったのですが、応募作にはいろんな形の恋愛模様が投稿されるなかで、一番ストイックで一番「これを恋愛と呼んでいいのだろうか」と考えさせられる作品だったと思います。

 恋愛という感情は、「信頼」だとか「敬意」だとか「友情」といった領域と重なりながら隣り合っていて、そのどれでもあってどれでもない気持ちや関係性なのだと思います。そうした状況をとてもうまく表現した作品でした。

 個人的には、おさむくんが学生時代に付き合っていた後輩の女の子が、作品のアクセントとしてとても効いていて、好きなキャラクターでした。しあわせになっていてもらいたい。あと、つかさちゃんのお母さんも。

 一点、アフリカの太鼓とトランペットは、伏線があったとはいえ、もうちょい別の身近なものに置き換えたほうがよかったのでは…と思いました。


 なお今回は大賞受賞作のデキがかなり突出していましたが、

不思議なメガネと隣りのヤンキー』じゅんたさん

ふつうのひと』asaborakeさん

は、通常のコミチ賞であれば充分大賞にからむ実力のある作品だったと思います。続きが読みたいので、ぜひ投稿を続けていただければと。



しーげるさん(@henshu_shigel

幼なじみ2人が出会ってからの10,000日を描いていく物語。幼稚園時代を丹念に描き始めた出だしから、初めは「一体どういう話なのか?」と思ってしまいましたが、最後は全てが繋がって、2人が付き合うべくして付き合い始める圧巻の出来。


コロナ禍の現在で終わるようになっている、というか、現在から逆算して作ってるのだと思いますが、その時々の文化や流行り、感覚もしっかり再現されていて、よほど調べたのか記憶力や観察力がいいのか、作家としての力を感じます。これだけディテールをしっかり描写できるところ、それもかなり象徴的なものを選び抜いてるところなど、なかなか簡単にはできないことです。


それに、幼なじみ同士の2人がそれぞれの歩み方で、大事なものに気づいていく過程もしっかり描かれていて、人の人生の捉え方も素敵だなと思いました。2人の「手」の距離感にフォーカスした恋愛感情の描写にもぐっときます。最後の幼稚園前でのシーンはやばかったなあ。


素晴らしい観察眼、視点、まなざしを生かして、次はどんな作品を描かれるのか。新しい連載作品を心から楽しみにしています。



縦スク賞

なんで?(みさみ)

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe"title="corkbooks" src="https://comici.jp/articles/iframe/single/?id=26714"></iframe></div>


シャープさん

淡いマンガでした。恋愛がはじまりそうな空気感も、絵のタッチと色も。意図的なのかそうでないのか、男の子は好意を寄せてくる女の子に「なんで?」と問う。その「なんで?」のコマが、縦スクロールによって繰り返し現れるわけですが、その繰り返しがなんともいえない「はぐらかし」を感じさせてくれました。まさに縦スク賞だと思います。



たらればさん

 2020年9月のコミチ賞に『つまらないって罪なんです』みさみ著 を投稿していただき、大賞候補となりながら惜しくも無冠となった、みさみさんの短編です。おめでとうございます。

 縦スクロールを意識したコマ運用で、「間」の使い方とカラーの色合いが印象的な作品でした。何を考えてるのかわからない男子にやきもき…と思いきや、何を考えてるのかわからないのは女子だった、ということですよね。恋愛未満の関係をうまく描いているなあと思います。

 ちなみに「若宮くん」は、なぜ理由を聞きたがるのでしょうか。そこらへんが描かれると、さらに作品に深みが出るなと思いました。



しーげるさん

勇気を振り絞って声をかけた主人公の女の子。彼女の表情がとっても可愛い! 好きな人からの「なんで?」返しって地味にダメージでかいと思うのだけど、それにめげず頑張って会話を続ける様も健気でいい。彼の方もきっと好意はあって純粋に「なんでか」知りたいだけなんだろうけど。この二人の会話が噛み合う時まで、ずっとニヤニヤできそうと思える作品でした。色のチョイスも素敵なので、今後が楽しみです。



***



冒頭に述べた通り、今回よりコミチ漫画賞はリニューアルしました。

大賞受賞者にはコミチでの【公式連載】を行なっていただき、コミチで全力プロデュースします!


最後に、第13回コミチ漫画賞の強化ジャンルは、

SNS時代のマンガ登竜門をめざすコミチらしいジャンル「エッセイ」です。


くわしくは、第13回コミチ漫画賞募集ページをご確認ください。

応募しめきりは、2020年11月22日 日曜日です。


奮ってのご参加お待ちしています!



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Thu, 03 Dec 2020 21:09:40 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/0a7a9ef541b60/?utm_source=rss&utm_medium=referral 27597 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[第11回コミチ漫画賞結果発表!]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/2/78/2020081117021843129A9EED459A0AC723556747D8FDF7828-sm.png

第11回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。


新型コロナウィルスによって世の中が大きく変わっており、漫画家の皆さんも新しい働き方・稼ぎ方を模索されていることでしょう。僕たちコミチも、漫画家コミュニティとして、どうやったらたくさんの漫画家さんが稼げる場を作れるだろうと考え続けています。


このコミチ漫画賞は、その中で最も重要視している場です。

SNS時代の漫画家デビューの登竜門になりたい。そういう思いで、これまでにコミチ漫画賞を11回開催してきました。

コミチから羽ばたいた漫画家さんが、ジャンプやマガジンなどのマンガ雑誌、LINEマンガやピッコマなどのマンガアプリ、広告マンガ、同人誌など、それぞれの強みを発揮できる場で活躍する手助けをもっともっとしていきたい。


そう考えた結果、次回第12回からコミチ漫画賞は大きくリニューアルをします!

変更点は3点です。


1. コミチ漫画賞の大賞受賞者は、コミチでの【公式連載権】を獲得し、編集部が全力でプロデュースします


2. ガチコメ編集部一同で、公式連載作品のガチ編集をします。


3. コミチ以外の販売の場として、電子書籍や同人誌出版を支援します。


漫画家の皆さん、たくさんのご参加お待ちしております!


それでは、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんによる第11回コミチ漫画賞の寸評です!



大賞
7月7日にダルマさんが【3/3】(みーきち)

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シャープさん(@SHARP_JP

今回のコミチ漫画賞のテーマは「主人公のキャラ」です。そしてこの大賞作には、主人公とキャラがあふれている。それも多様に。便宜上、受賞作のリンク先は65話から102話の最終話が掲載されたページだが、ぜひ1話目から読んでほしい。


驚くべきことにツイッターで毎日1話ずつ公開されたというこの作品。主人公の女性の側にはしゃべるダルマがいるという特異点はあるものの、それ以外にとりたてて主人公らしく描かれることはない。なぜなら主人公の周囲にいる女性がそれぞれに事情を抱え、そのだれかの事情が毎話少しずつ、ゆっくりと語られるからだ。


周囲の友人は聞き手に回りながら、各人の事情は悩みの解消に向かったり、なんとなくの行き詰まりを見せたりしながら、生活は続いていく。この作品で語られる「事情」はけっこうな数なのだが、そのひとつひとつが、いまわれわれの抱える現代的な悩みばかりで、読む側は登場するだれひとりのキャラに、共感することなく読み終えることは難しいだろう。


だれもが、それぞれの事情を抱えながら生活を送っている。この作品の「日常」を通して読めば、そんな当たり前の感慨が湧いてくるはずだ。日常において、私たちはそれぞれ、主人公なのだ。そんな日常の積層が、やがてキャラとして、主人公を強固にしていく。テーマ「主人公のキャラ」にふさわしい大賞作品だと思う。



たらればさん(@tarareba722

 まず本作は3回に分けて投稿されており、全102話あります。4コママンガではありますが、かなりしっかりしたストーリーがあり各キャラクターに個性と成長があるので、第1話から読んだほうが「物語」をじっくり味わえるでしょう。

 柔らかい絵柄と「家にあった小さいダルマがある日突然喋り出す」というふんわりエピソードから始まるため、「日常系ゆるふわエッセイマンガかな」と思わせておいて、中身は「コミュニケーションとは」という骨太な主題に真正面から取り組んだ作品でした。

 読みとおすとそれぞれ読んだ者が抱える心の闇の一部を照らす内容で、わたしは本作に、


・平気なように見えるあの人もこの人も、それぞれ「地獄」を抱えている

・それを踏まえたうえで、「話を聞いてくれる人」がいると、この世界はすこしだけマシに感じられるようになるかもしれない

・「大丈夫」という言葉がもたらす寂しさと優しさ

・心がしんどいときに大事なのはやっぱり「おいしいもの」と「触感がやさしくて抱けるもの」が大事


 というようなことが感じられました。秀逸。

 一点だけ、レイくんの「目」が最後まで描かれなかったのが切なかったです。最後、どんな表情していたんだろう、と。


 また、これは読者諸兄には関係ないことかもしれませんが、今回からコミチ賞の規定に「大賞該当作なし」もあり得ます、というルールが追加されました。選考直前にそのことを聞かされたので、「あれ、今回は集まった作品がいまいちだったのかな」と油断していたのですが、過去最高に近い激戦だったことをお知らせしておきます。

 個人的には、『つまらないって罪なんです』みさみ著や、『君と、来年もこの先もずっと…』青村明著 も、どちらも味わい深くてとてもよかったです。次回作をお待ちしております。



しーげるさん(@henshu_shigel

1つ4コマではあるけど、全部で102話もある超力作! この量を描き切ったことをまず全力で褒めたいです。凄い!!! そして102話もあるのにとても読みやすくて、全部一気に読んでしまいました。


ダルマのだるちゃんを通して、少しずつ色んな人たちが繋がりを持ち、それぞれが抱えていた事情が明かされ、誰かの長所で誰かの悩みが癒されていく。そんな素敵な輪が広がっていく優しいストーリー。色んな立場、年齢、性別の登場人物の人生をしっかり描けていて、作者の観察眼や人生観の豊かさを感じます。だるちゃんというトリックスターを配したアイディアも秀逸。


今回のお題は「主人公のキャラ」でしたが、この作品では誰もが物語の主人公であること、それに加えて、誰もが誰かの物語のヒーローやヒロインにもなれることも描いてる気がする。ほんの少しのきっかけで、誰もが今より少し素敵な人生や社会を手にすることができるのかもしれない。そんな希望を信じることができる、今悩みを抱えている人たちの心を軽くすることができる素晴らしい作品だと思いました。


出来るだけ沢山の人に読まれてほしいです!



縦スク賞
小さな世界(たむら蓮々)

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シャープさん

主人公はどちらなのだろう。母なのか娘なのか。出かけたい母と伝染らないよう家にいてほしい娘。コロナ禍のまさに今を描いた作品で、おそらく認知症であろう母に対する態度と判断が、下へ下へとスクロールしながら逡巡される。その小さな世界の逡巡は、なにが正解かわからない現在、私たちは他人事として片付けることはできないはずだ。これはあなたにもわたしにも起こり得る、大きな世界の話だと思う。



たらればさん

 ほとんどのコマがアップの絵柄と強い感情で構成される、非常に現代的で「縦スクロール」的な作品だなと感じました。テーマももちろん高齢化社会向け。

 これは不思議な偶然ですが、(大賞作品と並んで)こちらも「大丈夫」という言葉がキーワードとなる作品でした。「大丈夫」がもたらす断絶。

 内容はものすごくハードで、すくなくともわたしは本作を「救済の物語」とは受け取れませんでした。主人公はきっとこの先、何度も絶望し、何度も譲歩を強いられ、何度も「それでもやらなきゃ」と立ち上がることになるでしょう。世の中はこういう小さな「支え」で成り立っているんですよね。だからこそ、「人間の物語」だと受け取りました。



しーげるさん

温かい線で描かれている優しい世界。なのに時々ハッとする言葉や表情が入ってきて、短いのに色々なことを考えさせられました。大切な時間、大切な場所というものは、安全地帯から一歩踏み出した時に手に入るものだったりする。他人を危険に晒すのはダメかもしれないけど、自分の人生は一度しかない。今しかない。人はみんな大きなジレンマを抱えながら生きてるんだよなあ。漫画だから描ける作品だと思い何度も読み返しました。





新人賞
OLのコメダさん(たこちゃん)

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シャープさん

マイペースなコメダさん。となりでほんのり好意をいだく同僚へも「休憩行かないですか?」「におうかもです」と、少しぶっきらぼうな、かすかに特徴あるしゃべり方が魅力だ。事の顛末はマンガを読んでもらえればわかると思うけど、うっかりでもなく、ガサツでもなく、かといってズボラというわけでもない、マイルールが確立された世界に住むコメダさんの、ほかのエピソードも読んでみたい。



たらればさん

「コメダさん」の続きが読めるかなと思って、作者であるたこちゃんさんのTwitterアカウントに飛んでみたのですが、いくつかイラストがあるだけで、続きがありませんでした…。続き読みたいです。ぜひお願いしたい。

『からかい上手の高木さん』山本崇一朗著や『となりの関くん』森繁拓真著のような作風で、可能性を感じます。

なお「隣の席で食事」って、品目や匂いも気になりますが、音も気になりますよね。



しーげるさん

職場でカレー弁当はなかなか勇気がいると思うのだけど(僕はあったかくて匂いの漂うものは全て気が引けてしまうタイプです)、食べるどころか「カレー食べたいんですか?」と返せる肝の太さにふふっと笑ってしまった。いや、もしかしたら肝が太いのではなく、先輩を共犯にしたかったのかな。それとも何か話すきっかけが欲しくてインパクト狙ったのかな? 色々と彼女の様子が気になってしまう先輩とともに、普段はどんな感じなのか、もっと他のエピソードも読んでみたいと思わされました。「この人がどんな人か気になる!」って思えるの、いいキャラですよね。



***



冒頭に述べた通り、次回からコミチ漫画賞はリニューアルします。

大賞受賞者にはコミチでの【公式連載】を行なっていただき、コミチで全力プロデュースします!


そして、次回第12回コミチ漫画賞から強化ジャンルを設けます!

いま、最もGoogle検索されているマンガのジャンルは、「恋愛」です。恋愛は、人間の普遍的なテーマ。SNS時代のマンガの登竜門になりたいコミチ漫画賞にとって、最もふさわしいテーマではないでしょうか?


第12回コミチ漫画賞強化ジャンルは、「恋愛」です。


くわしくは、第12回コミチ漫画賞募集ページをご確認ください。応募しめきりは、2020年9月20日 日曜日です。


奮ってのご参加お待ちしています!


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Wed, 12 Aug 2020 16:43:23 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/abae23585a12a/?utm_source=rss&utm_medium=referral 25083 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
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第10回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきます、コミチ代表のマンディ(@daisakku)です。スペイン風邪以来100年ぶりのパンデミック、新型コロナウィルスにより、働き方・余暇の楽しみ方など時代が大きく変わっています。そういう時代の変化が起こっている今だからこそ、縦スクマンガによってデジタル体験を向上させ、新しいマンガ体験を追求していきたいと日々模索しています。


いつも投稿やコメントをしてくださるみなさまと、この危機を乗り越え、新しい未来を創れたら嬉しいです。


さて、今回のコミチ漫画賞は、コミチへの投稿92作品、Twitter応募2作品の合計94作品が集まりました。投稿くださった漫画家のみなさま、本当にありがとうございます!


今回の大賞は初の決選投票が行われるほどの激戦で、コミティアやコミケで出せなかったであろう力作揃いでした。そんな激戦を勝ち抜いたいぬパパさんはコミチの初期から投稿してくださっている漫画家さんで、僕もすごく嬉しかったです。ぜひ審査員のお三方の寸評とともに縦スクマンガをご堪能下さい。


それでは、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんの寸評です!



大賞&縦スク賞

あこがれ魔法少女☆デンジャラスデンジャー(いぬパパ)

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シャープさん(@SHARP_JP

グイグイ読んでしまった(縦スクだから下へ下へと)実は今回のコミチ漫画賞は、読みごたえのある作品がひしめき、票が割れまくりました。この回に限っては、3位まで公開してもいいのではと思うくらい。で私は悩んだ末に、こちらを大賞に推しました。絵も物語のスピードに並走するように魅力的でした。


ヒーローに憧れる幼い少女。かばいかばわれる幼馴染。地球に侵入する善と悪。ひとつしかない力への葛藤。意に沿わない変身姿。力をあわせる友情パワー。ふたりだけの秘密。


ここで息つく間もなく繰り出される展開は、それぞれひとつずつ見ると既視感のある設定だ。ベタだと言ってもいいと思う。だがそれが緩急組み合わされ、クリアな絵で描きこまれたとたん、少なくとも私には、見事に未知な作品として、目の前に現れた。


それはサンプリングと高度なプロダクションによって、聴いたことがあるようでまったく新しいヒップホップやブレイクビーツを聴く体験に似ている。The Avalanchesの音楽みたい。お見事でした。



たらればさん(@tarareba722

今回のコミチ漫画賞はいきなり投稿作品全体のクオリティが上がっていて、選考に時間がかかりました(「大賞」については審査員のあいだで表が割れて決戦投票となったほどです)。外出自粛期間にGWがあったことや、前回のゲスト審査員であるおかざき真里先生の求心力、中止となったコミケやコミティアへの出品作品が集まっのかなどなど、さまざまな要因が考えられるのですが、ともかく嬉しい悲鳴でした。


ちなみに私は、本作と遠藤平介さんの『トリックスターが笑った』とヤチナツさん『男の部屋』とで悩みまくったのですが、残念ながら票が足りませんでした。無念。遠藤さんヤチナツさんにはぜひまたご応募いただきたいです。


さておき、そんな接戦のなかで大賞および縦スク賞に輝いたのは、コミチ漫画賞に何度も候補に上がっていた、いぬパパさんの作品です。これまでの作品は、よく出来てはいたんですが(特に絵のクオリティは非常に高かった)シナリオに「ねばり」がなく、起承転結の作り込みが浅い印象がありました。

しかし本作はしっかりと起承転結が付けられていて、一編の物語として仕上がっていました。おみごと。「縦スクマンガ」としての完成度も高く、各コマの躍動感や「コマ間」の使い方など、技術的な練度も高かったです。


一点注文を付けるなら、凶悪宇宙人側の動機や事情をもう少し描いてほしかったなという点があります。星を食べたいなら、わざわざ(警察組織が監視する)地球に来なくてもよかったのではないでしょうか。何か、たとえば「宇宙警察」と拮抗する組織の目的があるだとか、あるいは「人間」そのものが必要な事情があるとか、そういう話があると、コメディ作品のなかにも「深み」が出てくるのではないでしょうか。



しーげるさん(@henshu_shigel

縦スクロール漫画って気持ちいい! そんな快感を味わえるスピード感とエンタメ感にあふれた快作で、評を読んでる暇があったら何度も漫画を読んでほしいと思う漫画でした。


子供の頃から憧れのヒロインキャラになれると本気で思い続けていることを隠さない主人公と、実は主人公への思いも含めて憧れを秘めたままでいた友人。その二人が、ついに、まさか、夢が実現する時になって、お互いを出しぬこうとしたり奪い合ったり張り合ったり、コミカルなやりとりがとっても楽しい。


コメディのテンポが縦スクロールに合っているのに加えて、アクションや決めポーズ、大技などのスピード感も縦ならではで気持ちいいし、時折挟まれる回想やモノローグが緩急を作り出しているのもうまい。縦スク漫画って面白いなあと存分に思わせてくれました。


あえて言えば、ちゃんと一つピンチを作って二人が危機を実感する所もあった方がさらに引き立ったかなと思いますが、このコンビ、いやトリオ、また読みたいので次を楽しみにしてます。



新人賞

blue moon(BAD TUNING)

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シャープさん

ほんとうに新人さんなのでしょうか。絵もストーリーも、そして挟み込まれるモノローグも、ずっと不穏な空気を発しており、息を詰めるように読んでしまった。


後悔と覚悟、そして幽かな揺らぎが描かれ、読後も複雑な感情が続く。それを余韻というのはかんたんだけど、そういう言葉で片付けるのを許さない、重さが読むわれわれに付加されてしまう、力のある作品だと思います。



たらればさん

先述のとおり、今回のコミチ漫画賞はえらいハイレベルで、新人賞も非常に迷いました。個人的には受賞作の『blue moon』と影ふみ子さんの『わたしのクラヤミ』とで2日くらい頭を抱えて悩みました。


受賞おめでとうございます(影ふみ子さん次回作期待しております)。


非常に美しい絵で描かれる作品のテーマが「自責」というところが特によかったです。完成度も高く、何も足さず、何も引かなくてよい作品でした。2人で並んで見た夕陽と、ひとり絶望に打ちひしがれていた夜空に浮かぶ月の対比がとても美しかったです。


この絵とこの構成を作れるのであれば、ぜひ中編、長編にもチャレンジしていただきたいと思います。中村珍先生の『羣青』などが参考になるのではないでしょうか。



しーげるさん

重厚なタッチで横長のコマを多用してることもあり、まるで映画を観てるような気分になる作品。こういう描き方もありなんだとびっくりしました。遠近や光の使い方もうまくて、現在の重く辛い感情も、過去の美しい時間も表現できているのがすごい。現在の冬の街と、過去の初夏の海という対比も効いている。絵や画面構成にはすでに相当な力量を感じるので「新人賞」という言葉が似合わないくらいです。


お話の方は、過去の悲劇を悔やむ主人公がずっと正体を隠して寄り添っていくという切ないストーリーなのですが、果たしてずっとこのままでいられるのか。そもそも責任を一人で背負い込むべきなのか。ほぼ過去のエピソードで語っているのですが、関係が変わらざるを得ない何かが起きるか、あるいは一筋の光明が差し込むかなどで、現在の関係性についてもう一歩先に踏み込んで描いてほしかったなと思います。


力量はとても感じるので、これからをとても楽しみにしてます。



***



コミチは、『マンガのデジタル・トランスフォーメーション(DX)』のミッションの元、マンガの体験を良くして、新時代の漫画家の皆様のプロデュースを全力で支援していきたいと考えています。ぜひ一緒に新時代のマンガ・フォーマット”縦スク”で、新時代を切り開いていけたら嬉しいです。


そして、次回の#第11回コミチ漫画賞は、

 お題:#主人公のキャラ

 募集期間:2020年7月6日〜7月12日

です。


コミチでは、WEB時代ならではの縦スクロールマンガをお待ちしています!


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Thu, 25 Jun 2020 19:20:41 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/e7897cc34ea9d/?utm_source=rss&utm_medium=referral 21218 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
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第9回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきますコミチ代表のマンディ@daisakkuです。


新型コロナウィルスが猛威を振るい、在宅ワークやイベントがオンライン中心になるなど時代が大きく変化していることを感じています。

このような大きな時代変化が起きている今だからこそ、「マンガのデジタルトランスフォーメーション(DX)」をミッションに掲げるコミチができることはないか?をずっと考えています。

デジタル化していく未来に、マンガと他のエンタメの融合や、新しいマンガの使われ方など、マンガがどうなるのか?

マンガに関わる皆さんと、この危機を乗り越え、マンガの新しい未来を創れたらと考えています。


さて、第9回コミチ漫画賞は、コミチへの投稿104作品、Twitter応募10件の合計114作品が集まりました。投稿いただいた漫画家の皆様、本当にありがとうございます!


今回のコミチ漫画賞はコミチ2周年ということで特別編。大ヒット漫画家のおかざき真里先生にも審査員に加わっていただいています。3つの受賞作は本当に力作揃いで、審査員をうならせました。


今回の受賞作は、”縦スクマンガ”がキタ!と思わせてくれまして、コミチにとって転換期になるマンガたちではないか?と感じました。ぜひ、審査員の方々の寸評とともにお楽しみください。


それでは、審査員のおかざき真里先生・しーげるさん・シャープさん・たらればさんの寸評です!



<大賞>

後ろから2番目の席(mafarl)

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(おかざき真里先生@cafemari コメント)

キュンキュンしたーーー(←キモい)


縦スクロールのお手本のような、テンポの良いアクションとリアクションの応酬、そして伏線を利用した上に見せ方もうまいオチです。最初は少しモノローグで説明しすぎかなと思いましたが、見せ場は絵のみで勝負している、その対比も気持ちいいです。


流れる感情に一つも無理がなくて、こういう作品を読むと「少女漫画こそ縦スクロールに向いているのでは」と思ってしまうほど。エピソードひとつひとつ「わかるわかる」と感じられ読み進められる力があります、二人のキャラクターが良いんですね。読者の気持ちを一気に運んでもらえて最後にポン!と放ってくれる。読後感がいいというのはこういうことなんだなあ、と感嘆しました。


色の設計も軽くて作品に合っていて、センス良いなあと思いました。

上手いです。羨ましいなあ、こういうのが描けるなんて。



(シャープさん@SHARP_JP コメント)

主人公のキャラをテーマにした選考で、大賞に輝いた作品。自分の経験から言っても、教室の後ろから2番目の席、しかも窓際は、ほかの席にくらべて圧倒的にバリューがある。あのシェルター感というか、周囲から少し隔絶されたような、独特の閉じられた世界は、思春期の最上の舞台な気さえしてくる。しかも、後ろから2番目の席に座るクールな主人公の後ろが破壊的に魅力ある女の子。毎回プリントを渡す時にシュールなボケをかます不思議な少女なら、物語が生まれないはずはないし、実際にここ、ニヤケが止まらないラブコメが生まれている。


その設定に加えて、縦スクを満喫させるようなコマの動きや構図など、おそらく相当な技巧が投じられていて、読むのがとても楽しかったです。キャラという面で言えば、もちろん女の子の方が強烈なわけですが、作品の最後、プリントではなく自分の手を差し出した主人公の逆転劇が、彼のクールさを際立たせて最高でした。


ちなみに私は中学も高校も男子校だったので、振り返れども振り返れども、不思議な女の子がいるはずもなく、今回はそのルサンチマンも込めて票を投じました。大賞、おめでとうございます。



(たらればさん@tarareba722 コメント)

今回「大賞」を受賞したmafarlさんは、1月のコミチ漫画賞にて『求愛される彼は今日もすきを伝えられない』にて新人賞を受賞した方ですね。3か月前の作品と本作、どちらにも縦スクロール特有のコマの使い方と人物の構図(「教室で後ろの席にプリントを渡す」という行為がこれほど縦スク映えするとは意外でした)、「ウザがらまれ」、「恋心を秘めた表情の見せ方が絶妙」という共通点があり、それがmafarlさんの作家としての特徴、強みになっていると思います。


『からかい上手の高木さん』や『となりの関くん』といった先行作品があるように、「教室」、「授業」という、強制的に接近と協力を強いられる関係性を利用した演出を、とてもうまく使っているなーと関心しました。


あとはぜひ、続きものを書いていただければと思います。「キャラクター」は、感情の変化や背景描写で深く、魅力的になっていくものです。今は読者側の「あー、こういう人、教室にいたかも」という思い出で各キャラの魅力が補強されているので、ぜひその思いを強くしてほしいなと思います。



(しーげるさん@henshu_shigel コメント)

主人公よりヒロインのキャラが素晴らしいのだけど、とても良かったです! 机がないというネタには吹き出してしまったし、矢印はめちゃドキドキするし。最後の最後だけ前後の状況を向きを変えて描いているのもずるくて、その後のアップの効果絶大で、悔しいけど盛大にニヤけてしまった。


席の前と後ろという前後の位置関係を、縦スクロールの上から下への導線に非常にうまく活かしていて、先へ先へと進みたくなるコマの散りばめ方も心地よい。読み手の目の動きへの想像力が高いし(あるいは相当何度も確認して描いているのでしょう)、いい意味で意地悪で、読み手を振り回すことを楽しんでそうなところが好きです。


mafarlさんは徹頭徹尾、何を描きたいのかがハッキリとしていて、どこを見てほしいのか、何を可愛いと思ってほしいのかも貫いているから、漫画にとても大事な「引力」を放てているのだとも思う。縦スクロールならではのラブコメを極めてほしい。



<縦スク賞>

毎日ちゃんとの毎日(コジママユコ)

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe" title="corkbooks" src="https://corkbooks.com/articles/iframe/single/?id=17994"></iframe></div>


(おかざき真里先生@cafemariコメント)

「この子は 適当に 「こなせ」ない」

「言えるんだ 強いなあ」

「悔しいし 全然わかんないし」

モノローグの端々がとても良くて、あ〜わかる〜。と思いながら読みました。


これをより生かすには、(読者層にもよりますが)説明的なモノローグを減らすといいと思いました。例えば、

「その日ぼくは 休み時間の終わりのチャイムに気づかなかった」このあと「なぜなら〜」はいらないと思うんです。あるいは「夢の島に行っていたからです」を強い言葉に置きかえる、「あの時僕ら一緒に行った あの場所こそ、 夢の島だった」みたいな。


縦スクロールはあまり複雑なことができないと言われていますが、コジママユコさんのように「強い言葉」を持っている人はとても良い武器になると思います。


ピッチャーって速球ばかり投げていると見抜かれて打たれてしまうんですって。渾身の豪速球を決め所で使う、そのために他の球のスピードをより緩くしたり投げなかったりしてメリハリをつけるとお客さんもより楽しめるかと思いました。


日常の言語化をこれからもたくさん読ませてください、見せてください。



(シャープさん@SHARP_JP コメント)

縦スク賞。スマホでマンガを読むことに特化した、縦にスクロールする漫画表現を考える賞です。今回の受賞作はボリュームもあり、読み応えがありました。小学生ふたりが親友となるまでの過程が、時の経過のように上から下へ流れていきます。


私自身、小学生の時は「教師が答えてほしい答を答える」タイプの小賢しい子どもだったので、主人公には冒頭から妙に親近感を覚えてしまいました。その小賢しさをゆっくり剥ぎ取っていくのが毎日ちゃんという存在であり、一方その毎日ちゃんにとっても、主人公は表現することを肯定してくれる存在であって、お互いがなくてはならない親友になる。そのかけがえのない関係はそれぞれの未来を支えるものとなり、物語の最後、夢をかたちにしたふたりの姿に、小賢しいまま大人になった私は羨望の眼差しを向けるのです。



(たらればさん@tarareba722 コメント)

こちらは「毎日ちゃん」シリーズ(昨年11月のコミチ漫画賞で同シリーズの毎日ちゃんとの毎日(5)「かわいそうなママ」が「大賞」を受賞しています)の、実質的な「第1話」にあたる作品ですね。


個人的には「裏山に登って」が好きです。植物が好きな人と山を歩くと、「見えている世界(つまり「生きている世界」)」がまったく違うことを実感しますよね。


さておき。


コジマさんの作風には、どことなく『ちびまる子ちゃん』の風味を感じております。作風はまったく違うんですけども、周囲より少しだけ大人びた小学生が冷静に周囲を観察していて、そのなかで自分のなかの「子供性」に埋もれていく感じ…というあたりでしょうか。


本作で(成長後の後日談まで語られることで)「毎日ちゃん」シリーズが終わってしまうのはさびしいな…と感じたのですが、とはいえすごくきれいにまとまっているなとも思います。最後のシーン、朝緒は小説家になり、毎日ちゃんは画家になって、ともに編集者(?)から「キッカケ」を聞かれて答えている、ということですよね。ラストカットも含めて、とてもきれいだと思います。あー、ちゃんと「大人」になったんだな、と。


そのいっぽうで、冒頭の朝緒の「止まって見える」という心情と、「小説家になりたい」という夢は、もう少し描きこんでほしいかったなー、とも思います。


たとえば毎日ちゃんのことだけは「動いて見えた」だとか、朝緒は離れて暮らしている兄から「小説」をもらっただとか。


小説や戯曲には「チェーホフの銃」という警句がありまして、ストーリーに登場した(演出上「効果」のある)ものは、すべて後段で使われなければならない、というものです。一読者として朝緒にしっかり感情移入したからこそ、ぜひ回収してほしいかった…というワガママを感じてしまいました。次回作、楽しみにしています。



(しーげるさん@henshu_shigel コメント)

思春期の入り口に立つ女の子の葛藤と友情を、とても丁寧に紡いでいる作品。自分の出来ることと出来ないこと、理想と現実との差に直面し、嫉妬したり浮かれたりイライラしたりトキめいたりガッカリしたり。そんな感情の浮き沈みの一つ一つが、思春期から遠く離れた僕にも刺さってきた。


そして最後の言葉を読めた時はなんだかとても嬉しかったなあ。この言葉をくれてありがとうと言いたくなるお話で、それくらい主人公に共感させられました。


絵の線はシンプルなのに、表情はとても多彩で、特に登場人物たちの目が雄弁。毎日ちゃんの目力もいいし、主人公が一喜一憂する目もとてもいい。毎日ちゃんに目をそらされると主人公と同じく寂しくなり、見てもらえると嬉しくなっちゃう。よく見てみると、技術的には眉毛の描き方使い方がとってもうまいんだなと思うけど、コジマさんが観察力に優れ、沢山の感情の引き出しを持っているからに違いないとも思います。



<新人賞>

ハコニワ(はやし にこ)

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe" title="corkbooks" src="https://corkbooks.com/articles/iframe/single/?id=18043"></iframe></div>


(おかざき真里先生@cafemariコメント)

個性的なキャラクター沢山と不思議な街、設定は奇抜なのですが流れている感情や感覚が「わかる」ので最後まですらすらと読めました。そのバランス感覚がすごいなあ、と感心しました。

私は下手くそなので、もっと猟奇的にしてしまったり街をヘンテコにしてしまいがちなんです。

登場人物(人物?)多いですが混乱することがなく読めました。各キャラにブレもなくて主人公の心情のみにスポットを当てているからだと思います。こういうのもバランス感覚ですね。

今後もこの街で話が展開できそうな、過去を持ったであろうキャラクターが多いので楽しみです。


最初の方でオオカミが持っている人参にだけ着色が施されていて、もしかするとこの話は全部その人参によるトリップなのかな、と混乱しましたが、それくらいの混乱も楽しめる要素でした。



(シャープさん@SHARP_JPコメント)

とてもおもしろかったです。随所にちりばめられた仕掛けや登場人物はもちろんのこと、寓話と皮肉が効いた不思議な魅力にまいりました。悩みを抱えた人が奇天烈なカウンセラーによって騒動に巻き込まれるという話は、どこかで読んだ気もするのですが、それにしても動物に擬人化されたキャラクターは、だれしもが自分に当てはまりそうなリアリティが描かれている。月並みな言い方ですが、この構造でほかのエピソードも続々読んでみたい。あとネコのおなか吸いたい。



(たらればさん@tarareba722コメント)

今回の応募作で一番好きな作品でした。独特な絵柄と絶妙なキャラクター設定、よくストーリーが練り込まれており、「大賞」に推したのですが、票が足りずに新人賞となっております。無念。


「別の誰かの悩みに答えること」で「自分の抱える悩みを明らかにし、前へ進むこと」に繋げるのは、カウンセリングの王道ですね。冒頭で整形手術によって「顔」を作り変えたトール君が、「表情の変化」によって変わったことを実感するあたりも、よく練られていてよかったです(「表情」についてはもう少し伏線があってもよかったかも)。


ふと、『AIの遺電子』を思い出しました。過去に受けた傷を癒すために今と周囲を整えてゆく、という作品、好きです。


スマホの着信履歴に表示された「シェブン」とは誰なのか、トール君はこの先「バルハラ」を手伝うのか、フレイヤ姉さんはどんな来歴を持つのか(←個人的にこれが一番気になっています)などなど、ぜひ続編を書いてほしいなと思います。



(しーげるさん@henshu_shigelコメント)

20年以上編集者をやっていても未だに「一体どうやったらこんな漫画を描けるんだろう」と、まるで想像がつかない作品に出会うことがあるけど、僕にとってはこの作品もその一つでした。


こういう作品は正直審査するより「どうやって思いついてどうやって描いたのか」と質問攻めにしたい。作者が一体どこまでのポテンシャルを秘めているのか。この一作品の出来がどうかより、そっちの方が気になるからです。


ただ、主人公の感情の強さ、それぞれのキャラのお互いへの接し方、踏み込み方、振り回し方、明るい変態感を見ていると、凄いものを描きそうな予感しかしない。次の一作を早く読みたい! あと、不思議な猫の抱き枕(?)が欲しいです(笑)。



コミチは「マンガのデジタル・トランスフォーメーション(DX)」のミッションのもと、マンガの体験を良くして、新時代の漫画家のみなさまのプロデュースを全力で支援していきたいと考えています。

ぜひ一緒に新時代のマンガ・フォーマット”縦スク”で、新時代を切り開いていけたら嬉しいです。


そして、次回の #第10回コミチ漫画賞 は、

 お題:「関係性」

 募集期間:2020年5月11日〜5月17日

です。


コミチでは、WEB時代ならではの縦スクロールマンガをお待ちしています!


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Tue, 14 Apr 2020 10:26:32 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/3433eed3d9c92/?utm_source=rss&utm_medium=referral 18505 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ
<![CDATA[第8回コミチ漫画賞「関係性」結果発表! ]]> https://cdn-public.comici.jp/articlevisual/3/316/202003081513532059A87FED6FB012030DF1A33B7A492EC62-sm.png

今年2回目、第8回コミチ漫画賞の総評を書きますコミチ代表のマンディ@daisakkuです。新型コロナウィルスの影響で続々とイベントが中止になっていますが、早く感染拡大が落ち着くといいですね。。マンガのようなエンタメって人命に関わるものではありませんが、心を豊かにできるものだと僕は信じています。世の中、大変な状況であるからこそ心がほっこりしたり、感動したりするような作品を読者に届けるために、コミチ漫画賞のようなオンラインイベントは続けられればと思っています。


 第8回目のコミチ漫画賞は、コミチへの投稿87作品、Twitter応募6件の合計93作品が集まりました。投稿頂いた漫画家の皆様、本当にありがとうございます!


 今回の受賞作は、どちらも「時間」が印象に残りました。縦スク賞では、縦スクロールマンガならではなの新しい表現に、これからの漫画家さんにとって大きな気づきを与えてくれる作品です。

 また大賞の作品は、全国で卒業式をできなくなった「いま」のこの大変な現状を予測していたような作品です。ぜひ1話目(https://comici.jp/articles/?id=16643)から読んでほしい。


 それでは、審査員のしーげるさん・シャープさん・たらればさんの寸評です!



<縦スク賞>

ざんぎょう(ひとり)

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(シャープさん @SHARP_JP コメント)

 縦スク賞。スマホでマンガを読むことに特化した、縦にスクロールする前提の漫画表現を考える賞です。この作品を読んだ方は一目瞭然かと思いますが、コマ割りを縦スクに最適化するだけではない、上から下への動きに新しい意味をもたらす表現が試みられています。読むにつれ、真ん中の破線の役割が気になって仕方なかったのですが、最後にきちんと回収されます。それはまさに、今回のコミチ漫画賞のテーマである「関係性」を表すものでもあって、作者の巧みな仕掛けにニヤッとさせられました。


 思えば、上から下へシームレスにスクロールする流れ自体が、時間というものを表すのに相性がいいのかもしれません。さらにいえば、最後まで読んだ後、スマホなら冒頭まで一気にスクロールを戻す操作も、人生の輪廻を可視化するようだ。そんなことまで思いを馳せることができた、今回の作品でした。


(たらればさん @tarareba722 コメント)

 PCで読んだあとでスマホで開き直して読んでみて、点線の時間経過効果と「からまり具合」の演出がより分かりやすくなっていることを実感して、この表現手法の可能性の大きさに気づきました。まさに「縦スク賞」にふさわしい作品です。

 3本の点線の軌跡には(繋がり方も含めて)すべて意味があって、読み終えたあともう一度たどってみて「そういうことか」と楽しめました。

 今回はほのぼのほっこり系ストーリーでしたが、サスペンスの描写にも使えそうですし、全編これでなくても、「ここぞ」というところで導入する手法もあると思います。

 なお著者のひとりさんはツイッターに(マンガのほかに)時々イラストをアップしていて、その独特なタッチに惹きこまれました。未見の方はぜひ。


(しーげるさん @henshu_shigel コメント)

 縦スクロールにはこんな表現の仕方もできるのか!と驚かされた作品。真ん中の線の意味に気づいた時にニヤリとしてしまうけど、並列で読んでも、childhoodから点線に従ってつなげて読んでも成立させられているのが面白い。シンプルに見えながら練り込まれていて、いいですね。こういう作品の誕生で、表現の幅がどんどん拡大されていくことに大きな可能性を感じます。



<大賞&新人賞>

娘たちは卒業します(ヤチナツ)

<div class="iframe-wrap" align="center"><iframe id="corkbooks-iframe" title="corkbooks" src="https://corkbooks.com/articles/iframe/single/?id=16886"></iframe></div>


(シャープさん @SHARP_JP コメント)

 こんなん泣くやろ。全国の学校で卒業式が中止になり、とつぜん関係性が途絶されてしまう、いまの私たちの日常にさえ、否応なく重なる作品でした。


 このマンガでは、関係性が層をなして描かれます。卒業式を目前に、美術部の先生が亡くなる。唐突に途切れた先生との関係に、どこか現実味を感じられないまま、弔辞を書く部長。手紙とは、渡す相手がいてこそ成立するはずなのに、渡す相手の先生はもういない。


 「伝えたい人がおらん」から、その中身も言葉もどこかふわふわしたままで、弔辞を読み上げる時も、部長の心の中は冷静さが支配する。だが、伝えたい人がもういないのに、伝えたいことがもう伝わらないのに、人前でメッセージを放つ虚しさが、同じ部員の「先生にありがとうと言ってくれてありがとう」という言葉によって一瞬で書き換えられる。


 自分が書いた手紙は、もういない人宛てに送るだけのものではなかったのだ。そこにいる、同じ喪失感を抱く人の気持ちを代弁する行為でもあった。手紙は先生と私との関係性を示すだけのものではない。先生と関わりあった人の足跡を残すような、1対多の関係性を象徴するものでもあったのだ。


 だからこそ、先生不在の卒業式当日。葬儀の時に「ありがとうと言ってくれてありがとう」と泣いたしーちゃんが、亡くなった先生へ屈託なく手紙を描き、部長と卒業するみんなはそれを素直に眺めることができたのだろう。つくづく、いい先生だったんだろうな、と思います。


(たらればさん @tarareba722 コメント)

 「大切な思い出」と「大切な場所」という、誰もがひとつやふたつ持っていて、だからこそ表現するのが難しいものの特徴を、とても丁寧に描写していて、著者であるヤチナツさんが「好きだった先生を亡くした感情」について非常に深く考えていたことがよく伝わる作品でした。大切な思い出が、喪失に携わるのは本当にしんどいですよね。もしかすると私たちは、失ってみないと「それがどれほど大切だったか」に気が付けないのではないか、などと考えてしまいました。

「美術部」であることが思い出の「色付け」に紐づいていて、「絵」は描けるけれども自分の中の「悲しみ」はうまく表現できずに、けれど葬儀や弔辞という儀式を通じてゆっくりと自分と周囲に起きている状況を処理していく過程が、まぶしくもあり、また悲しみと共感を深めていました。

 すばらしかったです。

(蛇足かもしれませんが、「全部この部屋で出来た」のコマだけカラーに塗ってあるとさらによくなるんじゃないかなと思ってしまいました。黒澤明監督の『天国と地獄』みたいな感じで)

 制服の夏服と冬服で時間の移り変わりを描写するのも、とてもうまいアイデアですね。構図にメリハリがあり、セリフのないコマの使い方がとてもうまかったです。

 なお今回のコミチ漫画賞は大激戦で、本作と並んで大賞候補になったcodomopaperさんの『十次と亞一』 https://comici.jp/articles/?id=16307 や、本作が新人賞と同時受賞のため受賞を逃した新人賞候補のsiratamairipafeさんによる『もめん漫画』 https://comici.jp/articles/?id=16668 もとてもよかったです。特にご両名にはぜひ引き続き投稿お待ちしております。



(しーげるさん @henshu_shigel コメント)

 泣きました。泣かされました。今この作品を読ませてくれてありがとうございます。


 「関係性」というテーマ。登場人物が多いのに、それぞれのキャラの感情や立ち位置をしっかり捉えて想像できているんでしょうね。普通なら「先生と私」で収まってしまうところを、それぞれの部員と先生、先生への想いを共有する私と部員たち、その私たちと関わる他の先生たち、と関係性の輪を次々に広げていけてるのが凄い。弔辞を読んだ後のシーンで「この子たちの想いも背負ってたのに」という言葉が出てくるのも凄い。全編を通じて、自分一人で生きているわけではないという目線の確かさ、強さと温かさ、希望を感じさせてくれる作品でした。


 また、「先生が美術室でつくる自由はいつも輝いていた」とあるように、どのシーンも思い出に残る輝きに彩られている感じがします。たとえ重さを抱えたり、切なく辛いシーンであっても(部誌とか色々な小物がちゃんと描かれてあるから伝わってくる!)。途中で「先生が作った空気をつなげなかった」とあるけれど、全然そんな風には感じないし、主人公たちみんながそんなことないというラストにたどり着いてくれていて嬉しくてたまらなかった。大切な人の存在は失われてしまっても、大切な時間や記憶や絆が失われるわけではない。主人公たちが過ごした、かけがえのない、素晴らしい高校3年間がちゃんと残り続けるであろうことが伝わってきて胸がいっぱいになりました。


 卒業式が中止になったり、縮小されたりしてしまっている今、沢山の人に届き読まれてほしい作品だと思います。


 

 最後に、今年からコミチ漫画賞は以下4点の変更がありました。

(1)Twitter投稿可

(2)縦スク賞新設

(3)サイト上にコミチ漫画賞枠を新設

(4)大ヒット少女漫画編集者・しーげるさんが審査員として参加

その効果のお陰もあり、今回も力作ぞろいで選考は難航しました。

たらればさんもオススメしていた、惜しくも受賞を逃した作品をぜひ読んでください。


『十次と亞一』(codomopaper作)

https://comici.jp/articles/?id=16307

『もめん漫画』(siratamairipafeさん)

https://comici.jp/articles/?id=16668


 漫画家の皆さまと一緒に、WEBに最適化したマンガ・フォーマット”縦スク”で、新しい時代を切り開いていけたら嬉しいです。コミチは新時代の漫画家の皆さまのプロデュースを全力で応援します。


そして、次回の第9回コミチ漫画賞は、

 お題:#主人公のキャラ

 期間:2020年3月3日〜3/29

で、もう始まっています。

第9回コミチ漫画賞は、コミチ創立2周年企画として、『阿・吽』や『かしましめし』を連載中の大ヒット漫画家・おかざき真里先生(@cafemari)にゲスト審査員として加わっていただきます!

大ヒット漫画家に作品を読んでいただく大チャンスなので、奮ってご応募ください。


コミチは、WEB時代ならではのマンガをお待ちしています!


続きをみる ]]>
Thu, 19 Mar 2020 11:47:33 +0900 https://comici.jp/daisakku/episodes/42d3f51563722/?utm_source=rss&utm_medium=referral 17267 コラム,コミック,comic,エンタメ,電子書籍,WEBマンガ,WEB漫画,無料 コミチ代表マンディ