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シャープさんさんの作品:ちょうどいい、が好きだ。コーヒーの話。

コーヒーは日に3,4杯は飲む @SHARP_JP です。朝起きたら飲むし、出社したら飲む。遅い昼食を済ませたら飲みたくなるし、仕事が佳境を迎えても飲みたくなる。おそらく私は、そうとうコーヒー好きだ。


いい歳した大人がこういう話をすると、たいてい「おれはコーヒーにうるさい人間だぞ」という香りを周囲にふりまきがちですが、私にはそういう意図はない。かといって自分が「味の分別がわかる大人であること」をあえて拒絶するような、露悪的な気持ちもない。なぜなら私がいちばん好きなコーヒーは、セブンイレブンのマシンで淹れるコーヒーだからだ。2番目に好きなのはマクドナルドの。


だからむしろ、豆の種類や淹れ方、焙煎の具合からお気に入りのコーヒーショップまで、なにひとつ語ることができない私は、コーヒー好きを名乗る資格がないように思えて、いつも口ごもってしまう。だけどきょうはおそるおそる言います。セブンイレブンのコーヒー、おいしくない?私、セブンイレブンのコーヒーを3000杯(計算してみた)は飲んできたけど、いつもいつの日も「ちょうどいい」と思ってしまう。


もちろんその「ちょうどいい」は、モノの価格の高低を言いたいわけでもないし、グルメに対する価値の高低を言いたいわけでもない。私にとってのコーヒーのちょうどよさは、自分に慣れた味がいつも同じように手に入る、ということなのだ。私がなにかを好きになるには、そういう日常の「ちょうどよさ」を感じられるかどうかが、大きなウェイトを占めるのでしょう。


なんだか所帯じみた話になってしまった。

僕らのコーヒー(にしもとのりあき 著)


ここでもコーヒーが描かれています。むしろコーヒーが主役。Mr.coffeeという25年も活動を続けるバンド(ミスチルがモデルでしょうか、それともMR.BIGでしょうか)のファンふたりが、文字通りコーヒーを媒介に仲良くなり、コーヒーをきっかけに再会を喜ぶ。


若い人にはピンとこないかもしれませんが、ネットやスマホが普及する前、人気のチケットを確保するには鬼のように電話するか、実店舗でひたすら並ぶしか選択肢がなかったのです。そんな時代、徹夜覚悟の待機でたまたま隣り合ったふたりは、あたたかいコーヒーをきっかけに、同好の士であることが判明する。


このふたりにとって、コーヒーとは何だろうか。コーヒーを飲むたびに、あるいはコーヒーという文字列を見るたびに、好きなアーティストとお互いの存在が思い浮かぶ。コーヒーとのつきあいは長く、20年が過ぎた。ゆったりなのかあっという間なのか、流れたコーヒーとの時間はふたりの半生とも言えそうで、だからこそ懐古でもなく、これから迎える時間さえ、コーヒーと友人の姿をありありと想像できる。


このふたりにとって、コーヒーの「ちょうどいい」は時間の流れなのかもしれない。味も光景も、思い出も人格さえも、いつでも思い出し、想像することができる。コーヒーを介せば、過去も未来も地続きの時間として、早送りも巻戻しもできる。コーヒーはふたりの時間を伸び縮みさせる、四次元の飲み物なのだ。そんな「ちょうどいい」を、私もこれからいくつ持てるだろう。


とここまで書いて、この作品がネスカフェさんによるお題企画であることに気づきました。冒頭からセブンイレブンのコーヒーを推してしまい、申し訳ない。あわててサイトを読む。


https://nestle.jp/brand/nescafe/nescafe3bai/


1日3杯のコーヒー習慣がいい人生をつくる「3 Coffee a Day」という考え方には共感します。(コーヒーが苦手じゃなければ)みなさんも、それぞれにちょうどいいコーヒーと、おつきあいしていきましょう。


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