”漫画ソムリエ”東西サキ先生のヒット作の法則研究

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【2020年10月】"漫画ソムリエ"東西サキ先生のピックアップ新連載

皆さんこんにちは、漫画ソムリエの東西サキ（@tozai69）です。

普段は、東京ネームタンクでマンガの【持ち込み先・進路相談】をしたり、マンガの技術や情報を交換し合うマンガ技術研究会というところで活動したりしています。

そのマンガ技術研究会の活動のひとつとして、時代感に追いつくために「常に最新の新連載をチェックする」というものがあります。

このコラムでは、毎月さまざまな雑誌やサイトで始まる何十作もの新連載の中から、特に皆さんに注目していただきたい作品をご紹介します。

「この作品がなぜ今始まったのか？」「どういったところがその作品の魅力なのか？」という視点から新連載を解説していきたいと思いますので、ぜひそれぞれの作品をチェックしてみてくださいね。

九条の大罪 / 真鍋昌平

連載開始：週刊ビッグコミックスピリッツ 2020年46号

アウトロー系は心情演出が大事！累計1800万部の国民的漫画『闇金ウシジマくん』完結から1年半。真鍋先生が「闇金」の次に選んだのは「弁護士」。

今回も法とモラルを題材に描いていますが、圧倒的な取材量と情報量、そして胸糞な展開。じつに真鍋先生らしい作品でした！

こういった裏社会ものは、知らない世界の常識や裏話を知りたいという知識欲と人間の暗部がみてみたいという好奇心から読者が手に取ると思います。真鍋作品が他アウトロー作品と比較し抜きん出ているのは、道徳上許しがたい行為や言葉にできないような怒りや憎しみ、やるせなさに直面したときの心情をセリフやモノローグに頼らない画作り、心情演出であると思います。面白かったです！

プラタナスの実 ～小児科医療チャンネル～ / 東元俊哉

連載開始：ビッグコミックスピリッツ 2020年 10/19 号

映画作品のような演出をしたいときはモノローグを減らし、言葉にできない感情は画で表現する！本作もそういった作りの作品ですが、ユニークだったのは推理演出やカメラアングルに実写ドラマや映画で見たことあるものが多用されていて、その再現性にこだわってるようなところですね！勉強になりました！

うそつきアンドロイド / 阿東里枝

連載開始：週刊少年チャンピオン2020年43号

「Twitterでバズる作品とはどんな作品か」を知りたい作家さんにはとても勉強になる作品です。Twitterでのバズがきっかけで単行本化され話題になった作家さんの作品なのですが、本作にはそのメドッドが十分に生かされています。

そのメソッドとは、「内面と表層で違う感情表現があるためにディスコミュニケーションが起きる」というもので、Twitterでウケるマンガの王道です。やはりツイッターで受けそうな企画を提案されるんでしょうか。キャラクターも可愛らしく魅力を感じます！

ふたつのゲシュペンスト / 友藤結

連載開始：少年ハナトユメ1号 Kindle版

まずこの作品は、「少女マンガが好きだけど恋愛をテーマに描きたい訳ではない……」という作家さんに読んでほしい作品です！

少女漫画誌『花とゆめ』が作っている『少年ハナトユメ』という新WEB少年誌をご存じでしょうか？本作はその『少年ハナトユメ』で連載されているダークファンタジー作品なのですが、手掛けるのは『花とゆめ』でファンタジーコミックを連載されている友藤先生。

同じ作家さんが手掛ける少女向けと少年向けを比較することで、中世的な設定を好む少女誌読者と中世的な設定を好む少年誌読者の違いを勉強できると思います。とくに少女マンガ家志望さんで少年マンガ好きの方は要チェックです！"

転生ごときで逃げられるとでも、兄さん？/ 紙城境介（原作）、ユリシロ（漫画）、木鈴カケル（キャラクター原案）

連載：ComicWalker

本作は色んなジャンルの要素をかけあわせていますが、読者の「転生ものってこういう展開でしょ？」という予想を裏切りながらも、ラストで読者の期待を叶えていくスタイルが魅力的です！終盤怖くてチビりそうになりました。

気になる新連載はあったでしょうか？どれも今後の展開が楽しみな連載ばかりですので、ぜひチェックしてみてくださいね！