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もずさんの作品:サイゼリアのワインのようなマンガを描きます【自己紹介:もず】

はじめまして「もず」と申します。


「目が肥える」「舌が肥える」なんて言いますが、実際このような「いいものがわかるようになること」は、本当にいいことなんでしょうか?

たとえば「ワイン」なんかがわかりやすいかもしれません。

私はまったくワインに詳しくないため、味はおろか、赤か白かシュワシュワか、くらいの区別しかつきませんが、世のワイン好きは味はもちろん、色や香りで良し悪しがわかるそうじゃあないですか。

「いいものがわかること」はすばらしいスキルです。100万円のワインを飲むにも、私が飲むのと「わかっている人」が飲むのじゃワケが違います。味も色も香りも、「いいものたる由縁」がわかって飲んだ方が、感動もひとしおでしょう。

しかし「いいもの」がわかれば、逆に「わるいもの」もわかってしまうようにもなります。

「このワインを知ると、他のワインが飲めなくなる」なんて話を時々耳にしますが、果たしてそれっていいことなんでしょうか?いいものに対する感動は増した一方で、サイゼリアの安ワインで満足する心を失ってしまったワケですから。

「いいものがわかる」ことはいい面ばかりではなく、実に悩ましい状態を招くのでした。


さて、前置きが長くなりましたが、私自身がこの「いいものがわかるようになったために、わるいものを受け付けられなくなった」人間です。そしてその対象が他でもない、大好きな「マンガ」でした。


私がマンガを読み始めたのは、小学校1年生の頃でした。

コロコロコミックから始まり、学年誌や週刊少年ジャンプ、なかよし、りぼん、花とゆめ等の雑誌を渡り歩いた学生時代。

大学生になって自由に使えるお金が増えてからは、本屋で気になる漫画があれば即大人買いし、ジャンル問わずいろんなマンガを読むようになりました。

知れば知るほど奥深いマンガの世界!

読む作品が増えるにつれて、お気に入りのマンガに対し、「どこがいいと思うのか」を分析するようになりました。

「この作者、画力がすごい!」「ストーリーが深い!」「世界観が!」「コマ割りが!」と、評価も単なる「おもしろい」だけではなくなっていきました。そうすることで、おもしろいマンガに出会えたときの感動は何倍にも増していったのです。

一方で、気に入らないマンガに対して蔑むような気持ちも生まれました。

「なんだこれ絵がヘタすぎる」「ストーリーが破綻している」「ありがちな世界観」「コマ割りが単調」……。

昔はジャンプを買えば目次ページの作者コメントまで隅々を読み込んでいたものですが、いつしか気に入らないマンガは読まないようになりました。


そんな「いいものがわかるようになった」頃、いよいよ私は自分でマンガを描いてみようと思い立ちました。

実は幼い頃から密かにマンガ家に憧れていたのです。

ステキなストーリーは頭の中にいっぱいだし、絵を描くのも大好きだし、マンガ家になって一山当てようという下心も手伝い、筆を取りました。


しかし、そこから、描けない。描いては消し、描いては消しの繰り返し。

なんとか描きあげてみても、絵は素人に毛が生えたレベル、ストーリーは矛盾だらけ、世界観はどこかで見たような設定で、コマ割りはめちゃくちゃなものが出来上がってしまいました。

まさに自分自身が「つまらない」と烙印を押していたマンガしか描けなかったのです。

私はすっかりやる気をなくし、マンガを描くのを諦めました。マンガは読む専門でいい、そう思い、マンガ家になろうとは露ほども考えなくなりました。


しかし、そこからさらに数年経った現在。私はコルクラボマンガ専科で再びマンガを描こうとしています。

なぜ再びマンガを描こうと思ったのかというと、そのきっかけはズバリ「SNS」でした。

Twitterなんかをチェックしていると、1日に1本くらいはどこかの誰かが描いたマンガがバズっているのを見かけます。

プロ顔負けのクオリティで驚くことも多いのですが、そうでもない、私の定義する「おもしろい」に該当しないマンガも結構バズっているようなのです。

はじめのうちは「なんでこんなのがバズるんだよ!」と憤ってすらいた私ですが、そのツイートよくよく見ていると、「超笑った」「ほっこりした」「わかる」等のコメントがたくさんついていることに気がつきます。私じゃない、どこかの誰かには確実に刺さっているのです。

そこで私は 

「もしかして、マンガに良し悪しなんかなくて、単なる好き嫌いがあるだけなんじゃないか?」 

という、まあ至極当たり前な事実に辿り着きました。30にして、やっとです。

要するに長く患っていた中二病から快復し、精神的に大人になったんですね。

100万円のヴィンテージワインも、サイゼリアの安ワインも、必要としている人がいる。飲みたい人がいる。ただそれだけの話です。それがやっとわかりました。(というかサイゼのワインも普通においしいですからね)


私がこれから描くマンガは、決して高級ではない、どちらかと言えばサイゼ寄りのものになるでしょう。

ワインの品質をできるだけ上げること、そしてサイゼワインを欲している人に届くようSNSを運用すること。それが私の今のところの目標です。


皆さん、半年間よろしくお願いいたします。もずでした。

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