第9回コミチ漫画賞「主人公のキャラ」結果発表!

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コミチ代表マンディさんの作品:第9回コミチ漫画賞「主人公のキャラ」結果発表!

第9回コミチ漫画賞の総評を書かせていただきますコミチ代表のマンディ@daisakkuです。


新型コロナウィルスが猛威を振るい、在宅ワークやイベントがオンライン中心になるなど時代が大きく変化していることを感じています。

このような大きな時代変化が起きている今だからこそ、「マンガのデジタルトランスフォーメーション(DX)」をミッションに掲げるコミチができることはないか?をずっと考えています。

デジタル化していく未来に、マンガと他のエンタメの融合や、新しいマンガの使われ方など、マンガがどうなるのか?

マンガに関わる皆さんと、この危機を乗り越え、マンガの新しい未来を創れたらと考えています。


さて、第9回コミチ漫画賞は、コミチへの投稿104作品、Twitter応募10件の合計114作品が集まりました。投稿いただいた漫画家の皆様、本当にありがとうございます!


今回のコミチ漫画賞はコミチ2周年ということで特別編。大ヒット漫画家のおかざき真里先生にも審査員に加わっていただいています。3つの受賞作は本当に力作揃いで、審査員をうならせました。


今回の受賞作は、”縦スクマンガ”がキタ!と思わせてくれまして、コミチにとって転換期になるマンガたちではないか?と感じました。ぜひ、審査員の方々の寸評とともにお楽しみください。


それでは、審査員のおかざき真里先生・しーげるさん・シャープさん・たらればさんの寸評です!



<大賞>

後ろから2番目の席(mafarl)


(おかざき真里先生@cafemari コメント)

キュンキュンしたーーー(←キモい)


縦スクロールのお手本のような、テンポの良いアクションとリアクションの応酬、そして伏線を利用した上に見せ方もうまいオチです。最初は少しモノローグで説明しすぎかなと思いましたが、見せ場は絵のみで勝負している、その対比も気持ちいいです。


流れる感情に一つも無理がなくて、こういう作品を読むと「少女漫画こそ縦スクロールに向いているのでは」と思ってしまうほど。エピソードひとつひとつ「わかるわかる」と感じられ読み進められる力があります、二人のキャラクターが良いんですね。読者の気持ちを一気に運んでもらえて最後にポン!と放ってくれる。読後感がいいというのはこういうことなんだなあ、と感嘆しました。


色の設計も軽くて作品に合っていて、センス良いなあと思いました。

上手いです。羨ましいなあ、こういうのが描けるなんて。



(シャープさん@SHARP_JP コメント)

主人公のキャラをテーマにした選考で、大賞に輝いた作品。自分の経験から言っても、教室の後ろから2番目の席、しかも窓際は、ほかの席にくらべて圧倒的にバリューがある。あのシェルター感というか、周囲から少し隔絶されたような、独特の閉じられた世界は、思春期の最上の舞台な気さえしてくる。しかも、後ろから2番目の席に座るクールな主人公の後ろが破壊的に魅力ある女の子。毎回プリントを渡す時にシュールなボケをかます不思議な少女なら、物語が生まれないはずはないし、実際にここ、ニヤケが止まらないラブコメが生まれている。


その設定に加えて、縦スクを満喫させるようなコマの動きや構図など、おそらく相当な技巧が投じられていて、読むのがとても楽しかったです。キャラという面で言えば、もちろん女の子の方が強烈なわけですが、作品の最後、プリントではなく自分の手を差し出した主人公の逆転劇が、彼のクールさを際立たせて最高でした。


ちなみに私は中学も高校も男子校だったので、振り返れども振り返れども、不思議な女の子がいるはずもなく、今回はそのルサンチマンも込めて票を投じました。大賞、おめでとうございます。



(たらればさん@tarareba722 コメント)

今回「大賞」を受賞したmafarlさんは、1月のコミチ漫画賞にて『求愛される彼は今日もすきを伝えられない』にて新人賞を受賞した方ですね。3か月前の作品と本作、どちらにも縦スクロール特有のコマの使い方と人物の構図(「教室で後ろの席にプリントを渡す」という行為がこれほど縦スク映えするとは意外でした)、「ウザがらまれ」、「恋心を秘めた表情の見せ方が絶妙」という共通点があり、それがmafarlさんの作家としての特徴、強みになっていると思います。


『からかい上手の高木さん』や『となりの関くん』といった先行作品があるように、「教室」、「授業」という、強制的に接近と協力を強いられる関係性を利用した演出を、とてもうまく使っているなーと関心しました。


あとはぜひ、続きものを書いていただければと思います。「キャラクター」は、感情の変化や背景描写で深く、魅力的になっていくものです。今は読者側の「あー、こういう人、教室にいたかも」という思い出で各キャラの魅力が補強されているので、ぜひその思いを強くしてほしいなと思います。



(しーげるさん@henshu_shigel コメント)

主人公よりヒロインのキャラが素晴らしいのだけど、とても良かったです! 机がないというネタには吹き出してしまったし、矢印はめちゃドキドキするし。最後の最後だけ前後の状況を向きを変えて描いているのもずるくて、その後のアップの効果絶大で、悔しいけど盛大にニヤけてしまった。


席の前と後ろという前後の位置関係を、縦スクロールの上から下への導線に非常にうまく活かしていて、先へ先へと進みたくなるコマの散りばめ方も心地よい。読み手の目の動きへの想像力が高いし(あるいは相当何度も確認して描いているのでしょう)、いい意味で意地悪で、読み手を振り回すことを楽しんでそうなところが好きです。


mafarlさんは徹頭徹尾、何を描きたいのかがハッキリとしていて、どこを見てほしいのか、何を可愛いと思ってほしいのかも貫いているから、漫画にとても大事な「引力」を放てているのだとも思う。縦スクロールならではのラブコメを極めてほしい。



<縦スク賞>

毎日ちゃんとの毎日(コジママユコ)


(おかざき真里先生@cafemariコメント)

「この子は 適当に 「こなせ」ない」

「言えるんだ 強いなあ」

「悔しいし 全然わかんないし」

モノローグの端々がとても良くて、あ〜わかる〜。と思いながら読みました。


これをより生かすには、(読者層にもよりますが)説明的なモノローグを減らすといいと思いました。例えば、

「その日ぼくは 休み時間の終わりのチャイムに気づかなかった」このあと「なぜなら〜」はいらないと思うんです。あるいは「夢の島に行っていたからです」を強い言葉に置きかえる、「あの時僕ら一緒に行った あの場所こそ、 夢の島だった」みたいな。


縦スクロールはあまり複雑なことができないと言われていますが、コジママユコさんのように「強い言葉」を持っている人はとても良い武器になると思います。


ピッチャーって速球ばかり投げていると見抜かれて打たれてしまうんですって。渾身の豪速球を決め所で使う、そのために他の球のスピードをより緩くしたり投げなかったりしてメリハリをつけるとお客さんもより楽しめるかと思いました。


日常の言語化をこれからもたくさん読ませてください、見せてください。



(シャープさん@SHARP_JP コメント)

縦スク賞。スマホでマンガを読むことに特化した、縦にスクロールする漫画表現を考える賞です。今回の受賞作はボリュームもあり、読み応えがありました。小学生ふたりが親友となるまでの過程が、時の経過のように上から下へ流れていきます。


私自身、小学生の時は「教師が答えてほしい答を答える」タイプの小賢しい子どもだったので、主人公には冒頭から妙に親近感を覚えてしまいました。その小賢しさをゆっくり剥ぎ取っていくのが毎日ちゃんという存在であり、一方その毎日ちゃんにとっても、主人公は表現することを肯定してくれる存在であって、お互いがなくてはならない親友になる。そのかけがえのない関係はそれぞれの未来を支えるものとなり、物語の最後、夢をかたちにしたふたりの姿に、小賢しいまま大人になった私は羨望の眼差しを向けるのです。



(たらればさん@tarareba722 コメント)

こちらは「毎日ちゃん」シリーズ(昨年11月のコミチ漫画賞で同シリーズの毎日ちゃんとの毎日(5)「かわいそうなママ」が「大賞」を受賞しています)の、実質的な「第1話」にあたる作品ですね。


個人的には「裏山に登って」が好きです。植物が好きな人と山を歩くと、「見えている世界(つまり「生きている世界」)」がまったく違うことを実感しますよね。


さておき。


コジマさんの作風には、どことなく『ちびまる子ちゃん』の風味を感じております。作風はまったく違うんですけども、周囲より少しだけ大人びた小学生が冷静に周囲を観察していて、そのなかで自分のなかの「子供性」に埋もれていく感じ…というあたりでしょうか。


本作で(成長後の後日談まで語られることで)「毎日ちゃん」シリーズが終わってしまうのはさびしいな…と感じたのですが、とはいえすごくきれいにまとまっているなとも思います。最後のシーン、朝緒は小説家になり、毎日ちゃんは画家になって、ともに編集者(?)から「キッカケ」を聞かれて答えている、ということですよね。ラストカットも含めて、とてもきれいだと思います。あー、ちゃんと「大人」になったんだな、と。


そのいっぽうで、冒頭の朝緒の「止まって見える」という心情と、「小説家になりたい」という夢は、もう少し描きこんでほしいかったなー、とも思います。


たとえば毎日ちゃんのことだけは「動いて見えた」だとか、朝緒は離れて暮らしている兄から「小説」をもらっただとか。


小説や戯曲には「チェーホフの銃」という警句がありまして、ストーリーに登場した(演出上「効果」のある)ものは、すべて後段で使われなければならない、というものです。一読者として朝緒にしっかり感情移入したからこそ、ぜひ回収してほしいかった…というワガママを感じてしまいました。次回作、楽しみにしています。



(しーげるさん@henshu_shigel コメント)

思春期の入り口に立つ女の子の葛藤と友情を、とても丁寧に紡いでいる作品。自分の出来ることと出来ないこと、理想と現実との差に直面し、嫉妬したり浮かれたりイライラしたりトキめいたりガッカリしたり。そんな感情の浮き沈みの一つ一つが、思春期から遠く離れた僕にも刺さってきた。


そして最後の言葉を読めた時はなんだかとても嬉しかったなあ。この言葉をくれてありがとうと言いたくなるお話で、それくらい主人公に共感させられました。


絵の線はシンプルなのに、表情はとても多彩で、特に登場人物たちの目が雄弁。毎日ちゃんの目力もいいし、主人公が一喜一憂する目もとてもいい。毎日ちゃんに目をそらされると主人公と同じく寂しくなり、見てもらえると嬉しくなっちゃう。よく見てみると、技術的には眉毛の描き方使い方がとってもうまいんだなと思うけど、コジマさんが観察力に優れ、沢山の感情の引き出しを持っているからに違いないとも思います。



<新人賞>

ハコニワ(はやし にこ)


(おかざき真里先生@cafemariコメント)

個性的なキャラクター沢山と不思議な街、設定は奇抜なのですが流れている感情や感覚が「わかる」ので最後まですらすらと読めました。そのバランス感覚がすごいなあ、と感心しました。

私は下手くそなので、もっと猟奇的にしてしまったり街をヘンテコにしてしまいがちなんです。

登場人物(人物?)多いですが混乱することがなく読めました。各キャラにブレもなくて主人公の心情のみにスポットを当てているからだと思います。こういうのもバランス感覚ですね。

今後もこの街で話が展開できそうな、過去を持ったであろうキャラクターが多いので楽しみです。


最初の方でオオカミが持っている人参にだけ着色が施されていて、もしかするとこの話は全部その人参によるトリップなのかな、と混乱しましたが、それくらいの混乱も楽しめる要素でした。



(シャープさん@SHARP_JPコメント)

とてもおもしろかったです。随所にちりばめられた仕掛けや登場人物はもちろんのこと、寓話と皮肉が効いた不思議な魅力にまいりました。悩みを抱えた人が奇天烈なカウンセラーによって騒動に巻き込まれるという話は、どこかで読んだ気もするのですが、それにしても動物に擬人化されたキャラクターは、だれしもが自分に当てはまりそうなリアリティが描かれている。月並みな言い方ですが、この構造でほかのエピソードも続々読んでみたい。あとネコのおなか吸いたい。



(たらればさん@tarareba722コメント)

今回の応募作で一番好きな作品でした。独特な絵柄と絶妙なキャラクター設定、よくストーリーが練り込まれており、「大賞」に推したのですが、票が足りずに新人賞となっております。無念。


「別の誰かの悩みに答えること」で「自分の抱える悩みを明らかにし、前へ進むこと」に繋げるのは、カウンセリングの王道ですね。冒頭で整形手術によって「顔」を作り変えたトール君が、「表情の変化」によって変わったことを実感するあたりも、よく練られていてよかったです(「表情」についてはもう少し伏線があってもよかったかも)。


ふと、『AIの遺電子』を思い出しました。過去に受けた傷を癒すために今と周囲を整えてゆく、という作品、好きです。


スマホの着信履歴に表示された「シェブン」とは誰なのか、トール君はこの先「バルハラ」を手伝うのか、フレイヤ姉さんはどんな来歴を持つのか(←個人的にこれが一番気になっています)などなど、ぜひ続編を書いてほしいなと思います。



(しーげるさん@henshu_shigelコメント)

20年以上編集者をやっていても未だに「一体どうやったらこんな漫画を描けるんだろう」と、まるで想像がつかない作品に出会うことがあるけど、僕にとってはこの作品もその一つでした。


こういう作品は正直審査するより「どうやって思いついてどうやって描いたのか」と質問攻めにしたい。作者が一体どこまでのポテンシャルを秘めているのか。この一作品の出来がどうかより、そっちの方が気になるからです。


ただ、主人公の感情の強さ、それぞれのキャラのお互いへの接し方、踏み込み方、振り回し方、明るい変態感を見ていると、凄いものを描きそうな予感しかしない。次の一作を早く読みたい! あと、不思議な猫の抱き枕(?)が欲しいです(笑)。



コミチは「マンガのデジタル・トランスフォーメーション(DX)」のミッションのもと、マンガの体験を良くして、新時代の漫画家のみなさまのプロデュースを全力で支援していきたいと考えています。

ぜひ一緒に新時代のマンガ・フォーマット”縦スク”で、新時代を切り開いていけたら嬉しいです。


そして、次回の #第10回コミチ漫画賞 は、

 お題:「関係性」

 募集期間:2020年5月11日〜5月17日

です。


コミチでは、WEB時代ならではの縦スクロールマンガをお待ちしています!


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