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ごとう隼平さんの作品:「MORE・SOW」/ にしもとのりあき

こんにちは、マンガ制作研究組織「東京ネームタンク」のごとうです。

今回は、6月のコミチ漫画賞『#主人公のキャラ』に投稿されたネーム添削の第2回目です。

コミチには個性のある作品が多いですね!今回見ていくのは、にしもとのりあきさんの『MORE・SOW』です。

こちらの作品は序盤から大事な要素である“コレドナ感”(これどーなっちゃうの感)があります。要所要所の描き方もすばらしく、面白かったです。


MORE・SOW(にしもとのりあき 著)

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読者にまだ見ぬ感情を体験させる

「どうして物語を作るのか」という作品作りにおいての大元の話ですが、「読者は“まだ知らない感情”」というのものを体験したいと思っています。

主人公のヒーローは、漏れそうになることで「彼はどんな気持ちなんだろうか…!」と読者の興味を引くことはできています。

大切なのは読者の興味を引いた後です。

読者は彼だけの「感情のオリジナリティ」つまり「彼だけの苦悩」を求めているということをもっと意識してほしいです。

彼だけができる感情表現がもっと考えてみてください。
記号的な感情表現になってしまうと読者は「本当にそんな行動をとるのかな?」と感じてしまいます。

例えば4P目。

「漏れそう」と思ったときに、本当にすぐに「仕方ない…ガーデンリリースだ…!」となるでしょうか。

そこに至るまでの感情がいくつか抜け落ちていると感じます。

「あっ!やばい!」と思ったあと、どんな感情の変遷があって(きっと戸惑いや羞恥があると思います)そして「仕方ないからガーデンリリースだ」となるのか。

そこをしっかり描いてほしいです。もう少し間があるだけでも、印象はかなり変わると思います。

5P目の「この服繋ぎやん!」というセリフも最高におもしろいのですが、このときの彼の感情が伝わりません。

7P目の「もう無理だ限界だ!!家帰ってクソしてふて寝しよっと!」のところも、この状況に自分が置かれたら本当にそう思うのか、キャラクターになりきって、この感情を描くことを意識してほしいです。

この続きで「モレソウ頑張って!」と、かわいい女の子たちが応援してくれます。現状ではこれですぐに「頑張ろ!」とモノローグが入っています。

それだけで「頑張ろう」と思えちゃう切り替えの早さを、他人としておもしろい奴だなーと興味を引き、描き進める方法もあります。

しかし「頑張ろう」というのは主観的な感情であること、やはりまずは主観的な表現を突き詰めて考えていいのではと思います。

リアルにモレ・ソウになりきっていたら、必ず魅力的な感情があるはずです。その感情こそを表現してみてください!



出来事ではなく、感情から先に考える

全体として出来事がやや多いせいで、その出来事自体に流されすぎているのかもしれません。

しっかり描くべき出来事を一つ絞り、その上で「この感情を描くんだ」と意識してゴールに向かう展開を描いて行くと良いと思います。

今回の作品では「こういう状況設定だったらこんな出来事が起こるはずだろう」という意識から、シーンを選んでいるように見えます。しかし読者は、出来事や設定に喜ぶわけではありません。


『MORE・SOW』は、出来事や設定が魅力的で、非常に緊迫感もあると思います。マンガに必要な“コレドナ感(これどーなっちゃうの感)”もあります。

「どうなるの?」と思わせたあとには主人公の感情を描くことを意識し、主人公になりきって、主人公にしか味わえない感情を見つけてください!

「便意と引き換えにヒーローになった男の感情」は最高に面白そうです。しっかりとその感情を描けばすばらしい作品になると確信しています。


引き続きがんばってくださいね!


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