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コミチさんの作品:【永久保存版】〜CLIP STUDIO PAINT for iPad〜 vol2

CLIP STUDIO PAINT for iPad の講習会がコミチで開かれました!

講師のげんちさんがとても詳しく教えてくれました。

その内容を記事にしました。

vol1では基本機能の説明を、vol2は実践編になっております!

何度でも読み返すべき永久保存版です…! 


<vol2 実践編>※vol1はこちら

【原稿用紙の使い方】

・一番外の枠(裁ち切り)

製本時に印刷したものを裁断する時、数ミリのズレが生じるので余裕を持って描くスペース。

ここまで描かれてあると裁断してズレも絵が足りなくならない。

・外から2番目の枠(トンボの内側) 基本的にはここの内側までが見える状態で製本されるものとされているけど、 単行本だとそれ以上に小さく印刷されていることも多々あるので 気を付ける必要がある。 描き文字(オノマトペ)やセリフをギリギリに描いていたら 見切れるつもりなかったのに本になると見切れているなんてこともよくある。 Web用であれば気にする必要はなく、この範囲で出力すればいい。

・一番内側の枠(基本枠)

絶対に印刷に出るという範囲。

セリフはこの中に収まるように描く方がいいとされているけど少しぐらい外にあっても割と大丈夫。また、ノドの基準にもなる。

・ノド

本にした時、接着される部分。 漫画は基本的に本の左側が1ページとして始まり、 奇数ページが本の左ページ、偶数ページが右ページとなる。 そのため、奇数ページは用紙の右側、偶数ページは用紙の左側に 何か描かれていると消えてしまうため、 基本枠を基準にコマを切ることが多い。 かならず切らなきゃいけなくはないけど、 描かれていても本になった時見えなくなってしまうので 重要な情報は入れないよう構図を考える。

・トンボの外に白枠

基本枠内にとどめず裁ち切りまでブチ抜く場合にトンボまでしか絵を描かない人は線画が閉じられていないため塗りつぶしツールを使うと全面が塗られてしまうので、トンボの外側を白く塗ったレイヤーを用意することでその描き方でも線画が閉じられる。

  【アナログ的なトーン】

・基礎知識

細かい点が並んでグレーを表現したものを網トーンと呼ぶ。

黒い点の密度を線数、点が大きくなって濃くなることを濃度と呼ぶ。

一般的に密度60線(ライン、Lとも表記される)が綺麗に印刷される。 線数は数字が小さければ粗く(点が大きく)、大きければ細かい(点が小さい)。 60線で濃度10%を便宜上縮めて61番と読んだりする。(60L/50%=65番、等)

同人誌では85線を使う人も多い。 理由としては雑誌はA4サイズで描いたものをB5サイズに縮小するのに対し 同人誌はB5サイズで描いたものをB5サイズで印刷する(原寸)ので トーンの目自体を細かくした方が綺麗だから。 マンガQは原寸指定なので85線の方が綺麗かも。

また、手前にいる人やアップになっている人に差を付けるため32.5線等の 粗い線数のトーンを使う人もいる。濃度は真っ黒を100%とした時の薄さ。 一般的に5%~50%の範囲内で使い、それより濃いものはベタで表現する。

2種類のトーンを重ねて貼る時は、同じ線数で揃え、 トーン柄移動ツールを使って目をズラす必要がある。 例えば61番と63番を重ね貼りする時は、61番より63番の方が目が大きいため 61番の上にちょうど被さると点が消えてしまう。 なので61番の柄を移動して見えるように貼ることで63番と61番を重ねることができる。

・ぼかし削り

網トーンは通常、キャンバスに対して45度の角度で貼る。 すると0度、45度、90度の角度で線を引いて(削って)も トーンを避けて引かれることになり、トーンが消えない(線が引けない)。 なので22.5度(45度の半分)の角度で線を引くことで トーン上に線が描けるので、その4方向でカケアミを作ってボカす。

逆にトーン上に0度、45度、90度の線を引きたい時は トーン自体の角度を22度にすることで綺麗に線が出せる。

プリインストールされているブラシの「カケアミ(トーン削り用)」は その理屈で作られているけどブラシ先端自体すでに22.5度の4方向で描かれているため ゴリっと削れるのでボヤっと削りたい人はブラシを作ってきたので必要であればどうぞ。 素材を探す→「こしのりょう」で検索すると出る「アナログ風削り」がそれです。 ダウンロードすると素材パレットのダウンロードに保存されているので サムネイルを好きなところにドラッグすると使えるようになる。


  【デジタル的なトーン】

デジタルになってから中間色の情報が使えるようになったので出てきた表現方法。グレー処理と呼んだりする。

考え方としては、色を塗るかようにブラシツールやボカシツールを使って濃淡をつける。

例:テラフォーマーズのゴキブリやガンツのガンツスーツなど

アナログだとグラデーションは直線的か正円的な2種類だったけど グレーでは自由自在にでき、アナログのようなぼかし削りをすることなく 直接ぼかすことができる。 また重ね張りをして濃淡をつけることもないので レイヤー数が最低1枚で済む。

Web用であればそのままグレーで書き出しすればいいし、 印刷用としてもレイヤープロパティのトーンアイコンを押すか 書き出し時に「モノクロ二階調(トーン化)」で自動的にトーン化してくれる。

【Web公開時のモアレ対策】

トーン状態で書き出した場合モニタ上で見ると模様のような状態になりやすい。これをモアレと呼ぶ。

単色で塗りつぶした場合のグレーのノッペリした感じが嫌で多少トーンっぽくドットが欲しいけどモアレたくもない、という人向けのやり方。

1.仕上げまで終わったファイルを複製する。 2.トーンのレイヤーのみを全て結合する。 3.結合したレイヤーの表現色をグレーにする。 4.メニューのフィルター→ぼかし→ガウスぼかしを選択。 5.数値を8ぐらいにしてOKを押す。 6.書き出し時の表現色をグレースケールにして書き出し。

こうすることで線画とテキストは二値のまま、トーンだけぼける。

パッと見グレーで描いて出力したものと変わらないけど、気持ちトーンのドットが残りつつモアレを起こさない画像ができる。

  

 【効率化】

基本的にはショートカットキーをフルで多用。

キーボードを接続して初期設定を覚えるでもいいし、好きに設定するでもいい。

クイックマスクは多用するけど初期設定では設定されていないので使いやすいものに設定するといい。

iPadの場合タッチジェスチャーがあるのでそちらを設定してもいい。 初期設定では二本指タップで戻る、三本指タップで進む。 環境設定で好きに変更できる。

また先述のクイックアクセスによく使うツールやメニューを登録するのもオススメ。 慣れればキーボード無しでも早くなれるけど、 Shiftを押しながらできることが多い(正円や正方形、複数選択等)のと セリフ入れはブラインドタッチできる人ならキーボードの方が早いので キーボードはあった方がいい。

・オートアクション

操作を録画する機能。ネトゲでいうマクロ。

例えば 「レイヤーから選択範囲を作成→選択範囲を拡張→レイヤーを新規作成→下に移動 →白色で塗りつぶし」 と録画して置けば文字の白抜き等をボタン1つですることができる。

やり方はウィンドウ→オートアクションでパレットを出し、 Ξでボタンモードにチェックが入っていたらチェックを外し 「オートアクションの追加」をクリック、 一番下の赤丸を押してから操作し、終わったら赤い四角をクリック。 録画ができたらボタンモードにチェックを入れると録画した作業がボタンになり クリックすることで一連の流れができる。 これはクイックアクセスに登録可能。 (何もないところを長押ししてクイックアクセス設定のオートアクションの項)

・ブラシサイズ

Ctrl+Altを同時押ししてキャンバス上でペンをドラッグすると ブラシサイズを感覚で変更できる。 線画のペン入れは決まったサイズで入れた方がいいけど、その他の処理の時に多用する。 環境設定のツールの項で 「キャンバス上のドラッグによるブラシサイズの変更時、現在のサイズから開始する」 にチェックを入れる/入れないでやり方が変わるので好み方を。

 

  【事前アンケートの回答】

・他のデバイスとの簡単な共有 クリップスタジオを起動(メニューの左端のマーク→CLIP STUDIOを開く)し、 ログインして作品管理でクラウドに同期。 他のデバイスで開く時は同じIDでログインして作品管理のクラウドでダウンロード。


・トーン処理やカラーの効率化 塗りつぶしツール/囲って塗るツールをマスターする。 他にも長方形選択や投げなわ選択、自動選択を使って ざっくりと選択したのち、クイックマスクで修正して選択範囲を作ってから 塗りつぶす、等。


・iPad版ならではの時短術 iPad版とPC版の違いは直接スキャンができないことと直接印刷ができないことぐらいで ならではというものは特にない。強いて言えばタッチジェスチャーを使うこと。


・ペン入れのコツ

ブラシサイズを決めて筆圧で描く。太いところ、細いところ、抜き等でメリハリを付ける。

(松本大洋先生や大友克洋先生のようにメリハリのない線でカッコいい絵を描く人もいるのでそうしなければならないわけじゃない)


・アナログでの漫画の創作は必要なくなっていくのか、これからのデジアナの住み分け

アナログにこだわる理由としては、描き心地と現物があること。例えば個展を開くときはデジタルの印刷物より生原稿の方が好まれる。生原稿でなく印刷物である雑誌、単行本は作者の拘り次第。

アナログでないと出せない味、迫力は確かにあるのでそれが必要か否か。住み分けはしなくていいと思う。

アナログでできてデジタルじゃできない要素としてはトーンを削る時にカッターを寝かせてボカして削るような削り方ができない、インクに息を吹きかけてランダムに散らすことができない、等。


・どうすれば効率よく絵や漫画を描けるか

ショートカットキーを身体にしみこませて、常に頭をフル回転させて、どうすれば早くなるかを考えながら作業する。この講習で紹介した以外にもある全てのツール、機能で何ができるかを把握しておくと応用が効く。


・iPadでの使いやすいワークスペース

一例として カラーサークル、レイヤープロパティで1列、 レイヤーで1列、 サブツール、ツールプロパティ、ブラシサイズで1列、 ツールで1列、 別窓でクイックアクセスを手を置いてるところに、 素材パレットの表示をショートカットキーで設定しておき 必要時にのみ表示させる。


・誤作動対応

小指を覆う手袋をする。修飾キー設定のペン・ジェスチャーのロングプレスを「なし」に。


・おすすめのペンや筆 プリインストールのリアルGペン、こしの先生の名前でアップしたトーン削りブラシ、 ランダム点、かけあみ削りもや、雲マルチPブラシ、もや汚しブラシ(素材で検索)。


・おすすめのショートカット

基本はあまり弄ってないけど追加で言うと Ctrl+Mでクイックマスク(クリスタの前身コミスタの流れ)、 全てのトーン領域を1、選択中のトーン領域を2、 メインカラーを4、サブカラーを5、透明を6。 (数字はテンキー使用) タッチジェスチャを使わずキーボードだけで拡大縮小回転表示をする時は PageUpで拡大、PageDownで縮小、Rで回転を設定。


・描き文字に使いやすいペン、素材 素材検索で「文字」と入れてブラシに絞って検索してお好みのブラシをどうぞ。


クリスタについて理解は深まったでしょうか?今まで使っていなかった機能を知ったり、疑問が解決されたりしたでしょうか?

少しずつクリスタを使いこなせるように、頑張りましょう!


面白かったら応援!

作者