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佐渡島 庸平(コルク代表)さんの作品:共感される短所の存在が、愛されるキャラクターを生む!【魅力的なキャラクターを作る④】

物語を魅力的と読者が感じるかは、主人公や登場人物のキャラクター次第。


では、どうすれば魅力的なキャラを描くことができるのでしょうか?


今月は「魅力的なキャラクターをつくる」をテーマに、キャラクターの魅力を引き立たせるために考えたい4つのポイントを紹介します。


4週目となる今回は、「共感される短所を設計する」についてお届けします。


***


全ての素質には、表と裏がある。


(以下、佐渡島さん)


最終週の今回は、「共感される短所を設計する」ということについて話します。


キャラクターを設計する時に、必要となるのは「DO」「BE」です。


「DO」とは、そのキャラクターが何をしている人物なのかということです。そして、「BE」とは、そのキャラクターの性格や人柄です。


キャラクターらしさは「BE」に生まれるので、「BE」を磨くことがとても大切です。


その人の自分の強みを診断する『ストレングスファインダー』という仕組みがあるのですが、これによれば人の資質は34もの種類に別れています。


「このキャラクターであれば、どういう資質の強みをもつキャラクターなのか?」ということを意識すると良いかもしれません。


そして、覚えておいて欲しいのは、強みというのは裏を返せば弱点でもあり、弱点というのは裏を返せば強みでもあるということです。全ての素質には、表と裏があると言っても良いかもしれません。


例えば、『信念』という資質がストレングスファインダーにはあります。これは良い意味で捉えると、「一途にやり抜く力がある」ことという強みとして認識されます。しかし、これは裏を返せば「融通が利かない」と捉えることもできます。


しかし、多くの新人マンガ家は、その人が持っている資質の強みの部分は描くのですが、弱みの部分は描きません。


僕は、これがもったいないと思っています。なぜなら、「人は長所で尊敬され、短所で愛される」という言葉があるように、弱点を持っているキャラクターの方が愛されるからです。



愛される短所とは何なのか?


世の中で愛されているキャラクターを見ていると、必ず愛すべき短所があると思います。


宇宙兄弟でも、新しいキャラクターを出す時には、そのキャラの長所と短所は何かを小山さんは考えてきます。だから、宇宙兄弟では、完璧なキャラクターは誰一人として存在していません。


そして、短所だと読者が感じていたところが実は長所に転換されたときに、読者はそのキャラクターに対して強い愛着を持ちます


宇宙兄弟の例でいうと、ムッタの上官のビンスがわかりやすいでしょう。


クールであまり笑わず、相手が言い切らないうちに言葉をかぶせてくるピンス。無駄が嫌いで、「危機感のないものに成長はない」とムッタに厳しく接します。


しかし、どんな時も冷静に接してくれるピンスの存在は、感情が揺れ動きやすいムッタにとって安心を与えてくれる存在に変わっていきます。


ムッタに感情移入をしている読者にとっても、ピンスは怖い上官という見え方から、頼れる上司という見え方に変わっていったのではないでしょうか。


一方、短所が大事だといっても、突飛すぎる短所だとキャラクターは立つかもしれませんが、愛着は生まれません。


例えば、成績優秀でクラスの学級委員をしている生徒が、裏で猟奇的な趣味を持っていたとします。キャラクターとして記憶に残るかもしれませんが、その趣味に対して共感ができないので、愛着は芽生えないですよね。


愛着が生まれる短所というのは、裏を返すと長所になることがポイントなのだと思います。


是非、キャラクターを設計する時には、共感される短所を設計するということを考えてみてください。



聞き手・構成/井手桂司 @kei4ide &コルクラボライターチーム

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