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シャープさんさんの作品:ツイッターの功罪とスーパームーン。星をみるひとの話。

きょうもきょうとて能面のような顔して呟く @SHARP_JP です。あらためて言う必要もないですが、私はふだん家電メーカーの公式アカウントを運営しています。もはや職場がツイッターと化して、長い時間が経過してしまった。


世間ではSNSというツール、とりわけツイッターの功罪がよく語られますが、やれ炎上だフェイクニュースだと、どちらかというと罪の側面がフォーカスされることが多い印象です。もちろんそういう側面は由々しき問題だし、私なんて時にはその罪に直面せざるをえない当事者だったりもするのですが、それにしたって、ツイッターがあってよかったと思えることも、私たちの生活にたくさんあるはず。


たとえばツイッターによって、われわれは空を見上げることが圧倒的に増えたと思うのです。数十年に一度とかいう、天体の蝕や流星群を目撃できそうなチャンスがTLに流れる。金星や満月の美しい巡りをツイートで知る。虹や夕焼けが現れれば、友だちがこぞって写真をシェアする。私たちはそのたびに、ふとスマホから顔を上げ、あわよくばと自分もカメラを空に構える。そして束の間、あごをクイッと上げたまま、静かな時間を過ごすのだ。


私たちが見上げるのは、そびえ立つオフィスビルやタワーマンションだけではない。ツイッターのおかげで天気や星をタイムリーに知ることができるようになったわれわれは、空のできごとを見逃さなくなった。それは日々のうつろいにほんの少し、やさしい上下の奥行きをもたらしたように思う。スーパームーンなんて言葉を知ったのも、ツイッターからだ。


空を見上げる行為は、人類が脈々と繰り返してきたルーティーンかもしれないけど、方角を知るとか未来を占うとか、必要や不安に迫られて見るのではなく、ただ空のできごとを美しい時間として、みんなで共有できるようになったことは、昔の人がうらやむほどに素敵なことじゃないだろうか。


帰り道、影絵の街で見つけたよ(やじま けんじ 著)


空の美しいできごとを目にする幸福は、ここにも語られている。空を見上げるのはクマだけど。しかも食いしん坊の。クマにしろ人にしろ、たとえ帰り道がひとりぼっちだったとしても、空にきれいな星を見つけたら、それは立派なご褒美だ。特に冬。日の入りがはやい冬は、モノクロな景色や時間が多くなるけど、モノクロだからこそ、星のまたたきが際立つ。


ふと足を止め、空を見上げたクマの顔に続く、影絵のような街並みと空と星のラストのコマを眺めていると、どこか知らない世界の寓話のようでいて、きのうの私の帰り道のようでいて、しんしんと不思議な感情が湧いてくる。


それにしても、モノクロの帰り道でクマが食べる肉まんのおいしそうな感じといったら。やじまさんのクマの魅力については、私もそうとうやられているのですが、それはまた別の機会に。寒い寒い言いながら、肉まん食べたい。ファミマの肉まん、すげーうまい。

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2019/9/11 コミチ オリジナル
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