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佐渡島 庸平(コルク代表)さんの作品:毎日繰り出される圧倒的ヒキで目が離せない、あまいろさん
この連載では、『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』などの編集者であるコルク代表・佐渡島庸平が、『コミチ』に投稿しているマンガ家の中から気になる存在を毎回紹介します。



毎日、面白すぎる

今回は、あまいろさんを紹介。


あまいろさんは前にもこの連載で取り上げたことがある。しかし、今回どうしても記事を書かずにはいられなかった。


それは、あまいろさんがTwitterではじめた毎日連載『今日も死ねませんでした』が面白すぎるからだ。僕はこの連載が本当に楽しみでTwitterを開くたびに今日は更新されたかなと確認している。この作品が始まってからというものの毎日ワクワクさせられっぱなしだ。


『今日も死ねませんでした』は、どう自殺しようか考えていた一人の男の子が自分が生きるに値するものを日常のささいなところに見つけていく話だ。


毎日1ページ、たった3,4コマで物語は進んでいく。普通、どんなプロが描いても3,4コマの制約では物語を続けていくうちにどうしても停滞し、読者を飽きさせてしまう。しかし、『今日も死ねませんでした』は全くこれが起こらない。


毎日しっかり強いヒキがあり、次の日にはそのヒキを受けた展開が用意されている。だから前日に戻って今どういう展開だったけ?と確認しなくてもすぐにわかり、読み進めることができる。これは当たり前のことのようで本当にすごいことだ。商業誌で連載されている作品であっても、前回の展開がよくわからくなってしまうことは誰にでもあると思う。


また、主人公の家族や周囲にいるキャラたちも、少ないコマの中でしっかりキャラが立っている。みんながどんな性格、どんな考えを持っているかが自然に読者に入ってくる。そして、このキャラたちが一癖も二癖もあって憎らしいほどに愛らしい。



飽きるのがうまい

異世界ものをはじめとする奇抜な設定のヒキによって、最初から読者を飽きさせない仕組みを生み出している作品は多くある。しかし、あまいろさんは圧倒的な設定のヒキをなしに読者を毎日魅了し続けている。


それはあまいろさん自身が飽きるのがすごく上手なんだからだと僕は思う。クリエイターはどうしても自分が一番の盲点になりやすい。作り手側の事情から作品をつくってしまい、自分の癖や傾向に気づけず、何度も同じことを繰り返してしまう。


しかし、あまいろさんは自分の作品に対し1読者としてしっかり飽きることができている。だからこそ、毎日3,4コマの制約の中で読者を飽きさせない展開を生み出し続けている。


僕は、この作品を1読者として読むと、毎日の更新を楽しみにしているただのファンだ(笑)。


一方でプロの編集者としてこの作品をあえて意地悪な視点や様々な角度から何度も作品を読み直してみる。それでも、この作品は相当いい。


あまいろさんの『今日も死ねませんでした』は、僕が編集者として積極的に人に勧めたい作品になっている。



▼あまいろさんのマンガはコチラ

★リンク(https://comici.jp/users/amairo



<編集協力:平井 海太郎

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2020/8/18 コミチ オリジナル
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