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シャープさんさんの作品:夜を食う

こんばんは、@SHARP_JP です。これを書いているいま、時計は2時を指している。もちろん夜中の2時だ。そして私はかれこれ小一時間ほど、パソコンに向きあいつつ逡巡している。思考がまとまらないのではない。テーブルの上の、妹からもらった八雲もちを食べるか、冷蔵庫にある消費期限がせまったプリンを食べるか、戸棚にあるどん兵衛を食べるか、ずっと迷っているのだ。どれを食べるかの決断なら、ここまで迷うこともないだろう。私は夜食を食べるか否かを、ずっと逡巡している。おかげでこのコラムが、先ほどから一文字も進まない。


夜食の誘惑にかられるのは、夜更かしを覚えた人間なら、だれだって経験があるだろう。明日の胃もたれ、来月の体重、来夏の体型。すべてをかなぐり捨てて、見るからに高カロリーなものを食う。その背徳感は深夜の空腹にいっそうの拍車をかけ、口に入れるモノみな、こんなにおいしかったっけ、という感慨を量産する。夜がふけるほどに、人間の味覚は鋭敏になっていくのかもしれない。


夜食の誘惑がやっかいな点はほかにもある。深夜の食欲は感染るのだ。飯テロなんて言葉が定着したように、真夜中のSNSに現れる食事写真は、私たちの食欲を容赦なく刺激する。他人のあくびを目にすれば反射的にあくびが出るように、他人の食事はいともかんたんに見た者の空腹スイッチを入れる。夜は視覚だけで腹が減るから、ほんとうに油断がならない。


とにかく夜食は、カロリーとともにリスクを飲み込む覚悟を伴うわけで、だからこそおいしいといえる。そして私はまだ、食べるべきか寝るべきか、迷っている。


さっき起こったことをありのまま話s(七味さや 著)

ここにも夜食に堕ちた人がいた。寝床に就いてもなお煌々とした灯りに苛まれ、気づけばリスクとカロリーを飲み込んでしまった人だ。ベッドからわざわざ這い出した夜食は、苦悩の分だけおいしかったにちがいない。


それにしても住んでいる部屋の前が24時間の牛丼ショップとは、さぞかしつらいことだろう。毎晩毎夜、心を強く持つ必要があるわけで、それはもはや修行に近いなにかではないか。


そしてこのマンガを読んだ私は、食欲をますます刺激される。いまや私の夜食逡巡はピークを迎えた。食べよう。食べるぞ。いま私は、八雲もちを3つ食べる私が視えている。たぶんプリンも食うだろう。


ところでこの漫画は、続きがある。まったく予想もしない作者の日常が次の話に控えているので、あわせて読んでみてください。


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