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コミチさんの作品:「このままじゃコワれる…」がんばりすぎてしまった青年が自分を取り戻すまでを描いたマンガに共感の声


漫画家の望月哲門さん(@Tetsuto1319)がTwitterに投稿した8ページのマンガに描かれているのは、就活や慣れない社会人生活を経て「自分がわからなくなってしまった」という望月さんが自分を取り戻すまでの実体験です。

もともと文章で綴っていたエッセイを、漫画家・竹内絢香さんの最新コミック『がんばらなくても死なない』の発売記念キャンペーンに合わせる形でマンガにしたこの投稿には5万件ものいいねが集まり、「とても共感した」「今の私に必要な作品だった」といったコメントが寄せられています。


「自分が分からなくなったとき、本を読みまくったら抜け出せた話。」のもとになった文章



「このままじゃコワれる…」がんばることを手放した日

就職活動をしていた頃からだんだんと自分のしたいことがわからなくなり、その焦りや不安から仕事やマンガ制作、恋愛などさまざまなことをがんばりすぎて疲れてしまった望月さん。「がんばること」が前提に語られる自己啓発本を苦々しく感じてしまうこともあったそうです。



そんなある日、いつものように仕事帰りの電車で音楽を聴いていると、まるでテレビの砂嵐から流れる音を聴いているような感覚に陥りました。「このままじゃコワれる…」そう感じた望月さんは、「情けない…」と思いつつも「がんばること」をぜんぶ手放します。



望月さんはがんばることを手放して、代わりに昔から好きだったという読書を始めました。本を読むことで自分の暗い現実をシャットアウトしていた、それはある意味「逃避」だったと望月さんは振り返ります。 

当時読んだ中で特に印象的だったという本は、西加奈子さんの『うつくしい人』。周りとうまく合わせられず生きづらさを感じている主人公と自分を重ね合わせ、「つらいのは自分だけじゃないんだ」と救いを感じていたそうです。



本を読むことは、自分について考えること

初めは物語の世界に逃避するように読書にのめり込んでいた望月さんですが、たくさんの本を読んでいくうちに登場人物を通して自分と向き合うようになりました。



「『自分がわからない』って、つまり自分のことばかり考えてしまっている状況だったりするんだと思う。」今、望月さんはかつての自分をそう思い返します。



好きなお酒の種類や不幸の度合い、性格のヒネくれ具合まで、本を読むことで登場人物のことを考え、そして自分と向き合っていったという望月さん。 たくさんの本を読んでたくさんの登場人物に触れるうちに、徐々に自分の立ち位置が決まっていく感覚があったそうです。



本を読むことで自分を取り戻した望月さんは、「また自分のことがわからなくなることもあるかもしれない。それは正直とてもこわいことだけど、本を読む人は強いと信じているからきっと大丈夫。」と綴ります。



「本には他人がいる。 つまり、本には自分がいる。 自分を読んでみよう。」と締めくくられる最後のページには、本を読むことで自分を取り戻した望月さんの力強さを感じます。



望月さんにとっての「自分を取り戻すための作業」は本を読むことでした。今回マンガを投稿したことで、「私も本に救われた経験があります」「昔の自分を思い出した」といった共感の声もたくさん届いています。


「中には『今度の休日は、久しぶりに本を読んで過ごそうと思いました』というコメントもありました。描いているときはどんな反応が返ってくるか想像できないので、自分が描いたマンガを読んで何かアクションを起こしてくれることがすごく嬉しいです」


<blockquote class="twitter-tweet tw-align-center"><p lang="ja" dir="ltr">自分が分からなくなったとき、本を読みまくったら抜け出せた話。<br><br>(1/2)<a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%B0%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A6%E3%82%82%E6%AD%BB%E3%81%AA%E3%81%AA%E3%81%84?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#がんばらなくても死なない</a> <a href="https://t.co/0g9ZuvETqX">pic.twitter.com/0g9ZuvETqX</a></p>&mdash; 望月哲門/マンガ家 (@Tetsuto1319) <a href="https://twitter.com/Tetsuto1319/status/1281694739314556928?ref_src=twsrc%5Etfw">July 10, 2020</a></blockquote>


しかし、望月さんは「このマンガからこぼれ落ちてしまった人もたくさんいる。たとえば、精神的に追い詰められてしまうと活字を読めなくなってしまう人もいる」と複雑な気持ちも抱いています。


「自分はたまたま読書に救われたけれど、何が救いになるかは本当に人それぞれだし、タイミングにもよると思う。何もインプットせずにとにかく心と体を休めなければいけないときもある。そのあとに救いになるのは、人によって映画や音楽、テレビのバラエティ番組だったりするかもしれない。疲れてしまった人が、それぞれにとっての救いを見つけられることを願っています」


望月哲門さんの作品一覧


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2020/7/15