2014/09/15
趣味の芝居の本番の翌日。
打ち上げで疲れた胃腸をもたげながら、仕事の取引先の人の結婚式二次会に向かう。
正直、連日の飲み会は疲れそうだが楽しみでもある。
電車の中、暇で開いた携帯のアルバムに、弟の結婚式の時の流した動画と、チャッピーの最後の姿をうつした写真を見つけた。
まだ、その右手がなでごこちを覚えている。
目に浮かぶ涙が、以前ほどでなくなっていた。
胸を締め上げる感覚はあるが、もう大分癒えて…慣れて来たのだろう。
忘れることはないが、少しずつ気にならなくなっていく。
きっとそれがいい。
きっとそれでいいのだろう。
今だ見えない未来の家族ができたなら、やっぱりもう一度ペットを飼いたいと思う。
この気持ちは人生において欠かすことのできないものだと、僕はそう思うからだ。
2014/10/02
ある映画をみて、影響を受けてジョギングと筋トレを始める。
お得意のコースはチャッピーとよく散歩した場所だ。
しばらくおさまっていた感情が、最後のお別れをした火葬場が目に入って、思い出される。
最後の姿が綺麗だっただけに生前の記憶が簡単に引っ張り出せた。鮮明だった。
散歩中にいたずらで、フェンスの支柱にリードをくくりつけて、チャッピーを置いてけぼりにするふりをした。
離れていく僕の背中に向かって、本当に辛そうに切なく声をひねり出すチャッピー。
僕もそのときは面白がってやってたくせに、同じ場所へやって来て、二度と再開できない「今」を感じると、やっとチャッピーの気持ちがわかった。
支柱から遠く離れたところから
「チャッピー!」と大声で呼ぶ。
走り出したいけど、動けない。
今の僕とよく似てる。
もう今では、会話の中と心の中でしか、愛おしい”その名前”を呼ぶことができない。
名前を呼ぶことのできる存在がいることの尊さを思い知らされた。
余分なことやっていたと…、もっと使うべき相手に使う時間があったはずなのだ。
後悔と虚しさが胸中を乱す。
黒く深い空に浮かぶ、白い下弦の月を見つめて思い出す。
時間は今も過ぎてる。
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